前週の主要レート(週間レンジ)
始値 高値 安値 終値
ドル円 113.81 115.38 112.55 115.10
ユーロ円 121.92 123.31 121.14 123.11
ユーロドル 1.0713 1.0775 1.0658 1.0696
日経平均 18938.45 19486.68 18783.16 19467.40
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
前週の概況
1月23日(月)
トランプ大統領は就任式直後からこれまでの発言を実行に移す大統領令に署名し、またホワイトハウスのホームページには通商政策の柱が掲載されるといった感じで、当然ではあるものの公約を実現するために動き始めました。為替市場では特に通商政策の保護主義に焦点が当たりドル安、特に就任前会見で名前が上がった日本ということもあってドル円が全面安の動きとなりました。東京市場ですでに大幅安で始まったドル円は後場には113.17レベルまで水準を下げましたが、その後は持ち直しNY市場では規制緩和や減税の発言で長期金利上昇につながったことでいったんは114円台まで値を戻しました。しかし、その後は戻り売りも根強くまたムニューチン氏の強すぎるドルは短期的にはマイナスと、トランプ大統領をカバーするような発言も出たことで、112.70レベルまで下げ安値圏での引けとなりました。
1月24日(火)
前日NY市場のムニューチン氏の発言を受け早朝市場では円買いが先行、一時112.52レベルと先週安値を下回る場面があったものの112.50以下には実需を中心としたドル買いオーダーも控えていた様子で下げきれずに反発する動きとなりました。後場に113円台を回復すると日計り組のストップオーダーも巻き込みながら113円台半ばへと上伸し、NY市場序盤には弱い経済指標に反応し112円台に押した後に、大統領令で米国カナダ間のパイプライン建設促進とパイプラインに米国製鉄鋼材を使う必要とのニュースが出ました。このニュースに反応し、以前のインフラ投資による米国経済拡大の思惑でNYダウが大幅高、それに伴ってそれまでの下げが大きかったドル円を中心にドル買いが入っての引けとなりました。
1月25日(水)
朝方こそ前日のパイプライン関連の話題でドル買いが先行したものの、114円台には乗せられずその後は113円台後半の狭いレンジでの取引が続きました。欧州市場に入りポンド買い(ドル売り)に引っ張られてユーロドル、ドル円ともにドル売りの動きとなりドル円は一時113.04レベルまで水準を下げましたが、NY市場ではダウが初の20000ドル乗せとなり、再び東京のもみあい水準へと値を戻しました。しかし、米国の景気拡大期待があると同時に保護主義の懸念もあり、為替市場ではドル円を中心に保護主義懸念から引けにかけては再び安値圏に押してのクローズとなりました。
1月26日(木)
NYダウの20000ドル台乗せを好感して日経平均株価も大幅高、リスクオンの動きからドル円でもドル買いの勢いが強まりました。欧州市場に入り114円台に乗せるとストップオーダーを巻き込みながら一段高となり、世界的に主要株価指数が強い動きとなったことでNY市場ではドル円は114.86レベルまで上伸しました。その後は短期筋の利食いも出て引けにかけては若干小緩んでのクローズとなりました。
1月27日(金)
金曜の東京市場では、日銀の買いオペ増額に反応し円安に動いてスタートし、あっさりと115円台に乗せた後も底堅い値動きを継続しました。その後はNY市場の朝方に弱めの経済指標に反応し若干押す場面も見られましたが、114円台後半から115円台前半の狭いレンジでの値動きに終始しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2017年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、シカゴ、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。
1月30日(月)
**:** NZ市場、香港市場(〜31日)、中国市場(〜2日)休場
17:00 スペイン10〜12月期GDP速報値
19:00 ユーロ圏1月消費者信頼感確報値
22:00 ドイツ1月CPI速報値
22:30 米港12月個人所得・個人消費支出
24:00 米国12月中古住宅販売保留件数指数
24:30 米国1月ダラス連銀製造業活動指数
1月31日(火)
08:30 本邦12月失業率、有効求人倍率
09:01 英国1月GFK消費者信頼感
09:30 豪州12月NAB企業信頼感
**:** 日銀金融政策決定会合結果公表
15:30 黒田日銀総裁会見
15:30 フランス10〜12月期GDP速報値
17:55 ドイツ1月失業率
19:00 ユーロ圏10〜12月期GDP速報値
19:00 ユーロ圏1月CPI速報値
19:00 ユーロ圏12月失業率
21:00 南ア12月貿易収支
