10日の日米首脳会談に注目(週報2017年2月第一週)

先週もトランプ大統領の大統領令の影響自体からのドル売り

10日の日米首脳会談に注目(週報2017年2月第一週)

ドル円:1月30日からの先週

先週もトランプ大統領の大統領令の影響自体からのドル売り、そしてリスク・オフの円買いの面もあり、下値模索の週でした。 
112.00割れを何度か試すものの、底割れは回避して112.63で週引けでした。

1月30日は前週引けの115.09から、ギャップダウンの114.73で始まりました。これはトランプ大統領がテロ対策として難民・移民の受け入れ停止や凍結などを命じる大統領令に署名したことを嫌気してのドル売りです。東京時間に114.95の高値を付けましたが、その後は海外時間へ移っても地合いは変わらず、NY時間に30日安値の113.44まで下押して113.77で引けました。

1月31日はトランプ大統領が「日本と中国は通貨切り下げの為替操作をしてきた」と述べた事で、ドル売りが加速しました。
東京時間は前日引け113.75で始まり113.24まで下押した後、31日の高値113.96まで上戻しました。それからはNY 時間に一時112.07まで下げ31日の安値を付けるまで下げの一方方向でした。その後は113.33までョートカバーが入った後112.79で引けました。

2月1日は前日引けの112.79で始まり直ぐに1日安値の112.63を付けた後は、東京時間からNY時間に入るまでじり高で推移、1月米ADP報告や米ISM製造業景気指数がいずれも予想を上回る結果で1日高値の113.95まで上昇。ただその後発表のFOMC 声明が3月米利上げを示唆する内容ではなかった事から市場の一部の失望を買い112.83まで売られる展開になり、113.23で引けました。

2日は前日引けの113.23で始まるも、前日のFOMCが米利上げを急がない方針を維持した事、つまり早期の米利上げ観測が後退した事でドル売り地合いが継続、東京時間では日経平均株価が前日比233円超安となり、一時112.04と昨年11月29日以来の安値を付けました。ですが下値112.00からは本邦長期資金の買いが観測されているとの話から、売り一巡後は下げ渋り112.87まで上戻し112.80で引けました。

3日は1月米雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比227000人増と市場予想平均の前月比175000人増を上回り、直後は113.50水準まで反発(薄いので業者により高値がまちまち)。ただ、注目の失業率や平均時給が予想より弱い内容だった事が伝わり、米10年債利回りが2.49%から2.44%まで低下、112.31まで一気に下押ししました。その後SF連銀のウィリアムズ総裁が3月米利上げに前向きな発言をした事で113.08まで急反発した後、112.63で引けました。

ドル円:2月6日からの今週

ポイント:昨年11月の米大統領選挙以降のトランプ相場の調整期に入っている中で今週10日の日米首脳会談に注目です。
トランプ大統領の指名した閣僚も米議会に段々と承認されて来ていて、徐々に動き出すでしょう。
先週、トランプ政権閣僚として初めて来日したマテイス米国防長官との会談は良かったと判断します。
日米関係で残るは、経済・貿易問題です。

CME通貨先物ポジション状況:1月31日時点
(1月31日)(1月24日)(1月17日)
円  ▲58331 ▲66840 ▲77830
ユーロ ▲45713 ▲52348▲66500
ポンド  ▲61772 ▲63172 ▲66242

シカゴIMM: 短期投機・投資家による円のネットポジション、売持高は今週も減少、ピークの87000枚からは33%減。

シカゴVIX指数:投資家の恐怖心理の度合いを示す指数、
10.98(-0.95)VIX指数は下落しての引け。

大統領選挙期間中からそうでしたが、1月20日の就任式以降のこの2週間は、トランプ新大統領の言動に市場のみならず、世界中が振り回されてきています。
そんな中で今週10日には日米首脳会談が行われます。先週はそれに先立ち、トランプ政権の閣僚で初めてマテイス国防長官が来日しましたが、10日に先駆けて日本サイドへ米国のアジア太平洋地域へのコミットメントと、日米同盟の確認を直接伝えたのは正解であったと判断します。

日米間のポイントは、1.安全保障と、2.経済・貿易問題、の2点に集約されます。
マテイス国防長官が来日で、少なくとも1.安全保障は、クリアできたものと想定します。

問題は、2.経済・貿易問題の方で、恐らく想定されるのは
1. 米から見た対日本の巨額の貿易赤字を問題にしている訳ですから、この数字、絶対金額ベースでの減額目標か、貿易赤字全体に占めるパーセントの縮小目標という、目で見える数字での、しかも2018年中間選挙前までにという期限を切って、約束をする事を迫って来るのではと想定し
2.米億第一主義、そして雇用第一主義を掲げている訳ですから、米国内で何人の新規雇用を作るか、これも時間的な期限を切って、計画を提出するように迫って来ると想定し、
3.最後にドル円相場について、日本を中国と同列に為替操作国としたい様なので、何を迫って来るのか要注意です。トランプ大統領の政策がドル高をもたらす訳で、日本が円安誘導している訳ではないので、為替操作国認定と脅しをかけるくらいしか、できないからです。
関税をかけると言っても、日本からの輸入に関税をかけて困るのは、米国民自身なのですから。

いずれにせよ、こう見てみると、10日に関しては、ドル高にはなりにくく、ドル円はドルの下値を模索する週となりそうです。


先週のレンジは下値を模索するも112.00の堅さを確認する展開でした、
1月30日の 113.44 〜 114.95
1月31日の 112.07 〜 113.96
2月1日の 112.63 〜 113.95
2月2日の 112.04 〜 113.36
2月3日の 112.31 〜 113.51

テクニカルにみると、日足の一目均衡表で
基準線が    115.33で 横ばい
転換線が    113.72で 横ばい
実勢値     112.63  3日の引け
先行スパン1が 116.03で 上昇
先行スパン2が 109.93で 横ばい
となっています。

あれほど底固いと見ていた112.50を突破しての112.00直前の112.04までの下押し。
112.00にも112.50と同様なオプションや、長期資金からの買いも観測され、それなりに下抜けは難しそうです。
テクニカルは、日足の一目均衡表の基準線115.33と転換線113.72を下回り、遅行スパンも実践を下回っています。所詮は先行スパン1と2との間に挟まれた領域にある訳で、その限りにおいては上方向にも下方向にも強いトレンドのサインは出ません。
ハッキリとした方向性を示す為には、日足の一目均衡表の先行スパン1の116.03か、先行スパン2の109.93かの何れかを抜けてくる必応があります。



足元の地合いで言えば、売り優勢で、
上値目途は、下降中の転換線113.72
その上は1月30日高値の114.95、そして115.00です。

下値目途は、2日の安値で年初来安値でもある112.04、
ここを下抜けると、底抜けになり、111.00、110.00と順次試してゆく事になります。
109.93には先行スパン2があり、ここを下抜ける場合には、強い売りサインです。

予想レンジは、112.00~115.00 と見ます。

オーダー/ポジション状況

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