<概況>
4月10日の111.50円台高値からの下落が丸1週間続き、週明け17日も午前に108.13円まで下げたが、108円割れをひとまず回避して109円台まで戻している。
週末に北朝鮮では15日に大規模な式典と軍事パレードがあり、弾道ミサイル等と思われる兵器も登場した。さらに16日にはミサイル発射実験が強行されたものの発射直後に爆発して失敗した。米副大統領が訪韓、38度線を視察するなどしたが、ミサイル発射失敗に対してのトランプ大統領による怒りの発言、米国の軍事介入姿勢が一段と進むような状況悪化には至らなかったため、この問題でのドル売り円買いは午前で一服、引けにかけてやや戻した。
有事リスクとともに円高要因となった4月13日未明のトランプ大統領によるWSJ紙インタビューにおける「ドル高牽制」について、この日はムニューシン長官が英紙フィナンシャル・タイムズ紙のインタビューで「長期的に見て強いドルは良いことだ」「トランプ大統領は短期的なドルの強さについて事実に基づく発言を行った」と述べ、トランプ大統領発言からのドル安進行に対する市場反応を緩めた。このためドル円は109円台回復に至っている。
3月27日から4月7日にかけて何度も110円割れを試しては切り返したが、17日午前から18日朝にかけてのドル円上昇は、4月4日から6日未明への反発や4月7日午前から翌営業日の10日午前にかけて戻した時に近い印象だ。ひとまず朝鮮半島有事リスクを巡る事象連発のストップによる様子見、トランプ発言からのドル安進行への一服がドル円及び株を戻していると思われるが、情勢が再び有事リスク反応、ドル安誘導的な反応を助長するものとなればドル円の下落再開となりやすい状況には変わりないだろう。
米FRBのフィッシャー副議長が17日の講演において「FRBがバランスシート縮小の計画を公表する際には2013年に起きたテイパー・タントラム(市場のかんしゃく)のような事態が再び起きると予想していない」と述べたと報道された。6月FOMCでの利上げ確率は依然として高いが、先行きのバランスシート縮小という金融引き締め政策が一段階ステップアップする流れへ進む可能性を印象付けたと思う。
18日からは日米経済協議が始まるが米国側は副大統領で、まだ具体的本格的な議論がなされる段階にないと報じられているが、いずれ米国による対日圧力が顕在化してくる可能性がある。
朝鮮半島有事リスク問題について、中国側が北朝鮮に対してアプローチしているものの無視されているという報道もある。現状は中国の努力を米国が見守っている状況だろうが、来週25日には健軍記念日もあるため、核実験、弾道弾ミサイル発射実験等が強行される場合には有事リスク感が一挙に高まる可能性がある点にも注意したい。
【60分足一目均衡表分析】
18日未明からの上昇で60分足の一目均衡表では26本基準線超え、遅行スパン好転(実線を上抜く)、先行スパン突破と強気サインが続いた。状況的には4月4日から6日未明への反発時、4月7日から10日への反騰時にも同様の状況がみられるが、特に110円割れ回避から戻した4月4日から6日未明への展開に近い印象だ。
4月6日未明への反発は1日半の戻りで、安値から1円強、4月10日への戻りでも1.50円幅まで戻せていない。今回も108円割れ回避から同様の戻りとすれば、109.20円から109.50円手前までが戻り抵抗帯となりやすいと思われる。4月13日高値が109.39円近辺であり、意識され易いレベルだ。
遅行スパン好転中は戻りを試す余地ありとし、26本基準線割れを目先の弱気転換注意、遅行スパン悪化及び先行スパンから転落となる場合は108円試しへの下落を想定する。そこはもう一度踏み止まって4月4日から10日にかけて往来相場となったように、108円から109円台前半までのレンジ相場で次の展開待ちとなる可能性が考えられる。ただし、108円割れなら新たな下落サイクル入りとして20日から24日への下落により、107円割れを目指す円高局面入りとなる可能性を考える。下方への警戒が引き継がれる。(了)<9:25執筆>
【今日から明日への主要イベント】
4月18日
日米経済対話(麻生財務相、ペンス米副大統領、19日まで)
21:30 米 3月住宅着工件数 (予想)126.4万件、(前月) 128.8万件
21:30 米 3月建設許可件数 (予想)124.5万件、(前月) 121.3万件
22:00 米 ジョージ米カンザスティ連銀総裁、講演
22:15 米 3月鉱工業生産 (予想)0.50%、(前月)±0.0%
22:15 米 3月設備稼働率 (予想)76.10%、(前月) 75.40%
4月19日
国際通貨基金(IMF)世界経済見通し
オーダー/ポジション状況
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