ドル円見通し FOMC、日銀会合控え持ち高調整で7日ぶり反落(24/12/18)

18日午前序盤は153.50円近辺に付けている。

ドル円見通し FOMC、日銀会合控え持ち高調整で7日ぶり反落(24/12/18)

FOMC、日銀会合控え持ち高調整で7日ぶり反落

〇ドル円、FOMC控えた持ち高調整で下落、深夜に安値153.11つける
〇153円割れは回避して買い戻され、12/18午前序盤は153.50近辺で推移
〇米経済指標は強弱まちまち、小売は堅調、製造業の悪化に対する懸念で緩やかな利下げ期待は継続か
〇FOMC、2025年利下げ想定回数や2025年末の金利水準、失業率、CPI、GDP等の見通しに注目
〇153.75以下での推移中は一段安警戒、153.11割れからは152円台中盤への下落を想定
〇153.75超えを強気転換注意とし、154円超えからは上昇再開とみて12/16深夜高値154.47試しを想定

【概況】

ドル円は米国の利下げペース鈍化見通しによる米長期債利回り上昇と日銀の12月利上げ見送り見通しを背景として12月9日から16日まで6連騰とし、16日深夜に154.47円を付けて12月3日安値148.64円以降の高値を更新、その後の154円割れも買われて17日夕刻にかけて154円を挟んだ揉み合いとしていたが、FOMCを控えた持ち高調整で下落に転じ、17日の日中に上昇していた米長期債利回りが米国市場時間に入って低下に転じたため、18日3時台安値153.11円へ下落した。153円割れはひとまず回避して買い戻され、18日午前序盤は153.50円近辺に付けている。
19日早朝のFOMC(4時、政策金利と声明文発表、4時半にパウエルFRB議長会見)、19日昼頃に日銀金融政策決定会合結果発表と午後の植田総裁会見と重要イベントが続くため、目先は持ち高調整も入りやすく、米日の金融政策姿勢と米長期債利回り動向を見て、年末にかけてのドル円の方向性も決まってくるのだろうと思われる。

【17日夜の米経済指標は強弱まちまち】

17日夜の米経済指標は強弱まちまちだったが、明朝のFOMCにおける利下げ判断を阻害しないものの来年の利下げペースが緩むとの見方に寄与するものだった。
米商務省による11月小売売上高は前月比0.7%増で市場予想の0.5%増を上回り、10月は当初の0.4%増から0.5%増へ上方修正された。変動の激しい自動車・同部品を除き0.2%増で予想の0.4%増を下回ったが、10月は当初の0.1%増から0.2%増へ上方修正された。ガソリンを除き0.7%増、自動車・同部品・ガソリン除き0.2%増だった。
小売売上高の前年同月比は3.8%増で10月の2.9%増を上回り2か月連続で拡大し、2023年12月の5.5%以来の高水準だった。

FRBによる11月鉱工業生産指数は前月比0.1%低下の102.0となり、市場予想の0.3%上昇を下回り、3か月連続の低下となった。10月は当初の0.3%低下から0.4%低下へ下方修正された。
設備稼働率は76.8%で予想の77.3%を下回り、10月は当初の77.1%から77.0%へ下方修正されたが、製造業稼働率は76.0%で前月から0.1%上昇した。
12月のNAHB住宅指数は46となり11月と同じだったが市場予想の47を下回った。
小売は堅調で利下げを急ぐ必要性を感じさせないが、製造業の悪化に対する懸念が残り、緩やかな利下げへの期待は継続する印象だ。

【明朝のFOMCから日銀金融政策会合へ】

米連邦公開市場委員会FOMCは日本時間19日4時に声明及び政策金利を発表、パウエルFRB議長は4時半から会見する。市場は0.25%の追加利下げを織り込んでおり、1月2024年9月時点で4回とされていた2025年の利下げ想定回数がどの程度減るのか、FOMCメンバーによる2025年末の金利水準や失業率、CPI、GDP等の見通しがどの程度か注目される。
来年1月についてはトランプ政権発足もあるため利下げ見送りが濃厚とされているが、第2次トランプ政権の政策(関税強化、大型法人減税、移民対策等)についてどの程度意識するのかも注目したいところだ。
一方で日銀金融政策決定会合では追加利上げが見送られるとの見方が優勢であり、仮に追加利上げが決定されればかなりのサプライズ的な円高を招く可能性もある。利上げを見送った上で1月以降の追加利上げスタンバイ姿勢を示せば円高へ進みやすく、追加利上げ判断についてトランプ政権の動向や春闘を見たいとすれば慎重なハト派姿勢として円安を助長しやすいと思われる。

【FOMC控えて米長期債利回りは小動き、NYダウは9日続落】

12月17日の米長期債利回りはFOMCを控えて概ね小動き。日中から上昇していたが米国市場時間入りから低下に転じている。
長期金利指標の10年債利回りは前日と変わらず4.40%で、一時4.44%をつけて12月6日の4.13%以降の高値を更新したが、その後に上昇幅を削った。30年債利回りは0.01%低下の4.59%で、一時4.63%をつけて12月6日の4.30%以降の最高としてから上昇幅を削った。政策金利動向に敏感な2年債利回りは前日比0.01%低下の4.25%で、一時4.29%をつけて12月6日の4.08%以降の最高としてから上昇幅を削った。

