ドル円相場展望110円割れの場合、下値目処は?(4/6)

4月3日のロシア地下鉄爆破事件をきっかけとしたリスク回避の円高ドル安により3月27日安値及び心理的な節目である110円割れを試したが

ドル円相場展望110円割れの場合、下値目処は?(4/6)

<ドル円概況>

4月3日のロシア地下鉄爆破事件をきっかけとしたリスク回避の円高ドル安により3月27日安値及び心理的な節目である110円割れを試したが、4日夜時点では底割れを回避して戻していた。5日夜はADP民間雇用報告が予想を大幅に上回ったことからドル高となって111円台半ばまで戻した。その後の米3月ISM非製造業総合指数が予想を下回ったために上昇一服。6日未明のFOMC議事録公開では、公開当初に若干のドル高反応があったものの内容にサプライズ無しとして反落を開始した。NYダウが下落し、日経平均も前場早々に200円を超える下落となったため、ドル円も110円台序盤まで続落しており、3月27日、28日夜、4月4日と踏み止まってきた110円ラインを維持できるのかどうか、瀬戸際となっている。

【米経済指標】

【米経済指標】

           ADPと労働省による雇用統計比較(非農業部門就業者数増減)


米民間雇用サービス会社オートマティック・データ・プロセッシング(ADP)が発表した3月の全米雇用報告では非農業部門民間就業者数は前月比26万3000人増となり、市場予想の前月比18万7000人増を大幅に上回った。2月は29万8000人増から24万5000人増に下方修正された。

【米経済指標】 2枚目の画像

米サプライ管理協会(ISM)が発表した3月の非製造業総合指数は55.2となり、前月の57.6から低下、市場予想の57.0も下回った。

ADP統計が予想を上回ったことでドル高、ISM統計が予想を下回ったことでドル安反応となっており、やはり米経済指標が強ければ年後半の利上げペースアップ、あるいはFRBが量的緩和で膨張させてきた保有資産の圧縮開始となる可能性が意識されてドル高となり、経済指標が悪ければドル安となるという基本的な反応は継続している印象だ。週末の米労働省による雇用統計本番も良好な可能性が高まったが、過去の3月統計における傾向としては予想を下回るケースも多いと指摘されていることと、2015年3月には前月比で8万6千人増に留まり、2013年3月も2月に28.6万人増だったものが13.0万人増に留まる等、サプライズも発生しやすい点には注意したい。

【FOMC議事録】

米連邦準備制度理事会(FRB)は6日未明に3月14、15日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公開した。
(1) 大半のメンバーは「経済成長が予想通りに進めば利上げを継続し、量的緩和で拡大した保有資産の縮小を年内に始めるのが適切」とした。
(2) 3月会合では、利上げの進め方や保有資産の縮小方法に関する検討が始まった。
(3) 資産縮小については「緩やかに、予見可能な方法」で行う必要性と、「満期を迎える米国債と住宅ローン担保証券(MBS)双方の再投資を停止する形で消極的に縮小していくのが妥当」との意見が多かった。
(4) インフレ率については目標に達したかどうかについて意見が分かれたが、投票権のあるメンバーは「目標を下回っている」との意見が優勢だった。

公開された議事録は概ね予想の範囲であり、特に追加利上げを急ぐような前のめり感はなく、市場はサプライズ無しとして初期的なドル高を消化した後はドル安に転じた。ただし、今後の米経済指標が良好で世界金融市場全般が落ち着いた動きであれば、早ければ6月会合での利上げ可能性を含めて年内残り2回の利上げとなる可能性と、年末には資産縮小の開始が始まる可能性=一段と金融引き締め政策が進む可能性を印象付けたともいえる。

【60分足一目均衡表分析】

【60分足一目均衡表分析】

4月5日夜への上昇で遅行スパンが好転後、6日未明からの反落で先行スパン含めて再び悪化している。既に110円台序盤まで下落しているので、3月31日高値から4月4日への下落に対するリバウンドが一巡、下落を再開している印象だ。概ね3日から5日周期の安値形成リズムで見ると、4日夜安値を基準として次の安値形成期を7日夜から11日にかけての間とした下落へ進みやすくなっていると思われる。
強気転換は両スパン好転からとし、両スパン悪化中は安値試しへ向かいやすいとみる。
戻り抵抗は110.60円台(先行スパン下限近辺)までとし、110.50円以下での推移中は下向きとみる。110円割れへと崩れる場合、31日から4日への下落波動並みとしてN波=109.53円前後、6日未明高値への戻り幅の倍返しでV波=109.09円前後と想定する。また、先行きとしては3月27日から3月31日への上昇幅の倍返しによる下げとして108円前後を試す可能性も出てくる。米中首脳会談、週末の米労働省雇用統計、米連銀当局者発言等によっては1円から1円半程度戻しても戻り高値が切り下がり、その後の安値も切り下がるパターンにつかまる可能性を警戒する。(了) <9:55執筆>

【今日から明日への主要イベント】

4月6日     ★米中首脳会談(〜7日)
4月6日 20:30 (欧) ECB理事会、議事要旨公表(3月9日開催分)
4月6日 21:30 (米) 米新規失業保険申請件数 - 25.8万件
4月6日 22:30 (米) ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁、講演    

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