米大統領選でのトランプ氏勝利を受けて大幅上昇。市場の関心は米FOMCへ
〇ドル円、トランプ氏の大統領選勝利に米国時間午後にかけて、高値154.69まで急伸
〇株価は大幅上昇、米長期金利も上昇続く
〇ユーロドル、トランプトレード活発化、米長期金利上昇等に一時1.0682まで下落、1.07台での推移
〇ドル円、テクニカルの地合い極めて強く、数日内に21日線と200日線のゴールデンクロス示現の公算
〇ファンダメンタルズもトランプ氏勝利による米インフレ再燃リスク等がドル円をサポート
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの本格再開をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:153.00ー156.00
海外時間のレビュー
6日(水)のドル円相場は大幅上昇。アジア時間朝方にかけて、安値151.29まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)注目されていた米大統領選にて共和党候補のドナルド・トランプ氏が4年ぶりにホワイトハウスに返り咲くことが確定したこと(当選に必要な270以上の選挙人を確保)や、(2)上記1を背景としたトランプ・トレードの活発化(大幅減税+財政出動+規制緩和の組み合わせを意識した米株買い・米債売り・米ドル買い)、(3)株式市場の大幅上昇(日経平均株価や米主要株価指数の大幅上昇→リスク選好の円売り再開)、(4)米金利上昇に伴うドル買い圧力(海外勢を中心とした円キャリートレードの再開)、(5)10/28に記録した直近高値突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売りが支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値154.69(7/30以来の高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間11/7午前2時45分現在)では、154.55前後で推移しております。
6日(水)のユーロドル相場は大幅下落。アジア時間朝方にかけて、高値1.0938まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)米大統領選でのドナルド・トランプ氏勝利の確定や、(2)上記1を背景としたトランプ・トレードの活発化(米株買い・米債売り・米ドル買い)、(3)米金利上昇に伴うドル買い圧力(米2年債利回りが7/31以来の高水準となる4.30%へ急上昇した他、米10年債利回りも7/1以来の高水準となる4.48%へ急上昇)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0682まで急落しました。引けにかけて反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/7午前2時45分現在)では、1.0740前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は米大統領選でのトランプ氏勝利確定(トランプトレードの本格再開)を受けて、約3カ月ぶり高値となる154.69まで急伸しました。日足ローソク足が全ての主要テクニカルポイントの上側に位置していることや、強い買いシグナルを示唆する「21日線と90日線のゴールデンクロス」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が継続点灯していること、数日以内に「21日線と200日線のゴールデンクロス」が見込まれていること、4時間足などの下位足や週足などの上位足でも強い買いシグナルが点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トランプ氏の勝利確定を背景としたトランプ・トレードの本格再開(米株高・米金利上昇・米ドル買い)や、(2)米FRBによる過度な利下げ期待の後退(米経済のソフトランディング期待が高まっていることや、トランプ氏の米大統領選勝利を受けてインフレ再燃リスクが意識されていること等が、米FRBによる利下げ躊躇に繋がる恐れあり)、(3)日銀による過度な利上げ期待の後退(衆院選での与党大敗を受けて、日銀による追加利上げは一段と難しくなっている可能性あり→国民民主党の玉木雄一郎代表も11/1に「春闘の動向を見極める必要があるため、来年3月までは利上げをすべきではない」と発言)、(4)上記2、3を背景とした円キャリートレードの再開期待、(5)中国政府による景気対策期待(今週開催中の全人代常務委員会にて特別国債の追加発行など新たな景気刺激策が承認される可能性あり)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
政府・日銀による円安牽制発言(僅か数時間でドル高・円安が急速に進んだため、本日はいつもより強めのトーンで円安牽制発言が出てくる恐れあり)が警戒されるものの、足元の状況下(日米共に政治が不安定化している状況下)で単独介入に踏み切ることは容易では無いと見られることから、例え牽制発言がでたとしても円買いでの反応は限られると考えられます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの本格再開をメインシナリオとして予想いたします。
尚、本日は日本時間11/8午前4時に発表される米FOMCと、同4時30分に予定されているパウエルFRB議長記者会見に注目が集まります。25bpの利下げはほぼ100%織り込まれているため、市場の関心は声明文や記者会見で次回12月会合での利下げに関するヒントを得られるか否かに移っています。CMEが提供するFed Watch Toolを確認すると、米大統領選の結果を踏まえ、次回12月会合での据え置き予想が足元33.3%まで上昇している状態です。早くもトランプ政権下でのインフレ再燃リスクを織り込み始めている状況となっているため、本日の米FOMCでは、この辺りに関する見解が出てくるか否か(次回12月FOMCでの据え置きの可能性をどの程度市場に織り込ませてくるか)に注目が集まりそうです。
本日の予想レンジ:153.00ー156.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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