一方で、NYダウは前日比267.58ドル安と下落して12月5日から9営業日続落となった。12月4日に45073.63ドルを付けて取引時間中の史上最高値としてから下落が続いており、11月6日の米大統領選でトランプ氏が勝利したことをきっかけとした上昇幅の大半を解消している。ナスダック総合指数は16日に史上最高値を更新したが、17日は64.83ポイント安と3日ぶり反落となり、S&P500指数も23.47ポイント安と下落して12月6日の史上最高値以降は上昇一服の様相だ。
ドル円にとっては米10年債利回り動向が最重要だが、株安が続くようだとリスク回避感からの円高圧力も増しやすいと注意したい。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は12月11日夕刻の乱高下から152円割れを買われる持ち合いに入り、13日に持ち合いを上放れたため、持ち合い終点の12日夜安値を起点とした上昇期として17日深夜にかけての間への上昇を想定してきたが、17日午前時点では16日夕反落時安値153.44円割れからはいったん仕切り直しの下げに入るとした。
18日未明への下落で16日夕安値を割り込んだため、16日深夜高値を起点とした下落期入りとする。目先の安値形成期は18日未明から19日夜にかけての間と想定されるので、早ければ18日未明安値から新たな上昇期に入る可能性があるが、18日未明安値153.11円割れからは下落継続として明朝のFOMCを通過して反騰入りするか続落するのか試されると思われる。

60分足の一目均衡表では18日未明への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンの下限に来ている。遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンから転落して下げ足が速まる可能性もあると注意するが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は18日未明への下落で30ポイントを割り込んでから40ポイント近辺へ戻している。50ポイント以下での推移中は一段安余地ありとするが、相場が一段安する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられる場合は反騰注意とし、50ポイント超えからは上昇継続とみて60ポイント前後を試すとみる。明朝のFOMC後は波乱注意とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月18日未明安値153.11円を下値支持線、153.75円を上値抵抗線とする。
(2)153.75円以下での推移中は一段安警戒とし、153.11円割れからは152円台中盤への下落を想定する。FOMCを通過して下落する場合は152円割れを試す可能性もあると注意するが、日銀会合も続くため、152円以下は買い戻しも入りやすいとみる。
(3)153.75円超えを強気転換注意とし、154円超えからは上昇再開とみて16日深夜高値154.47円試しを想定する。154.30円以上は反落注意とするが、16日深夜高値超えからは155円を目指して行く上昇期に入るのではないかと考える。

【当面の予定】

12/18(水)
日銀金融政策決定会合初日
16:00 (英) 11月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (10月 0.6%、予想 0.1%)
16:00 (英) 11月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (10月 2.3%、予想 2.6%)
16:00 (英) 11月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前年同月比 (10月 3.3%、予想 3.6%)
16:00 (英) 11月 RPI(小売物価指数) 前年同月比 (10月 3.4%、予想 3.7%)
19:00 (欧) 11月 HICP(調和消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (速報 2.3%、予想 2.3%)
19:00 (欧) 11月 コアHICP(食品エネルギー等除く) 前年同月比 (速報 2.7%、予想 2.7%)

22:30 (米) 7-9月期 経常収支 (4-6月 -2668億ドル、予想 -2840億ドル)
22:30 (米) 11月 住宅着工件数・年率換算 (10月 131.1万件、予想 134.5万件)
22:30 (米) 11月 住宅着工件数 前月比 (10月 -3.1%、予想 2.6%)
22:30 (米) 11月 住宅着工許可件数・年率換算 (10月 141.6万件、予想 143.0万件)
22:30 (米) 11月 住宅着工許可件数 前月比 (10月 -0.6%、予想 1.0%)
24:30 (米) エネルギー省EIA週間石油在庫
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC) 政策金利 (現行 4.50-4.75%、予想 4.25-4.50%)
28:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、会見

12/19(木)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
06:45 (NZ) 7-9月期 GDP 前期比 (4‐6月 -0.2%、予想 -0.2%)
06:45 (NZ) 7-9月期 GDP 前年同期比 (4‐6月 -0.5%、予想 -0.4%)
09:00 (NZ) 12月 ANZ企業信頼感 (11月 64.9)
15:30 (日) 植田日銀総裁、会見
16:00 (独) 1月 GFK消費者信頼感 (12月 -23.3、予想 -23.1)
18:00 (欧) 10月 経常収支・季調済 (9月 370億ユーロ)
21:00 (英) 英中銀 政策金利 (現行 4.75%、予想 4.75%)

22:30 (米) 7-9月期 GDP・確定値 前期比年率 (改定値 2.8%、予想 2.8%)
22:30 (米) 7-9月期 PCE(個人消費支出)・確定値 前期比年率 (改定値 3.5%)
22:30 (米) 7-9月期 コアPCEデフレーター・確定値 前期比年率 (改定値 2.1%)
22:30 (米) 12月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (11月 -5.5、予想 2.4)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 24.2万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 188.6万人)
24:00 (米) 11月 コンファレンス・ボード景気先行指数 前月比 (10月 -0.4%、予想 -0.1%)
24:00 (米) 11月 中古住宅販売件数・年率換算 (10月 396万件、予想 410万件)
24:00 (米) 11月 中古住宅販売件数 前月比 (10月 3.4%、予想 3.4%)



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