<概況>
13日早朝、ドル円は108円台へ一段安した。13日早朝のウォールストリートジャーナル紙におけるトランプ大統領インタビュー記事におけるドル高けん制、イエレンFRB議長支持、低金利政策支持等の発言を受けてドルは全面安となった。108円台は昨年11月以来、5か月振り。
3月27日、28日、4月4日、7日と110円割れを回避してきたが、11日夜のトランプ大統領ツイートによる朝鮮半島有事リスクの高まりで一段安、さらにWSJ紙インタビューが一段安を誘った。
108円台に対しては目先の売られ過ぎ警戒、14日が聖金曜日となって為替市場以外の金融市場が休場となるためにポジション調整的な買い戻しも入って109円台を回復しているが、朝鮮半島有事リスクは継続中であり、材料消化、イベント通過的なV字反騰入りという期待は薄い印象だ。
欧米市場からの参加者が少なければ、逆に新たな有事リスクを助長する動きがあれば過敏に反応する可能性もある点に注意したい。
109円台を維持するうちはやや戻し気味か、様子見の持合い推移に止まる可能性があるが、109円割れを切り返せなくなってくると安値試しへ向かいやすくなるため、13日安値試し、底割れなら108円試しへと下値目途が切り下がる可能性を警戒する。
【米国の矢継ぎ早な行動が有事リスク、ドル安リスクを日々拡大】
米国は日本時間14日未明、通常兵器として史上最強とされる「GBUー43/B 大規模爆風爆弾兵器」(通称MOAB)をアフガニスタンのIS拠点に投下したと発表した。同爆弾が実戦で使われたのは初めて。
スパイサー大統領報道官は「テロリストが利用するトンネル施設を狙って投下した」と述べた。またトランプ大統領は「今回の爆弾が北朝鮮への警告になるのか」との記者質問に対して「これがメッセージを送ることになるのか分からない。それがどうであるかはどうでもよいことだ。北朝鮮が問題だ。この問題に対処することになる」と答えた。
オバマ政権時代に手控え感のあった米国の軍事行動がよりエスカレートした形で再開し、示威的となっている。またトランプ大統領のツイート、会見等での発言も金融市場を大きく反応させている。
4月7日の米中首脳会談最中におけるシリアへの巡航ミサイル攻撃。4月11日の北朝鮮問題に対するツイート。空母カールビンソンの北上。13日未明のWSJ紙インタビュー。そして14日未明の超大型爆弾の投下。これらは中東情勢の混迷化リスク、朝鮮半島有事リスク、ドル安誘導要因となっているが、経済指標や予定されている会合でのイベントとは異なり、いつ飛び出してくるかわからないため市場も過剰反応せざるを得ないという印象だ。
当面、これらのリスクは円高要因であり、大きな情勢変化がなければ継続的な円高要因と考えられる。
北朝鮮当局者は13日、同国内で取材中の外国人ジャーナリストに対し「大規模かつ重要なイベント」に備えるよう伝えたと報じられた。15日には故金日成主席生誕105周年記念日があるため、多数の外国人ジャーナリストが入国している。米国からの威圧に対する対抗的な行動に出るかどうか、核実験強行の憶測も出ているため、週明けはさらに緊張感が拡大する可能性がある。
【テクニカル分析 60分足 一目均衡表】
13日午前に108.72円まで一段安したが、その後は新たな安値更新を回避してやや戻し、109円台序盤で小康状態となっている。このため、60分足の一目均衡表では遅行スパンが実線を上回って好転している。26本基準線も若干上抜いている。ただし先行スパンを下回った状況が継続しており、本日午後にかけてはこのまま横ばい推移してゆくと先行スパンにぶつかる状況となる。先行スパンに潜り込んでくる場合は、その上限がある109.50円から109.70円台にかけて戻り高値を試す可能性がある。
先行スパンへ潜り込んでも上抜けないうちは、次に先行スパンから転落するところからは下げ再開、一段安へ向かいやすいと思われる。また先行スパンに潜り込むことなく109円割れが続く場合は、そのまま一段安へ向かう可能性がある。
13日の安値108.72円を更新する場合、下値目途は108円試しからさらに107円台後半試しへと切り下がる可能性がある。13日安値は200日移動平均線などが位置する節目ライン、割り込むと下げ足を強める。
強気転換には13日未明高値を上抜いて110円台を回復する必要があり、そうならないうちは戻り一巡からの一段安警戒感がぬぐえないと思われる。(了)<9:25執筆>
【今日から明日への主要イベント】
4月14日 (米)米株式・債券・商品市場は休場(グッドフライデー)
4月14日 (米) 米3月小売売上高、3月消費者物価指数
4月14日 ロシア・シリア・イランの3カ国外相会談(モスクワ)
4月15日 北朝鮮 故金日成主席の生誕 105周年記念日
オーダー/ポジション状況
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