発表される指標を注視、政治要因にも要注意
〇先週のドル円、米大統領選受けドル安円高でのスタートとなるも週間高値154.71示現
〇その後はドル売りが優勢となり2円以上も下落、週末NYは週初の寄り付きに近いレベルで推移
〇米FOMCおよびパウエル議長の会見はドル売り要因と捉えられる
〇今週は米10月消費者物価指数、小売売上高や日本7-9月期GDP速報値等の日米経済指標が発表予定
〇ドル高円安方向、153円半ばが短期の抵抗で抜ければ154.70レベル目指す
〇ドル安円高方向、21日線めぐる攻防に注目、下回ると200日線や先週安値151.29ターゲット
〇今週のドル円予想レンジ:151.00-154.50
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場はドルが行って来い。ザラ場ベースでは一時154.71円、7月30日以来の高値を示現したものの、レベルを維持出来なかった。
前週末に話題を集めていたのは米大統領選。5日にいよいよ実施されるが、相次ぐ失言を受けトランプ氏の優位性が失われつつあるとの見方が台頭し思惑を呼んでいた。一方、イランによるイスラエル報復が「数日内」に行われるとの報道が物議を醸す。
そうした状況下、ドル/円は上記米大統領選の観測を受け、ドル安・円高でスタート。前週末のNYクローズは153円前後だったが、寄り付きは152円台で上方向にギャップを空けている。その後は米大統領選と米FOMCという2大材料を受け右往左往するなか、週間高値の154.71円を示現。しかし、示現後はドル売りが優勢となり、あっという間に2円以上も下落。結局、週末NYは週初の寄り付きに近いレベルで推移し、そのまま越週となった。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「米大統領選」と「米金融政策」について。
前者は、投票直前になり、トランプ氏が党内の反トランプ派であるチェイニー元下院議員に「銃口を向けてみよう」と述べたほか、「報道機関関係者が銃撃されたとしても気にしない」と発言したとされ、投票への悪影響を懸念する声がそこここで台頭。複数メディアからも「稀に見る接戦」などと報じられていたものの、実際にはトランプ氏の完勝だった。微妙な票差の場合には再集計なども予想され、最終的な結論が出るまで数日、長ければもっと後ズレするとされていたが、結果的にその日のうちに「トランプ氏勝利」が内定している。
対して後者は、1日の金曜日に発表された米雇用統計が予想以上の悪化。それを受け、ロイターが事前に「11月の0.25%利下げはほぼ確実に」と報じるなか、現地7日米FOMCの結果として、そのとおりの発表を行っている。また、そののちパウエルFRB議長は会見で「既定の道筋はなく、会合ごとに決定」などと述べたものの、「インフレは大幅に緩和したが勝利宣言を行わない」や「失業率は過去3ヵ月で低下、しかし賃金上昇は鈍化」といった文言を踏まえたうえで、追加利下げをイメージする向きも少なくなかったようだ。どちらかというとドル売り要因と捉える向きが多かったもよう。なお、それとは別に、パウエル議長は「トランプ次期政権から辞任を要求されても応じる考えがない」との考えを示し、こちらも一部で話題になっていた。
<< 今週の見通し >>
ドル/円相場は、6日と7日に高値154.70円レベルを示現したものの、その後は冴えない。上げ渋りどころか、調整と思しきドル売りに押され、あっという間に2円を超える下落をたどっていた。基本的なドル高という流れそのものはまだ継続していると思われるが、少なく見積もっても上値トライが仕切り直しになった感もある。再び154円台へと戻るような局面では、本邦要人の円安けん制発言も予想され、上値を抑制するといった見方も多くドルの頭は引き続き重そうだ。
先々週から先週に掛けて、日米がともに政策金利発表を行った。現行金利もさることながら、先行きについては日本が「12月に利上げ実施」、米国も「12月に追加利下げ」を予想する向きが取り敢えずは有力か。そのため、そんな次回金融会合に向け、今週も発表される日米の経済指標にまずは要注意。米国でいえば10月の消費者物価指数、日本は7-9月期GDP速報値の発表がとくに注視されている。また、週明けに特別国会が開幕する日本を中心とした米国やドイツなど、各国の政治情勢も不安定で一応注意しておきたい。
テクニカルに見た場合、前述したようにドル/円の基本的なリスクは依然としてドル高方向にバイアス。しかし、わずかながら風向きの変化がうかがえるところは気掛かりだ。移動平均では現在21日線が急上昇中。今週の半ばには152円台へと達することが見込まれていることから、まずは同線がサポートになるのか否かを注視したい。仮に割り込むようだと、151.70円台あたりに位置する200日線がターゲットに。
そうしたなか今週は、10月の消費者物価指数や同小売売上高などの米経済指標が発表される予定なっている。また、それとは別に中国の経済指標が週末にまとまって発表されるうえ、日本の7-9月期GDP速報値を警戒する向きは少なくない。また、13日に開幕するAPEC首脳会談とあわせ実施される可能性のある日中、そして米中首脳会談の行方にも注目だ。
そんな今週のドル/円予想レンジは、151.00-154.50円。ドル高・円安については、153円半ばが短期の抵抗で、抜ければ先週2度示現した154.70円レベルを目指す。
対してドル安・円高方向は、先でも取り上げた21日線をめぐる攻防にまずは注目だ。下回ると200日線、そして先週安値151.29円がターゲットとなる。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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