安易な期待は危険(2017年2月9日)

日米首脳会談、市場の予想通り大丈夫でしょうか?

安易な期待は危険(2017年2月9日)

ドル円:2月9日のファンダメンタル分析

テーマ:日米首脳会談、市場の予想通り大丈夫でしょうか?

明日10日からの日米首脳会談に関して、市場の織り込み方は概して好意的です。
その根拠は、訪問を受ける側のトランプ大統領が、破格の接待スケジュールを用意している事?
一緒にゴルフをするとか、大統領専用機に一緒に乗りトランプ大統領の別荘へ招待されているとか。
トランプ大統領は元々が破格の言動の持ち主なので、安易な期待は危険と判断します。

そんな中、時事通信・共同通信の報道によれば、
1. 日銀の金融緩和の目的は通貨安誘導ではなく、あくまでデフレ脱却を目的とした景気刺激の為のもの
2. 本邦民間企業各社による対米投資の実績と、それに伴う米国内での雇用貢献
の2点を訴えて、トランプ大統領の理解を求めるという。
加えて、先日のマテイス国防長官訪日の際の会談を受けて、安倍首相とトランプ大統領とが日米安全保障を再確認するとも予想されています。

成長と雇用を目標するトランプ大統領です、それは米国の成長第一主義であり、米国の雇用第一主義なのです。
上記の安倍首相のもちかける2つの話に対して、ただ快諾して終わるとは思えず、当然それなりの要求を突き付けてくるものと想定すべきでしょう。

日米関係のポイントは、1.安全保障、2.経済・貿易問題、の2点です。
1. に関しては、マテイス国防長官の訪日の際に確認済みの様に、市場の予想通り日米同盟の確認となるでしょう。しかも駐留費の件等の話はないと想定します。
2. に関しては、要注意なのです。
米国の貿易赤字の1位は中国で49%、以下独・日本・メキシコの3か国がほぼ10%弱ずつなので、中国に対しては当然の事、独・日本・メキシコの3か国に対しても要求を引き下げるとは考えられません。

しかも米国での自動車販売でいうと、
1位は米国系で46%、2位が日系で37%、それ以下は独系と韓国系がほぼ8%ずつである事で明らかな様に
トランプ大統領はこの37%を攻撃してくるでしょう。
その攻撃の大義名分が、日本が為替操作をしているという主張になります。日本は通貨安誘導をしているので米国内で37%も自動車販売をしているという主張です。
今回の日米首脳会談の持つ意味、米国の視点からすれば、
1. 日米同盟を基軸として、日本との友好関係を世界に示す事、これが上記1.の安全保障の面です。地政学的に見て、在日米軍、在韓米軍、在フィリピン米軍は、米国本土防衛のためアジア太平洋地域での、具体的には中国、北挑戦を仮想敵国として必要な防衛ラインです。そのコミットメントを否定する事は米国第一主義の、米国の安全保障を脅かす事になるので考えられません。

2. 上記2.の経済・貿易問題に関しては、まず間違いなくドル円相場の話、為替調整の話が持ち出されるはずです。
かつての1995年の日米自動車紛争の際のレーガン政権がした様に、ドル円相場を恣意的に調整する事で、米国内での日系自動車販売シェアを下げ、結果米国の貿易赤字を減らす事をするでしょう。

そこで要警戒なのは、本邦市場は「円高の話がでなければいい」と織り込んでいるものの、おそらく円高の話は出るものと想定します。海外市場はその辺りのリスクをかぎ取っているので、米10年国債利回りは2.34%台まで下げ、NYダウは前日比35ドル超安、ドル円相場は6日の111.62、7日の111.59、そして前日の111.63と今週に入って各日の安値は下押ししています。

ポイントは、米国の立場、トランプ大統領の立場に立った思考をすべきだという事です。
具体的に日米関係では上記の「安全保障問題」と「通商問題」との同時解決を図るため、駐留費等の要求・批判は今後一切しない代わりに、日本の自動車メーカーのメキシコにある主力工場を米国への移転を求め、ドル円相はでの為替調整を求めてくると予想します。

ドル円:2月9日のテクニカル分析

ポイント:下値ターゲット109.94の前に、111.50突破できるか。

昨日は、東京時間の高値が112.54、安値が111.80、海外時間に入っての高値が112.40、安値が111.63。
週末の日米首脳会談を控え、終日112.00を挟んで様子見です。

テクニカルには、日足の一目均衡表・転換線を割り込んだままなので、足元は下向き継続です。
本日もまず転換線を上値抵抗と考え、同線を背後に戻り売り優先、もし上抜けてくる場合には一旦買戻して様子を見るべきと考えます。
日足の一目均衡表の先行スパン1と先行スパン2の間の領域に入り込んだままなので、ハッキリと方向性を示唆するためには上下の先行スパンのいずれかを抜けてくる必要があります。
足元では、6日に11月の101.20から118.60までの上昇の38.2%下押しに当たる水準の112.00を割り込んだ後、7日も前日の8日も111.50割れを試しましたが結局112.00水準へ戻されています。   
下値押しの目途は50%下押しの水準の109.94で、このレベルは丁度先行スパン2にも相当しているので、強い支持線です。

上値方向を目指すには
1. 先ずは転換線の回復、そして114台の回復が必要です。
2. 低下傾向の日足の一目均衡表・基準線を超えてくれば、高値更新の可能性が見えてきます。
転換線を下回っている限りは、一段の安値模索の動きの中にあるとの判断に変わりはありません。

本日の下値目途は、
1.ここ3日続けて111.50を試すものの112.00台へ戻されている事から、昨年11月の101.20から118.60までの上昇の50%下押しに当たる109.94を試す流れになる為には、7日安値の111.59を下抜ける必要があります。
2.その下は昨年11月28日の安値の111.35、そして109.94を意識する事になります。

これまで述べてきた通り、今年は年間で見るとレンジであるとする見方にも変わりはありません。
昨日年初来安値を111.59まで下押ししましたが、年初来高値の118.60との間を意識して、112〜118、もしくはやや広げての110〜120と想定します。明日からの10日の日米首脳会談でトランプ大統領から円高・ドル安の要求がある場合、下値は100.00水準までの下押しの可能性があると想定します。

今日のレンジは、111.40~112.90と見ます。

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