22:30 米国10〜12月期雇用コスト指数
23:00 米国11月ケースシラー住宅価格指数
23:45 米国1月シカゴ購買部協会景気指数
24:00 米国1月消費者信頼感指数
30:45 NZ10〜12月期失業率
2月1日(水)
10:00 中国1月製造業・非製造業PMI
17:50 フランス1月製造業PMI確報値
17:55 ドイツ1月製造業PMI確報値
18:00 ユーロ圏1月製造業PMI確報値
18:30 英国1月製造業PMI
22:15 米国1月ADP全国雇用者数
23:45 米国1月MarkIt製造業PMI確報値
24:00 米国1月ISM製造業景況指数
24:00 米国12月建設支出
24:30 米国週間原油在庫
28:00 FOMC結果公表
2月2日(木)
09:30 豪州12月貿易収支
18:30 英国1月建設業PMI
19:00 ユーロ圏12月PPI
21:00 英中銀MPC結果公表
21:30 英中銀総裁会見
21:30 米国1月チャレンジャー人員削減予定数
22:30 米国10〜12月期単位労働コスト速報値
2月3日(金)
08:50 日銀金融政策決定会合(12月19・20日)議事要旨公表
10:45 中国1月MarkIt製造業PMI
16:00 トルコ1月CPI
17:50 フランス1月サービス業PMI確報値
17:55 ドイツ1月サービス業PMI確報値
18:30 英国1月サービス業PMI
22:30 米国1月雇用統計
23:15 シカゴ連銀総裁講演
23:45 米国1月MarkItサービス業PMI確報値
24:00 米国1月ISM非製造業景況指数
24:00 米国12月製造業受注指数
今週の週間見通し
先週は週初こそトランプ大統領就任直後の通商政策に対する懸念とムニューチン氏(財務長官就任予定)の短期的なドル高否定発言が重なり、前週末の115円台から火曜には112円台半ばまで円高が進みました。しかし、112円台半ばの買いには根強いものがあり前週と同様に自律反転で切り返すと、週半ば以降は初の2万ドルを示現したNYダウに連れ高となった日経平均株価に反応して金曜NY市場では前週末同様の115円台前半に戻しての引けとなりました。
金曜に違和感があったのが、米国側から日本に対してTPP後の2国間交渉が突きつけられるとの話が出ていたにもかかわらず市場が反応しなかった点です。本来ならば週初の時と同様に保護主義懸念から円高に動いて引けてもおかしくはなかったはずなのですが、市場は材料視していませんでした。
そして金曜の引け後に安倍首相とトランプ大統領が電話会談を行い2月10日に日米首脳会談を実施、その場で日米間の2国間交渉を行うことが決まっています。米国はTPPからの離脱を大統領令で決定し、就任式でも保護主義こそが重要といった発言を行っていることや、就任前の会見では日本が中国と並んで通商政策で要注意国家と見なされていることは確実です。トランプ大統領の考えていることや知識が仮に間違っていたとしても、それでもって国が動いていくのですから無視できないどころか、市場参加者はそれに沿った動きをしないと負けてしまいます。
つまり、2月10日の首脳会談ではTPPよりもはるかに日本にとって不利な条件を突き付けられることは間違いないと考えられますし、観測記事では為替についても通貨安誘導に制限をかけるといった話も上がっています。先週も書いたことと同じですが、米国の保護主義の向かう対象国に日本が含まれている事実が、今後も米国の新政策期待によるリスクオンを打ち消す方向で作用してくることとなるでしょう。
そしてテクニカルにも気になる点があります。これも先週書いたことですが「当面ひとつ気にしておくべき水準として、就任直前の戻し高値となった115円台半ばが挙げられます」とテクニカルな面と米国側の思惑とを重ねて戻り高値の水準と考えたのですが、先週金曜もまた115円台前半で折り返す結果となりました。
現状は112円台半ばと115円台半ばとに挟まれるレンジ相場となってきた感はあるものの、2月の首脳会談に向けリスクがあるとするならば、112円台半ばを下抜け円が一段高となる展開でしょう。おそらくしばらくの間はドルの動きももちろんですが、円の動きは別といった考え方が徐々に広まってくるものと見ています。
今週も先週と似たレンジを辿りやすいと考え、112.60レベルをサポートに、115.30レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみ平均足と同様とすることで、短期的な方向性(緑=上昇、赤=下降)を見やすく加工した当週報独自のチャートとなっています。また、国内外で人気の高い一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。トレンドラインは週初の段階で過去一定期間から自動的に表示される自動トレンドライン(無い場合もあります)となっています。
ディスクレーマー
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