<週末から週明けの概況>
3月27日、28日深夜と110円を試したが割り込まずに反発、ダブル底(日足では毛抜き底)型を形成して31日には112円台を一時回復したが、維持できずに失速して週末を終えた。週明け3日は仲値に掛けて続落したが111円割れには至らず、戻りは111.50円台までにとどまり、深夜にはロシアの爆発事件、ISM製造業景況指数等をきっかけとして下落、NY市場序盤より111円割れに至っている。
(1)NY連銀総裁発言
3月31日夜のNY連銀ダドリー総裁発言。ブルームバーグTVのインタビューで「米FRBの保有資産縮小については年内か来年に開始しても驚かない」「(その際には)利上げを一時的に停止する可能性がある」「(年内利上げ回数はあと2回の想定が合理的」「金利正常化を急ぐ必要はない」と述べた。この後にセントルイス連銀のブラード総裁も「年内あと2回の利上げは多すぎる」と述べている。
ただ、市場は6月FOMCでの利上げ確率を5割程度あるのではないかと警戒しているため、週末の米雇用統計等の主要指標が強めに出れば利上げ確率上昇でドル高要因となり、ドル円にとっても円安ドル高材料になってくる可能性がある。
(2)4月3日の日銀短観骨子
大企業製造業DIはプラス12で2期連続改善、先行きはプラス11とやや悪化見通し。 大企業非製造業DIはプラス20で6期ぶり改善、先行きはプラス16で悪化見通し。大企業全産業の2017年度設備投資計画は前年度比0.6%増。
17年度想定為替レートは1ドル108.43円で現状よりもやや円高を意識したもの。
※改善傾向を示したが先行き不安、円高への懸念がやや滲んだ印象。ドル円に対する材料的なインパクトは限定的だった。
(3)ロシアの地下鉄テロ事件
ロシア北西部サントペテルブルクの地下鉄内爆発事件。11人が死亡する自爆型テロ事件の様相。これを受けてリスク回避感が強まり、ユーロ、ポンドが売られて円は買われた。このため一方ではドル高、それを上回る円高という印象。
(4)ISM製造業景況指数、7か月振り悪化
米供給管理協会ISMが発表した3月の製造業総合景況指数は57.2となり、前月の57.7から0.5ポイント低下した。市場予想と一致したが、7カ月ぶりの悪化だったため発表後はドル売り要因となった。ただ、全般的には米経済指標の良好さは継続しているため、週後半へ向けての各種発表が強めの数字が続くようならドル高要因になってくるだろうと思われる。
【テクニカル診断】
(1)60分足一目均衡表分析
3月27日安値、28日深夜安値をダブル底とした上昇で先行スパンを上抜いた状況を維持していたが、週末深夜の下落で遅行スパンが悪化、週明け続落で先行スパンからも転落した。このため、27日からのリバウンドが一巡、安値試しとなっている。4日朝も続落しているため、3月27日安値及び110円を維持できるかどうかを試す流れとなっている。
26本基準線(現在111.10円前後)を下回る状況が続くうちは27日安値試しとし、底割れの場合は円高の加速により109円台後半(109.85〜109.50)を目指す可能性もあるが、4日の日中はそこまで崩れるのは時期尚早として110.50円から110.25円のゾーンを試すとみるが、4日夜に一段安する場合には底割れの可能性も警戒すべきか。
26本基準線を上回る状況を維持し始める場合は強気転換注意、遅行スパン好転、さらに先行スパン突破と続く場合は31日からの調整安を一巡して上昇再開モードに入り、31日高値を試す流れへ向かう可能性を考える。
(2)日足一目均衡表分析
3月27日への下落により、2月から3月半ばまでの中段持ち合いから下放れし、年初来安値を更新した。この結果、遅行スパン悪化(実線を下回る)、先行スパンから転落、基準線を割り込んだ状況が続いている。 27日から戻したが、31日、4月3日と日足は2日連続陰線であり、4日も続落陰線となる場合は所謂「黒三兵(または三羽烏)」の弱気線となることが警戒される。当面、26日基準線(現在112.80円)を超えられない内は中勢レベルの下落基調の範囲とし、12月15日から2月7日への下落波動と同レベルの下げとしてN波計算値108.43円を目指す可能性を警戒する。強気転換は26日基準線超えからとみる。(了)
オーダー/ポジション状況
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