トルコリラ円見通し ドル円の失速で米大統領選後の上昇幅を解消(24/11/11)

トルコリラ円の11月8日は概ね4.47円から4.40円の取引レンジ、9日早朝の終値は4.40円で前日終値の4.46円から0.06円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ドル円の失速で米大統領選後の上昇幅を解消(24/11/11)

ドル円の失速で米大統領選後の上昇幅を解消

〇トルコ円、11/8夜に152.14へ下落、11/9に対ドルでのリラ買い戻しにより4.40まで戻す
〇ドル円と共に三段上げの三段目へ進めるか
〇今週の米経済指標を受けた米10年債利回りの反応、トランプ氏やFRB高官発言等に要注目
〇対ドル、11/8は概ね34.39から34.04の取引レンジ、8月後半からの持ち合い放れを試す
〇トルコ中銀の四半期インフレ報告、年末インフレ予想を上方修正
〇4.43割れからは4.41前後への下落を想定
〇4.46超えからは4.47、4.48を順次試す上昇を想定

【概況】

トルコリラ円の11月8日は概ね4.47円から4.40円の取引レンジ、9日早朝の終値は4.40円で前日終値の4.46円から0.06円の円高リラ安だった。
11月6日の米大統領選開票速報でのトランプ氏優勢報道によりドル円が6日午前安値151.28円から急伸して7日午前に154.71円まで高値を伸ばしたため、トルコリラ円もドル円を追いかけて6日午前安値4.41円から7日早朝高値4.52円へ急伸した。しかし、ドル円が急騰一巡で下落に転じ、8日早朝のFOMCでの0.25%利下げ決定と追加利下げ姿勢を示したことで152円台へ下落したためにトルコリラ円も8日早朝に4.45円へ失速した。
ドル円は8日夜に152.14円まで下落した後は152円台での持ち合いで下げ渋りとなり、トルコリラ円は8日夜に4.43円へ続落してから下げ渋ったが、9日早朝の取引終了時に対ドルでリラが買い戻されたことによるリラ高要因で日足終値を4.40円とし、トランプ・ショックによる上昇幅を解消した。
11日午前序盤は4.44円台で推移している。

【ドル円と共に三段上げの三段目へ進めるか】

ドル円は9月16日安値139.57円を起点として上昇してきたが、9月27日の自民党総裁選での石破ショックでいったん急落し、石破・植田会談での追加利上げへの慎重姿勢により一段高へ進み、10月26日の衆院選での与党大敗による円売りと11月6日の米大統領選でのトランプ氏勝利によるドル全面高で11月7日午前高値154.71円まで続伸してきた。7日午前高値からの反落により、二段目の上昇が一服ないし一巡した可能性があるが、押し目形成から11月7日高値を超えれば9月16日からの上昇が三段上げに発展して年末にかけての円安継続感が強まると思われる。

トルコリラ円もドル円とほぼ同調した動きで11月7日まで二段上げで高値を伸ばしてきたところから反落しているため、押し目形成から高値更新へ進んで三段上げ型へと発展すれば、年末への上昇継続感が強まると思われるが、11月8日の日足陰線による下げ幅を解消できないうちは下落が長引いて押し目形成の水準が深くなる可能性にも注意する必要があると思われる。
ドル円は米10年債利回り動向とほぼ同調しているため、来年のトランプ政権発足を見越して米10年債利回りが一段高へ進むか、当面の上昇要因を消化して低下へ転じるのか、今週の米経済指標に対する反応やトランプ氏発言、FRB高官発言等でしっかり見定めたい。

