108円割れ回避での戻りだが、重いか(4/21)

ドル円は20日夜に109.489円まで上昇、18日の戻り高値と19日深夜の高値によるほぼフラットな抵抗線を突破してきた。

108円割れ回避での戻りだが、重いか(4/21)

<概況・ポイント>

ドル円は20日夜に109.489円まで上昇、18日の戻り高値と19日深夜の高値によるほぼフラットな抵抗線を突破してきた。米国株が大幅上昇してリスクオン心理が拡大したことでのドル高、日銀黒田総裁が金融緩和政策の継続を力強く主張、フランス大統領選挙を巡る不透明感のなかで市場が懸念するルペン氏の勝利確率がやや低下したこと、朝鮮半島有事リスクを増大させる状況に変化がなかったことで戻りを試している印象だ。

日銀の黒田東彦総裁はブルームバーグTVインタビューで年間80兆円の国債買い入れペースについて「当面は続ける」と述べ、また大量の国債購入がいずれ行き詰まるのではないかとの見方に対して「金融政策に限界があるとは考えていない」と否定した。これは円安要因となった。

ムニューシン米財務長官はワシントンのイベントにおいて「税制改革案を極めて近いうちに提示する」と述べ、「議会の同意を得るには時間がかかる」としたが、「議会とは毎週協議しており、案がまとまりつつある」「医療保険制度改革(オバマケア)見直しが実現しなくても税制改革は実現する」旨を述べた。これは行き詰まり感のあったトランプ政策の進展期待として株高要因となり、リスクオン心理から円安を助長した。

フランス大統領選挙を巡る最新の世論調査では、中道系のマクロン氏が1位、右派でEU離脱派のルペン氏が2位、保守のフィヨン氏が3位、急進左派で条件次第ではEU離脱の可能性も示唆するメランション氏が4位と報じられた。いずれも大差なく混戦模様だが、ルペン氏とメランション氏が1回目の投票で2位以下なら決選投票での勝利確率はかなり低くなるので、フランスのEU離脱と混乱リスクは収まると思われる。これはリスクオン心理としてドル円にはプラスだった。ただ、パリのシャンゼリゼ通りで銃乱射のテロと思われる事件が発生したことはテロの拡大懸念となって円安にはブレーキとなる材料。

北朝鮮をめぐる有事リスクについては緊張を拡大する状況変化は見られない。
国連安保理が非難声明を出したが、前日に米国がロシアの反対で発表できなくなったとしたことに対してロシアが反発、「阻止していない」とし、ロシアが求めていた「対話を通じた北朝鮮問題の解決」という表現を盛り込むことで合意され、声明発表となった。特にこれをもって軍事攻撃の御旗となるわけではないので市場の反応は限定的だった。
トランプ米大統領は「北朝鮮対応でわれわれは迅速に軍事力を増強している」「中国が圧力を強めることを無条件に信頼している」「中国政府がこの2、3時間の間に極めて異例な動きを取った」等と米イタリア首脳会談の会見で発言している。当面は中国の動きを見定めるというスタンスであり、25日の建軍記念日にかけて弾道ミサイル発射実験や核実験が強行されるのかどうか、市場は見守るということになりそうだ。

【60分足 一目均衡表分析】

【60分足 一目均衡表分析】

4月19日夜の上昇で60分足の一目均衡表では遅行スパンが好転(実線を上抜く)、先行スパンも上抜いた。その後も両スパンの好転状況は継続している。
17日朝、18日未明と二度、108円割れを回避して戻した。19日夜への上昇では18日の戻り高値更新には至らなかったが、20日夜の上昇では18日高値を上抜いてきている。このため、チャートパターンとしては18日高値を抵抗線、17日朝安値と18日未明安値を結ぶラインを支持線とした三角持合いを上放れた状況に入っている。また17日朝安値と18日未明安値をダブル底とした上昇という見方も可能だ。
三角持合い上放れ及びダブル底型からの上昇により、遅行スパン、先行スパンが揃って好転している内は戻り高値を試しやすい状況と思われる。

ただし、より積極的な円安材料による本格的なドル高円安への動きというよりも、110円割れを何度か回避して戻した3月末から4月初旬にかけての展開と同様のレベルと考える。値幅観測的には一段の上昇が必要との見方だ。
上値抵抗は4月12日高値109.86円近辺から110円のレート節目にかけての間と見る。4月10日から17日への下落に対する半値戻しが109.85円近辺と同レベルでもあり、109.80円から110円手前の水準は戻り売りにつかまりやすいと見ている。
109円を割り込む場合は戻り一巡からの弱気転換注意、108.70円割れの場合は先行スパンからの転落、遅行スパン悪化が揃うために弱気転換として108円割れをもう一度試すと見る。(了)<9:50執筆>

【今日から明日への主要イベント】

4月21日
G20財務相・中央銀行総裁会議最終日(議長国会見は22日午前1時半、ワシントン)
国際通貨基金(IMF)・世界銀行春季総会(於:ワシントン、23日まで)
22:30 米 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
23:00 米 米3月中古住宅販売件数 (予想 560万件、前月 548万件)
4月23日
フランス大領領選挙第一回投票  日本時間16時〜26時(大都市は朝4時)

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