一時155円台半ばまで急伸するなど、約3カ月半ぶり高値を更新
〇ドル円、米10月CPIの予想通りの結果に米国序盤に154.34まで反落
〇売り一巡後はFRB関係者のタカ派発言、米金利上昇等に155円台半ばに上昇
〇ユーロドル、欧州経済先行き不透明感、独仏政局不透明感等に1.05台後半の動き
〇ドル円、約三か月半ぶり高値を更新、テクニカルの地合い極めて強い
〇ファンダメンタルズもトランプトレード本格化、円キャリー再開期待等がドル円をサポート
〇ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:154.50ー156.50
海外時間のレビュー
13日(水)のドル円相場は堅調な値動き。(1)トランプ・トレードの本格化期待(トリプルレッド実現の可能性が高まったことで、トランプ氏が掲げる各種公約が通り易くなるとの期待感→トランプ氏による減税や財政出動、規制緩和や関税引き上げはインフレ率を押し上げると共に財政赤字拡大を招く恐れ→米長期金利が高止まりするとの警戒感→米金利上昇・米ドル買いの活発化)や、(2)日米金利差に着目した円キャリートレードの再開期待、(3)政府・日銀より円安牽制発言が出てこなかったことに対する安堵感が支えとなり、欧州時間朝方にかけて、一時155.24まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)米10月消費者物価指数(結果+2.6%、予想+2.6%)および、同コアCPI(結果+3.3%。予想+3.3%)の市場予想通りの結果や、(5)上記4を背景とした過度なインフレ懸念の後退、(6)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値154.34まで反落しました。
もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(7)ダラス連銀ローガン総裁による「FRBはおそらく追加利下げが必要となるが慎重に進める必要性がある」「FRBが中立金利を大幅に超える利下げを行うとインフレが再燃する恐れがある」との慎重な発言や、(8)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(9)米主要株価指数の堅調推移、(10)直近高値突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売りが支えとなり、米国時間午後にかけて、高値155.43(7/24以来の高値圏)まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間11/14午前3時00分現在)では、155.40前後で推移しております。
13日(水)のユーロドル相場は冴えない動き。(1)米大統領選でのトランプ氏勝利に端を発したトランプ・トレードの本格再開や、(2)上記1を背景とした対主要通貨でのドル買い圧力、(3)欧州経済の先行き不透明感(トランプ氏による関税引き上げ政策が欧州経済に下押し圧力を加えるとの警戒感→ドイツ連銀ナーゲル総裁は「トランプ次期大統領の関税はドイツ経済の縮小を招く恐れがある」「関税が発効されればドイツ経済は1%程度縮小するリスクあり」と発言)、(4)ドイツやフランスを巡る政局不透明感が重石となり、欧州時間朝方にかけて、一時1.0593まで下落しました。
本日の見通し
ドル円は一時155.43まで急伸するなど、約3カ月半ぶり高値を更新しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイントの上側で推移していること(ダウンサイドに複数のサポートポイントが並んでいること)や、強い買いシグナルを示唆する「21日線と90日線のゴールデンクロス」「21日線と200日線のゴールデンクロス」「指数平滑移動平均線ベースでの強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が継続点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、トランプ・トレードの本格化(インフレ懸念で米金利が高止まりするとの見方)や、日米金利差に着目した円キャリートレード再開期待など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。また、昨日発表された米CPIは予想通りの結果だったとはいえ、前月の数値(前年比+2.4%)から伸び率が加速しており、米FRBによる利下げペースが9月に発表されたドット・チャートよりも大幅に鈍るシナリオが想定されます。
ドル高・円安が加速すると、円売りを抑える目的で日銀による年内追加利上げ観測が浮上する傾向にあるものの、早急な利上げは日本株のクラッシュを誘発するリスクを孕んでいるため、実行に移すことは容易では無いと考えられます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米10月生産者物価指数や、リッチモンド連銀バーキン総裁講演、パウエルFRB議長講演などが予定されております。
本日の予想レンジ:154.50ー156.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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