【ドル/トルコリラは持ち合い放れを試す】

ドル/トルコリラの11月8日は概ね34.39リラから34.04リラの取引レンジ、9日早朝の終値は34.03リラで前日終値の34.22リラから0.19リラのドル安リラ高だった。
8月28日安値34.41リラから9月16日高値33.58リラへ戻した後をこの高安レンジ内で持ち合いとしてきたが、11月1日に34.42リラを付けて取引時間中の史上最安値を若干更新し、終値では1日の34.30リラから4日の34.33リラへ2営業日連続で最安値を更新した。その後はリラ売りが続かずにドル安リラ高気味の推移を続け、9日早朝へ売られていたところから週末最終でのリラ買い戻しで反発したものの、8月後半からは34.40リラ近辺を下値支持線とした持ち合いを続けている印象であり、持ち合い放れのきっかけ待ちの様相だ。

【トルコ中銀の四半期インフレ報告、年末インフレ予想を上方修正】

トルコ中銀は8日に四半期インフレ報告を発表、CPI上昇率についての予想を2024年末で44.0%として前期予想の38%から上方修正し、2025年末についても21%として前期予想の14%からから上方修正した。
11月4日に発表された10月のCPI上昇率は前月比2.88%で9月の2.97%から鈍化したものの予想の2.61%を上回り、前年同月比は48.58%で9月の49.38%から鈍化したものの予想の48.20%を上回った。コアCPIは前月比2.8%(9月は3.6%)、前年同月比は47.8%(9月は49.1%)と高止まりの様相だった。

カラハン中銀総裁は今回の四半期インフレ報告において、インフレ鎮静化のための引き締め政策を続けるとした。中銀は高インフレとリラ暴落への対策として2023年6月から2024年3月までの連続利上げで政策金利の週間レポレートを50%まで引き上げて、その後も50%での維持を続けている。9月時点では10-12月期に利下げがあり得るとの見方が浮上していたが、市場は年内利下げの可能性が消えて利下げ開始は早くて来年1月以降とみている。利下げ開始が先延ばしされていることがリラ安への歯止め効果ももたらしているものの、リラ高へ進むにはトルコ経済の力強い拡大傾向を示す必要がありそうだ。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月6日午前安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、急騰後の修正安も警戒されるので4.48円割れからは弱気転換注意としていたが、8日早朝への下落で4.48円を割り込み4.45円へ続落したため、8日午前時点では7日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして9日早朝から13日午前にかけての間への下落を想定した。
8日夜へ続落した後は下げ渋っているものの4.46円以下にとどまっているのでまだ一段安余地ありとし、4.46円超えからは強気転換注意として4.47円から4.48円を試す上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では8日早朝への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落し、その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。11日午前序盤にやや戻しているため遅行スパンは好転しやすい位置に来ているものの先行スパンから大きく転落したままのため、先行スパンからの転落中は遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とする。

60分足の相対力指数は8日夜への下落で30ポイントを割り込んでから50ポイント近辺へ戻しているため、55ポイント以下での推移中は一段安余地ありとし、次の40ポイント割れからは20ポイント台をもう一度試す流れとみる。55ポイント超えからは60ポイント台前半への上昇を想定するが、60ポイントを超えた後の反落警戒とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.43円を下値支持線、4.46円を上値抵抗線とする。
(2)4.46円を下回るうちは一段安余地ありとし、4.43円割れからは4.41円前後への下落を想定する。4.41円前後は買われやすい水準とみるが、4.46円以下での推移から直前安値から0.03円を超える反騰がみられないうちは12日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.46円超えからは4.47円、4.48円を順次試す上昇を想定する。4.47円以上は反落注意とし、その後に4.44円を割り込むところからは下げ再開とみる。

【当面の主な予定】

11月11日
 16:00 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 -1.6%)
 16:00 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 -5.3%)
 16:00 9月 失業率 (8月 8.5%)
11月12日
 16:00 9月 経常収支 (8月 +43.24億ドル)
 16:00 9月 小売売上高 前月比 (8月 2.2%)
 16:00 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 13.3%)
11月14日
 20:30 週次 外貨準備高 11/8時点 グロス(11/1時点 930.1億ドル) 
 20:30 週次 外貨準備高 11/8時点 ネット(11/1時点 611.6億ドル)
11月15日
 17:00 10月 財政収支 (9月 -1005億リラ)


注:ポイント要約は編集部

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