米長期債利回り上昇、ドル高進行で18日早朝高値超える
〇昨日のドル円、150円到達後のポジション調整で午前安値149.08までいったん下げる
〇その後、米長期債利回り一段上昇により、10/22早朝150.88まで高値伸ばす
〇150円台後半への上昇、日銀関係者の円安けん制に要注意
〇ユーロ、ポンド、豪ドルの下落目立つ
〇151円超えから上昇が勢い付く場合は151.0台後半への上昇を想定
〇150円割れから早々に150.25超えへ戻す場合は上昇再開とする
【概況】
ドル円は米小売売上高の堅調さや米新規失業保険申請件数の改善をきっかけとした米長期債利回り上昇により18日早朝に150.32円へ上昇して9月16日安値139.57円以降の高値を更新し、150円到達後の利益確定売り等ポジション調整で21日午前安値149.08円までいったん下げていたが、米長期債利回りが一段と上昇する中でユーロ、ポンド、豪ドル等の下落が顕著になり、ドル円もドル高優勢の流れに乗じて22日早朝への上昇で18日早朝高値を超えて勢い付き、150.88円まで高値を伸ばした。
18日早朝高値からの下落では三村財務官や青木官房副長官による円安けん制発言や一部メディアの「日銀関係者が利上げ姿勢を堅持している」との報道が下落要因だったが、150円台後半へ上昇したことにより政府関係者による円安けん制姿勢が強まることや、日銀関係者も円安へのけん制として追加利上げの可能性を示唆することもあり得る水準と注意したい。
米長期債利回りの上昇はFRBが9月の0.5%大幅利下げから11月は通常利下げにペースダウンして今後の利下げも緩やかになるとの見解が相次いでいることを反映しているが、来月5日の米大統領選挙を意識した債券売り・利回り上昇も見られるため、当面はドル高優勢でドル円も151円台を伺ってゆく展開と思われる。
米ダラス連銀のローガン総裁は21日に「FRBは今後も追加利下げを行うと予想している」とし、米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁も「向こう数四半期にわたり緩やかな利下げを予想している」と述べた。
米調査会社コンファレンス・ボードによる9月景気先行指数は99.7となり前月比0.5%低下して市場予想の0.3%低下を下回る悪化となったが市場の反応は鈍かった。
【ユーロ、ポンド、豪ドルの下落目立つ】
ユーロドルは10月21日に1.0808ドルへ下落して年初来高値である9月25日高値1.1213ドル以降の安値を更新した。ポンドドルは21日に1.2974ドルを付けて9月26日の年初来高値1.3434ドル以降の最安値である10月17日安値1.2971ドルに迫った。豪ドル米ドルは21日に0.6652ドルへ下落して年初来高値である9月30日高値0.6942ドル以降の最安値を更新した。
21日はメキシコペソも下落が目立つ年初来安値である9月5日安値に迫り、景気対策で上昇してきた人民元も27日からの反落=ドル高元安を継続するなどドル全面高の様相がみられる。
米国の利下げサイクル入りをテーマとしたドル高については9月後半までに織り込まれ、今後は緩やかな利下げペースとの認識が広がっていることと欧英豪等も利下げ期にあること、米大統領選挙でいずれの候補が勝利しても財政拡大姿勢により国債増発により債券売り・利回り上昇を招くとの警戒感がドルの買い戻しに寄与している印象だ。
【米10年債利回りは大幅上昇、米国株はまちまち】
10月21日の米長期債利回りは米国の利下げペースが鈍るとの見方と米大統領選を意識した債券売り。利回り上昇の流れで総じて大幅上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは先週末比0.11%の大幅上昇で4.20%として9月17日に付けた3.60%以降の最高を更新した。30年債利回りは先週末比0.11%の大幅上昇で4.50%として10年債利回りと同様に9月17日につけた3.90%以降の最高を更新した。政策金利動向に敏感な2年債利回りは先週末比0.08%上昇の4.03%として9月25日に付けた3.51%以降の最高である10月10日の4.09%に迫り、日足終値ベースでは10月9日の4.02%を超えてこの間の最高とした。
一方で21日の米国主要株価指数はまちまちの動きだった。
NYダウは16日から18日への3連騰で史上最高値を更新してきたが、21日は利食いに圧されて先週末比344.31ドル安と下落し、ナスダック総合指数は米長期債利回り上昇にもかかわらず半導体大手株の上昇に牽引されて先週末比50.46ポイント高で16日から4連騰とし、S&P500指数は先週末比10.69ポイント安と下落して10月17日に史上最高値を更新した後は上げ渋りの様相を続けている。
米国株がまちまちだったものの金融緩和期入りを先取りした楽観的な上昇トレンドは継続しており、米長期債利回りが上昇基調を維持していることはドル円にとって押し上げ要因だ。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は10月21日安値149.08円を起点として上昇を再開して18日早朝高値を超えて一段高に入った。18日早朝高値を基準として目先の高値形成期は23日早朝から25日早朝にかけての間と想定されるので、150円を維持するか一時的に割り込んでも早々に回復する内は上昇余地ありとする。ただし、10月8日以降はジグザグ型の上昇のため、149.75円割れからはいったん下げに入る可能性ありとみて149円台中盤への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では21日夜の上昇で遅行スパンが好転して先行スパンを上抜いたが、その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。9本転換線を割り込む場合は上昇してくる26本基準線試しとするが、26本基準線前後は買われやすいとみる。また先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とし、弱気転換は先行スパンから転落するところからとする。
60分足の相対力指数は22日早朝に80ポイントに迫ってからも70ポイント台を維持している。60ポイント以上での推移中は一段高余地ありとするが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落注意とし、50ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、150.00円を下値支持線、151.00円を上値抵抗線とする。
(2)150.00円を上回るうちは上昇余地ありとみる。151円到達では売られやすいと注意するが、151円超えから上昇が勢い付く場合は151.0円台後半(151.50円から152.00円手前)への上昇を想定する。直前高値から1円を超える反落が発生しないうちは23日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)150円割れから早々に150.25円超えへ戻す場合は上昇再開とするが、149.75円割れからはいったん下げに入るとみて149円台序盤=149.25円から21日午前安値149.08円にかけての水準を試すとみる。149.75以下での推移が続く場合は23日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
10/22(火)
BRICS首脳会議(10/24まで)
14:00 (日) 日銀・基調的なインフレ率を捕捉するための指標
22:00 (世) IMF世界経済見通し
22:25 (英) ベイリー英中銀総裁、講演
23:00 (米) 10月 リッチモンド連銀製造業指数 (9月 -21、予想 -17)
23:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
23:00 (欧) ラガルドECB総裁、対談
10/23(水)
休場 タイ
G20財務相・中央銀行総裁会議(10/24まで)、BRICS首脳会議(10/24まで)
22:45 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 4.25%、予想 3.75%)
23:00 (欧) 10月 消費者信頼感・速報値 (9月 -12.9、予想 -12.5)
23:00 (米) 9月 中古住宅販売件数・年率換算 (8月 386万件、予想 390万件)
23:00 (米) 9月 中古住宅販売件数 前月比 (8月 -2.5%、予想 0.9%)
23:00 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、講演
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
25:00 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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