見極め困難トランプリスク織り込む形か
ドル円は、年末年始に形成した118台でのダブルトップからの下押しで一時112.55へ下落、注目のトランプ次期米大統領の大統領就任式を20日に無事に乗り切り、週引けは114台半ばでした。
16日は、前週末の引けの114.53からギャップダウンの114.25で始まり、東京時間にじりじりと下押し、16日安値の113.62をつけました。メイ英首相が17日の演説で、移民流入制限を優先、EU単一市場からの撤退を表明との英紙報道を受けてポンド売りでポンド円が急落、ドル円もつれ安でした。 その後は終日横ばい推移で、114.19で引けました。
17日は、前日引けの114.19で始まり、東京時間大きく112.73まで下げ、欧州時間に一旦113.59へ上戻すも、NY引けへ向け17日安値112.59まで下げての引けでした。昨日以来のメイ首相演説への懸念を嫌気しで日経平均株価は281円安、米10年債利回りは2.34%台まで低下するも、欧州時間にメイ首相がEU離脱の最終案を議会で採決にかけると述べポンドは一旦買い戻しでした。NY時間のドル売りはトランプ次期大統領によるドル高牽制発言が背景です。
18日は、前日引けの112.61で始まり、東京時間から海外時間にかけ上昇を続け、NY時間に18日高値の114.76をつけ、114.63で引けました。本年3回の米利上げに前向きのFRB 高官発言、改善を示すベージュブック、ハト派のイエレン議長のタカ派的発言と終日ドル買い材料ばかりでした。
19日は、前日引けの114.63で始まり、東京時間からじりじりと上戻し続け、NY時間に入り、19日高値の115.62をつけました。その後はやや下押しし114.85で引けました。前日のイエレン議長発言、特にFF金利の誘導目標が2019年末までに3%との内容から年内米利上げを織り込むドル買いが継続。日経平均株価は前日比177円高、米10年債利回りは2.43%台に上昇。
20日は、前日引けの114.82で始まり、東京時間から115.00を挟んでNY時間のトランプ次期米大統領の就任式を待つ展開でした。
注目されたトランプ米大統領の就任演説は問題なく乗り切りましたが、直後に、以前からの公約通り、TPPからの離脱を宣言、20日高値の115.38から114.23まで下押しされ、リスク・オフでそのまま安値圏で引けました。
ドル円:1月23日からの今週
ポイント:20日の大統領就任式に対する失望感もあり、トランプ米大統領のネガテイブな面を織り込む動きとなるかを見極める週でしょう。
トランプ大統領がこれまで述べてきたように、就任式後すぐに、TPPからの撤退と、NAFTA再交渉とを発表した事から、トランプリスクを織り込む形でドルは下値を模索するのではと想定します。
CME通貨先物ポジション状況:1月17日時点
(1月17日)(1月10日)(1月3日)
円 ▲77830 ▲79838 ▲86764
ユーロ ▲66500▲65823▲70056
ポンド ▲66242▲65831▲64742
シカゴIMM: 短期投機・投資家による円のネットポジション、売り持ち高は減少。ただ70000台の高水準ショートポジションは維持。市場の円売り持ち高のポジションが偏っているので、円の一段の下落は困難なのではと予想します。
シカゴVIX指数:投資家の恐怖心理の度合いを示す指数、
12.18(-0.60)VIX指数は下落しての引け。
注目の20日の米大統領就任式は、市場の期待に反して今後の具体的な政策を述べるものではありませんでした。
市場が引き続きトランプ相場、期待先行からのドル買いを継続するのか、
トランプ・リスクを織り込み始め、昨年11月以来のトランプ相場の一旦の調整が進むのか、
これからどちらの方向へ進むのかを見極める大切な週になると思います。
就任式で今後の政策の具体的な内容が指し示されなかった事で、今後の注目は、
1. 1月下旬の一般教書演説、これは大統領の施政方針演説の様なものです
2. 2月下旬の予算教書演説
この2つに期待が持ち越されます。
先週のレンジは上下に方向を模索する展開でした、
1月16日の 113.62 〜 114.46
1月17日の 112.59 〜 114.28
1月18日の 112.55 〜 114.76
1月19日の 114.39 〜 115.62
1月20日の 114.20 〜 115.38
テクニカルにみると、日足の一目均衡表で
基準線が 115.62で 横ばい
転換線が 115.05で 横ばい
実勢値 114.55 20日の引け
先行スパン1が 112.22で 上昇
先行スパン2が 109.29で 上昇
となっています。
昨年12月15日の高値118.67と今月3日高値の118.60で形成のダブル・トップターゲット113.40水準を17日には達成し、下値目途として見ていた大統領選挙後の上げの38.2%押しの112.00を試す形で18日に112.55まで下押ししました。その後19日には115.62まで上戻しで、下値試しは一旦止まっています。
見方としては、再度の下値模索となるのか。その為にはまず20日の安値114.20を下抜け、18日の安値112.55をして抜けて下値模索の再開と判断します。その際の下値目途は大統領選挙後の上げの38.2%押しの112.00、そして同50%押しの110.00です。
ただ、中長期的なトレンドはあくまで円安・ドル高なので、足元で急上昇中の先行スパン1に沿う形で上値模索となるのか。ただ、高値更新を目指すには、ダブルトップのネックライン116.04の上抜けが必要で、それ以上での水準の維持が必要との見方にも変わりありません。
今の材料からでは、これ以上は見極めきれず、今後の動き次第です。
このままの実勢値での横ばいで推移の場合には、数日で先行スパン1と2との間に入り込んでしまいます。そうなると方向性のはっきりしない横ばいとなる可能性が高くなります。
予想レンジは、113.50~117.00 と見ます。
オーダー/ポジション状況
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