半島情勢への懸念続く、下値追い定着の様相(4/12)

4月7日午前の米軍によるシリアへのミサイル攻撃、7日夜の米雇用統計における非農業部門就業者増加数が10万人に満たないという二つのサプライズ、

半島情勢への懸念続く、下値追い定着の様相(4/12)

<概況>

4月7日午前の米軍によるシリアへのミサイル攻撃、7日夜の米雇用統計における非農業部門就業者増加数が10万人に満たないという二つのサプライズ、円高要因を背景に7日は二度、110円割れを試したが回避、10日午前には111.50円超えまで戻した。しかし、4月3日以降は111.50円前後抵抗、110円割れは回避するというレンジでの往来が続いており、10日もこの壁を超えられずに失速していた。
11日も111円割れでの軟調地合いでジリ安となり、往来相場のレンジ下限、110円割れを再び試す可能性がやや強まっていた。

11日の21時過ぎ、トランプ米大統領がツイッターで「中国が北朝鮮問題を解決するなら、米国との通商合意ははるかに良いものになると習主席に説明した」「北朝鮮は自ら問題を起こそうとしている。中国が協力すると決断することが望ましいが、協力しないなら中国抜きで問題を解決する」とつぶやいた。このツイートをきっかけとして朝鮮半島への有事リスクが高まったとしてクロス円全般での円の買い戻しが発生、またリスク回避先として米国長期債、ゴールドが買われる展開となった。
深夜にかけて、有事リスクを助長する報道が相次ぎ、ドル円は110円を割り込んで一段安となった。この結果、3月27日安値と4月7日安値による110円割れ回避でのダブル底形成は失敗となり、この間を中段の小持合いとし、持合い下放れからの一段安が開始したという印象となった。

【複数のリスク回避要因】

オーストラリアへ帰航予定だった米軍の最大級空母であるカールビンソンが反転北上し、朝鮮半島へ接近している。
米露外相会談が12日に持たれるが、ロシア外務省は11日、米ロ外相会談が生産的なものとなるよう望むとした上で、米国の北朝鮮に対する姿勢に懸念を表明した。
日本の外務省は11日夜、韓国滞在者や渡航予定者に対して朝鮮半島情勢に注意を促す「スポット情報」を発表。韓国への渡航自粛や滞在者の退避などを求める危険情報は出ていないものの緊張感を助長した。
安倍首相は自民党役員会において、北朝鮮情勢について米中首脳会談を受けた中国の対応に注目していくとしたうえで、「いかなる事態になっても国民の生活と平和な暮らしを断固として守り抜く決意だ」と述べた旨、NHKが報道した。
米政府はオーストラリアなど同盟諸国に対して、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した際には迎撃する態勢が整ったと通知し、厳戒態勢で備えるよう要請した、と報道された。

過去の米国による軍事行動においては、リビア空爆、アフガン攻撃、湾岸戦争等では複数の空母による船団で行われており、現時点でカールビンソン一隻というのは、あくまでも示威行為と思われるが、米韓演習による部隊展開も踏まえれば、短期間で軍事作戦を展開できるような準備がなされているという印象もうける。
一連の報道を踏まえると、先週の米中首脳会談、その後の日米首脳電話協議等において、中国による北朝鮮政策に具体的な進展が見られない場合、米国の軍事オプション行使の可能性もかなりあるのではないかという不安を抱かせるには十分な状況となっている印象がある。

シリア情勢もまだ安心できない。ロシアは武装集団が米軍によるシリア政府軍への攻撃を助長する為に化学兵器をさらに使用する可能性があるとしている。米露外相会談の行方も注目されるが、新たな化学兵器の使用が発生した場合には、米軍のさらなる空爆、ミサイル攻撃等が発生する可能性もある。中東と朝鮮半島の二正面で同時に作戦行動をとるのは米国にとっても負荷が大きいと思われるが、トランプ政権になったことで、米国の軍事行動への積極性が以前より高まっているため、先行き不安は継続すると思われる。


これらのリスクはリスク回避行動によるクロス円ポジションの手仕舞い売りを助長するため、積極的な意味合いでの円買いではなく、手仕舞い=現金化による円買い戻しから円高が進行しやすい。大震災時も手仕舞い=現金化による円高が一挙に進んだ前例もある。

【日足 テクニカル分析】

【日足 テクニカル分析】

3月27日以降、何度か回避してきた110円割れを今回は回避できずに一段安した。3月27日安値と4月7日安値でミニダブル底を形成する可能性もあったが、ダブル底破れによる一段安の開始となった。
昨年12月15日高値から下落基調は継続している。2月中に112円割れを二度切り返して中段持合い期を形成していたが、3月の下落でそこから転落した。さらに今回の110円割れである。
12月から2月への下落と同レベルの下げとなる場合には108.43円前後、3月10日への戻り幅の倍返しなら107.68円前後が今回の下値目途として意識される。

日足レベルでは概ね3か月から4か月周期のサイクルで底値・高値をつけている。12月15日高値から3か月目の3月10日で高値を付けて下落期に入っている。両高値の中間にある安値は2月6日安値であり、これを基準とすれば今回の安値形成期は5月初旬から後半にかけての間となる可能性も考えられる。
日足の一目均衡表では9日転換線を目先の抵抗とした下落の継続が警戒される。一時的に上抜けても翌日か翌々日に割り込む場合は下落継続と思われる。また中勢レベルでは26日基準線が重要な抵抗線となってくると思われるので、中勢レベルの強気転換には基準線超えが必要と思われる。(了)<9:20執筆>

【今日から明日への主要イベント】

4月12日 (中)10:30 中国3月消費者物価指数、生産者物価指数
4月13日 (米) 3:00 米3月財政収支
4月13日 (中)    中国3月貿易収支
4月13日 (日) 8:50 3月マネーストックM3
4月13日 (米)21:30 米新規失業保険申請件数
4月13日 (米)21:30 米3月生産者物価指数
4月13日 (米)23:00 4月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値

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