ドル円:2月13日からの先週
先週は、市場が注目し懸念していた日米首脳会談を良い意味でのサプライズで終え、一旦高値を試し週高値114.95まで上伸するも、115台へは到達できず、その後は週の後半を調整からずるずるとドル売りで週安値112.61まで下押ししてそのまま引けました。
13日は、週末に注目の日米首脳会談を無事乗り越えた事で週明けはドルの買い先行(=リスク・オフの円買いの反対)、先週末引けの113.27からややギャップアップの113.55で始まり、13日高値へ一時114.16まで上昇したものの、一巡後は利食い売りなどが出たため伸び悩み13日安値の113.43へ下押し。その後もその高値・安値のレンジの中で横ばい推移、113.73で引けました。
折角週末の日米首脳会談を終えたものの、日本との会合直後トランプ米大統領はカナダのトルドー首相との会合に入り、貿易を注視している旨の発言を受け、再度保護貿易主義、そして市場では、日本、中国、ドイツ、メキシコに対して通貨安誘導との非難を再開するのではとの警戒感が再燃して円売りが後退しています。
14日は、前日引けの113.73で始まり、前日の円売り地合いの後退と、日経平均が前日比220円超安と軟調に推移したことが嫌気され、14日安値の一時113.24まで下げました。 安全保障政策担当のフリン米大統領補佐官が補佐官就任前にロシアへの情報供与疑惑で辞任した事も売り材料。ただNY時間に入り、イエレン議長が議会証言で、「利上げを過剰に長く待つことは賢明ではない」、米経済の状況次第で利上げの必要ありとの見解を示し、今まで市場が殆ど織り込んでいなかった3月の米利上げを示唆、これを織り込むドル買いで14日高値114.50まで上値戻し、114.25で引けました。
15日は、前日引けの114.24で始まり、東京時間・欧州時間は114台前半〜半ばで推移するも、NY時間に入り、1月米小売売上高や1月米消費者物価指数(CPI)などが予想を上回り強い結果で、一気に15日高値の114.95まで上伸するも、115.00に観測される売りに上値を抑えられ失速、逆に15日安値の113.85まで下押しし、114.15で引けました。
16日は、前日引けの114.15で始まり、すぐに16日高値の114.31を付けた後、終日じりじりと値を下げました。東京時間は日経平均株価が一時前日比177年安まで下押しし下落した事を嫌気し、海外時間に移っても米10年債利回りが2.45%までと大幅に低下したため、16日安値の一時113.07まで下押しし、113.23で引けました。
17日は、前日引けの113.23で始まり、すぐに17高値の113.50を付けた後、東京時間は横ばいでしたが、海外時間に入り、仏大統領選前の世論調査で極右政党で欧州連合(EU)離脱を掲げ、その是非を問う国民投票の実施を掲げているルペン氏の支持率が上昇したことを受け、欧州政治への不安・不透明感が強まり、リスク・オフのドル売り・円買いから日経平均先物が下落、米長期金利が低下、17日安値の一時112.61まで下げ112.85で引けました。
ドル円:2月20日からの今週
ポイント:トランプ大統領の一般教書演説と、予算教書の発表を待つ相場でしょう。
CME通貨先物ポジション状況:2月14日時点
(2月14日)(2月7日)(1月31日)
円 ▲51284▲55060 ▲58331
ユーロ ▲46764▲44951 ▲45713
ポンド ▲65528 ▲64539▲61772
シカゴIMM:短期投機・投資家による円のネットポジション売持高は今週も減少、ピーク時の87000枚から約41%の減。
シカゴVIX指数:投資家の恐怖心理の度合いを示す指数、
11.63(-0.13)VIX指数は下落しての引け。
日米関係の2本柱は、安全保障と、経済・貿易問題です。
その上で今後の注目すべきポイントは以下の3点と考えます。
1. 訪日したマテイス国防長官による日米安全保障条約へもコミットメント、訪欧して欧州各国の首脳と相次
ぎ会談するペンス副大統領のNATOとの同盟重視へのコミットメントから、トランプ政権の目指す安全保保障の方向が見えてきました。
トランプ大統領自身に対しては、予測不可能な不透明さがトランプ・リスクとされていますが、この後間もなくの一般教書演説と予算教書の発表を通して、新政権の経済・貿易問題への姿勢を見極めてゆく局面です。市場がトランプ・リスクの扱いをどうしてゆくかに注目です。
注目点は
1. 通商・貿易の視点からは、課税・減税競争、関税競争が争点です。筋とすれば関税と言えばWTO扱いなのですが、恐らくそう対応するであろうと予想される欧州に対して、あくまで二国間協議にこだわる米国とはそもそもの協議の土俵決めからの話し合いとなりそうです。
2. 通貨・金融の視点からは、アベノミクスとして政策的に円安を追求してきた安倍政権との折り合いです。
2. 米関係の経済・貿易問題に関して、麻生副首相とペンス副大統領との窓口に落とす新しいフレームワークが機能してゆくか。実務レベルの話がスムーズに行われてゆくか。
3. 先週、突然の辞任をしたフリン米国情報担当補佐官の背後は、バノン主席戦略官とされています。
つまり、共和党が支持するペンス副大統領、マテイス国防長官に対して、バノン主席戦略官とフリン情報担当補佐官の構図が、徐々にそのバランスが崩れてきている様子であり、要警戒です。
先週のレンジは上値を模索するも115.00の上値重さを確認する展開でした、
2月13日の 113.43 〜 114.16
2月14日の 113.24 〜 114.49
2月15日の 113.85 〜 114.95
2月16日の 113.07 〜 114.31
2月17日の 112.61 〜 113.50
テクニカルにみると、日足の一目均衡表で
基準線が 113.61で 下降
転換線が 113.28で 上昇
実勢値 112.85 17日の引け
先行スパン1が 116.31で 横ばい
先行スパン2が 109.93で 横ばい
となっています。
テクニカルは、非常に大切な位置にあると示唆しています。
17日の動きで、日足の一目均衡表の下降中の基準線113.61と上昇し始めた転換線113.28を下回割って引けています。 先行スパン1と2との間に挟まれた領域にあるものの、下方向にサインが出そうです。
ハッキリとした方向性を示す為には、日足の一目均衡表の先行スパン1の116.31か、先行スパン2の109.93かの何れかを抜けてくる必要があります。
しかし、目先短期的にはその先行スパン2の109.93、というより節目の110.00を試す展開となりそうです。
1月30日&2月15日両日の高値の114.95がダブルトップを形成しそうです。
上値目途は、すぐ上の上昇中の転換線113.28、下降中の基準線113.61の回復。
その上は1月30日&2月15日両日の高値の114.95、そして115.00です。
この114.95〜115.00の価格帯を上抜けできるかが大切なポイントです。
下値目途は、7日の安値で年初来安値でもある111.57、
この111.50〜111.57の価格帯が支持として大切なポイントです。
ここを下抜けると、底抜けになり、111.00、110.00と順次試してゆく事になります。
109.93には先行スパン2があり、ここを下抜けると、強い売りサインです。
予想レンジは、111.50~114.50 と見ます。
オーダー/ポジション状況
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