東京市場のドルは152円台で推移、植田総裁の記者会見は無難に通過
【本日の東京市場】
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日銀の金融政策決定会合の結果発表後に円高に振れる場面も見られたが、一段安のような弱い地合いとはならなかった。
昨晩の海外時間では、米10月ADP雇用統計で伸びが予想外に加速、昨年7月来で最高となったため利下げ観測後退でドル買いが優勢となった。その後、米7-9月期国内総生産(GDP)速報値が前期から予想以上に減速したためドル売りに転じた。しかし、中古住宅販売成約指数が予想を上回り、さらに、予算案を受けた英国の金利動向に連れ、長期金利が再び上昇したためドルは下げ止まり、153円台前半まで値を戻した。
東京時間では、12時前に日銀会合の結果「金融政策の現状維持」が伝わった後、153円台を割り込む場面が見られた。25年度の消費者物価見通しを+2.1%から+1.9%に引き下げたことが影響したもよう。ただ、新しい方針を示したわけではなかったほか、植田日銀総裁の記者会見を見極めたいとするムードも強く、152円80銭台で下げ止まった。
ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:153円31銭
高値:153円59銭
安値:152円82銭
終値:152円85銭
ユーロ・円(日本時間8時―15時)
始値:166円48銭
高値:166円69銭
安値:165円76銭
終値:165円86銭
豪ドル・円(日本時間8時―15時)
始値: 100円75銭
高値: 100円92銭
安値: 100円39銭
終値: 100円50銭
ポンド・円(日本時間8時―15時)
始値:198円65 銭
高値:198円92銭
安値:197円88銭
終値:198円01銭
日経平均(日本時間9時―15時)
始値:39179円72銭
高値:39249円21銭
安値:38832円21銭
終値:39081円25銭(前日比−196円14銭)
【本日の海外市場の重要指標】日本時間
19時00分、欧、ユーロ圏10月消費者物価指数(コア、速報)、前回:2.7%、市場予想:2.6%
19時00分、欧、ユーロ圏9月失業率、前回:6.4%、市場予想:6.3%
19時10分、欧、エスクリバ・スペイン中銀総裁が会議出席
20時35分、欧、クノット・オランダ中銀総裁がインタビューに応じる
21時30分、米、第3四半期雇用コスト指数、前回:0.9%、市場予想:1.0%
21時30分、米、9月PCEデフレータ(前年比)、前回:2.2%、市場予想:2.1%
21時30分、米、9月PCEデフレータ(コア、前年比)、前回:2.7%、市場予想:2.6%
21時30分、米、週次新規失業保険申請件数、前回:22.7万件、市場予想:23.0万件
22時45分、米、10月シカゴ購買部協会景気指数、前回:46.6、市場予想:46.9
FRBがブラックアウト期間入り(金融政策に関する発言自粛期間、11月8日まで)
※予定は変更することがございます。
【今晩の海外時間の見通し】
本日の海外時間は、PCEデフレータ、週次新規失業保険申請件数など雇用関連のデータを見極める展開となろう。東京時間終了後、15時30分からスタートした植田日銀総裁の記者会見での発言は以下の通り。
「見通し実現していけば政策金利引き上げ、緩和度合いを調整」
「12月会合で多角的レビューをとりまとめ」
「利上げのタイミングについて予断持たず」
「毎回の会合でデータを確認」
「為替は経済・物価に以前よりも大きな影響与える、引き続き注意必要」
「特定の政治家の発言にはコメントせず」
「政治情勢に関わらず、基本姿勢で臨みたい」
「時間的余裕との表現について、8月の弱い米雇用統計後の市場混乱の時期に使い始めた」
「現状はデータが改善、米国もかなり良いものがでているが完全に安心はできない」
「米経済に良い動きが続けば、時間的余裕との表現は不要になる」
「東京CPI、ある程度サービス価格への転嫁広がっている」
「賃金、インフレ目標と整合的な水準に入ってきている面がある」
「現時点では、来年の春闘に対する情報がないので具体的な話はできない」
「広い意味で今年と同じぐらいの賃上げ率となればいいが、これだけが利上げの判断材料ではない」
「新しい米大統領の政策次第では、新たなリスクが出てくる可能性もある」
「現在の所定内給与の伸びが続けば、見通し実現の確度は高まる」
「足元の政治情勢は物価見通しに大きく影響しない」
「時間的な余裕、という表現は今後使わない」
「ETFに関しては、現状まだ検討中で、もう少し時間をいただきたい」
事前の予想通り、さほど踏み込んだ発言はなかったが、「見通し実現していけば政策金利引き上げ、緩和度合いを調整」と引き続き利上げ実施に対して前向きな姿勢を示したことなどが、ドル安の要因となったようだ。152円台割れを回避した後は152円台半ばで推移しており、為替市場での急動意はみられなかった。
日足の一目均衡表では、引き続き転換線をサポートに雲上限や100日移動平均線を明確に上放れている。7月3日の高値161円99銭から9月16日の安値139円56銭の下落幅22円43銭の61.8%戻し水準である153円42銭を達成したことから、次のターゲットは3分の2戻しの154円51銭が意識されよう。
今晩の海外時間では、米経済指標によってドルが買い戻される可能性はある。上値メドは153円50銭、下値メドは151円80銭とする。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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