ドル円相場 二つのリスク解消で揺れ返す(4/26)

24日早朝、フランス大統領選挙第1回目では中道のマクロン氏が1位、2位に極右ルペン国民戦線党首となり、両名が5月7日の決選投票に臨むこととなったが、

ドル円相場 二つのリスク解消で揺れ返す(4/26)

<概況・ポイント>

24日早朝、フランス大統領選挙第1回目では中道のマクロン氏が1位、2位に極右ルペン国民戦線党首となり、両名が5月7日の決選投票に臨むこととなったが、決戦投票ではマクロン氏が他候補の票を集めて6割程度を固めて勝利する可能性が高いとして市場は楽観ムードとなり、24日はユーロ急騰、ドル円もリスクオン心理で上昇、さらに欧米株が上昇、リスクオフ系の米長期債、ゴールドが売られた。

25日、北朝鮮の建軍記念日では、大規模な軍事演習が行われたものの懸念されていた核実験は見送られた。このため米国による軍事攻撃の可能性はひとまず後退、仏大統領選挙ととともに二大リスクであった朝鮮半島有事一触即発リスクも後退した。このため25日の欧米市場ではさらに株高が進行、ナスダックは連日の史上最高値更新となった。
午前中は半島有事リスクも警戒して下落していたドル円もV字反騰で24日朝高値を更新、下落幅の倍返しに近い上昇で111円台に到達している。

仏大統領選挙からのEU混乱リスク、朝鮮半島有事リスク、特に4月11日夜の米トランプ大統領によるツイートが半島有事リスクを一挙に高めたためにドル円は110円を割り込んで一段安していた。さらに13日未明のWSJ紙におけるトランプ大統領のドル高牽制発言が108円台序盤への下落継続要因となった。しかし米財務長官によるドル高牽制発言への市場反応を緩和させる発言、仏大統領選挙結果への安心、半島有事リスクひとまず後退という展開が、4月17日へのドル安円高の背景を段階的に解消してきた。

110円割れから急落する前の水準は、110円割れ回避から111.50円前後での持合いが1週間、その前は3月27日に110円割れを回避して112円台序盤まで戻していた。このため今回もまず、4月10日高値111.57円前後が揺れ返し上昇における最初の戻り抵抗と考えられる。これを超える場合は3/22高値であり、黄金分割50%戻しに合致する111.80円処が第2抵抗、そして3月31日高値112.19円まで揺れ返しの上値目処として切り上がる可能性となる。
ただし、12月からの長期的な円高の根幹は、アベノミクス、日銀黒田総裁の超金融緩和での円安誘導が行き詰まって円高へと逆流したものであり、トランプラリーによる楽観指向の円安が一巡したことを踏まえると、トランプ政権によるドル高牽制、米国第一主義による貿易赤字問題対策からの円高圧力といった問題は解消されたわけではない。そうした状況を踏まえれば、今回のドル高円安は揺れ返しの範囲として限定的なものに留まる可能性があると注意したい。

【4月7日への円高ドル安に対する揺れ返し 2時間足分析】

【4月7日への円高ドル安に対する揺れ返し 2時間足分析】

ドル円相場が112円超えからさらに115円を目指すような上昇へと進むには、トランプラリーの復活、欧米株の楽観的な上昇の加速、反騰情勢沈静化、トランプ政権発足からぎくしゃくしてきた国際政治情勢の落ち着き等が必要だろう。
例えば、112円前後まで戻し、その後に110円台から112円前後までのレンジで持ち合い的な調整を入れてから一段高へ進む場合、3月27日安値・4月7日安値を中心として左腰、今後つける安値を右腰とした逆三尊のフォーメーションができる可能性がある。そのためには現在の上昇が一巡した後の下落で110円割れへと崩れないことが必要になる。揺れ返しの上昇後に110円割れへと崩れれば円高の再現というイメージがさらに強まるだろう。

当面、111.50円前後を第一関門の抵抗とし、111.50円超での推移が続く場合は112円台序盤まで戻しにかかる可能性と、その後の反落期入りを警戒する。112円まで戻せずに110円割れ、109.50円割れと続く場合は逆三尊型形成のイメージが後退するため、4月17日安値とのダブル底形成へと円高がぶり返す可能性が出てくると注意する。(了)<9:50執筆>

【今日から明日への主要イベント】

4月26日
日 日銀金融政策決定会合(27日まで)

4月27日
日 日銀金融政策決定会合結果公表、日銀展望レポート公表
日 15:30 黒田日銀総裁、記者会見
欧 20:45 欧州中央銀行(ECB)理事会、政策金利発表
欧 21:30 ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、記者会見
米 21:30 米3月耐久財受注
米 21:30 米新規失業保険申請件数
米 23:00 米3月中古住宅販売保留件数指数

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