先週の回顧
先週のドル/円相場は、2週続けてのドル安・円高。週初の112円台後半から、週末には110.60円台まで値を崩す局面も観測されている。
週初112.60円台で取引開始後、しばらくは高値保ち合い。そのなかでドルは週間高値の112.89円を記録している。しかし、21日に米金利が大きく低下したうえ、NYダウが200ドルを超す下げ幅となったことが嫌気され、111円台半ばまで一気にドルが急落した。
その後もドルの戻りは鈍く、むしろ22日に発表された2月の米中古住宅販売件数が予想を下回ったことをキッカケにドル売りが再燃、米長期金利も低下したことで、111円割れへとさらにドル安が進行している。
材料的には、北朝鮮のミサイル発射や英国会近くでテロ発生といった地政学リスクが指摘されたほか、森友学園をめぐる籠池氏の証人喚問ならびにオバマケア改廃法案修正案の下院議会での採決予定など日米の政治リスクが話題に。それらは高い注目度にもかかわらず、大きなインパクトを与えるまでには至らなかったが、方向性としては円買い要因として寄与していた感を否めない。
結局、110.62円までドル安・円高が進行したのち、大引けにかけては悪材料出尽くし感が台頭したこともあり、111.30円台まで反発して週末NYの取引を終えている。
今週の見通し
今週も、リスクという点では下方向にバイアスかかる。先々週に115円台定着が失敗に終わったことで、しばらくは112-115円といったレンジ相場を予想していたが、レンジがそれよりもさらに切り下がったようだ。心理的なサポートである110円を割り込むようだと、さらに下値余地が拡大しても不思議はない。
テクニカルには、昨年のドル安値98.65円レベルを起点とした上げ幅のフィボナッチ38.2%押しである111円レベルを割り込んできた。リスクはドル安方向に高いと言わざるを得ない。ちなみに、前述フィボナッチで見た半値(50.0%)押しは、108.65円となる。一本調子に110円を割り込み、そのレベルを目指すとは思わないが、さらなるドル安の進行には注意を払いたい。
ただ、週足・一目均衡表においては、111.20円レベルに位置する雲の上限を週末のNYクローズでは辛うじて維持した格好。また、時間足など短期ベースでは22、23、24日と3日連続110.60-70円レベルで下げ止まっていることも気掛かりだ。ポジションがドルショートに偏っていることもあり、底堅さが再確認されるようだと、思わぬレベルまでの戻りを試す展開をたどる展開がないとも限らないだろう。
一方、材料的には今週も発表される米経済指標ならびに、FRB議長をはじめとする米要人の講演などに要注意。とくに後者については、すでに今年の残り年2回の利上げは織り込まれつつあるなか、利上げペースに慎重な発言が聞かれるようだと、改めてドル売りを喚起する要因となる可能性もある。
さらに、「これ」というイベントはないが、先週末にオバマケア代替案を撤回するなど政権運営不安が露呈したトランプ米大統領の言動は週を通して注目しておきたい。
なお、それらとは別に注意を要するのは、調整局面入りした感のあるNYダウなど米株の動きや、原油価格の動静といった、ほかの金融市場の動きになる。
先週などは、冴えない米株や原油相場がドル売り・円買い材料となっていた面もあるだけに、今週ドルが反発に転じるにはそれらが下げ止まる必要があるが、果たして結果は如何に!?
そんな今週のドル/円予想レンジは、109.50-112.50円。ドル高・円安については、やはり時間足ベースなどで2度上げ渋っている111.50-60円が最初の抵抗で、次が112円レベルか。ただ、それらを抜けると上値余地が一気に開け、113円台回復の芽も出てくるだろう。
対するドル安・円安方向は、先に記したように3度トライし割り込めなかった110.60-70円レベルがなかなか強いサポートに。とは言え、割り込めば110円割れの可能性が一気に高まることになり、下値は波乱含みに。(了)
オーダー/ポジション状況
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