ドル円、約2ヵ月半ぶり高値圏へと急上昇。200日移動平均線を試す動きを想定
〇ドル円、米国時間午後にかけて、高値150.88(8/1以来の高値圏)まで急伸
〇米金利上昇、米大統領選でのトランプ氏優勢報道、直近高値突破に伴う仕掛け的なドル買い等が背景
〇ユーロドル、ECB関係者の相次ぐハト派発言、独PPIの不冴え、米金利上昇等に1.08台前半に反落
〇ドル円、90日移動平均線を突破、強い買いシグナルも継続、地合い好転
〇日米金利差縮小観測後退、トランプトレード再開期待、中国の景気回復期待等がサポート
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:150.00ー152.00
海外時間のレビュー
週明け21日(月)のドル円相場は堅調な値動き。日本時間正午にかけて、安値149.09まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)日米金利差に着目したドル買い・円売りの再開(米10年債利回りが7/26以来の高水準となる4.20%まで急上昇→円キャリートレードの再開期待)や、(2)トランプ氏優勢報道を背景としたトランプトレードの再開期待、(3)本邦政府・当局者より円安牽制発言が出てこなかったことに対する安堵感、(4)直近高値突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売りが支えとなり、米国時間午後にかけて、高値150.88(8/1以来の高値圏)まで急伸しました。
引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間10/22午前6時10分現在)では、150.84前後で推移しております。尚、昨日発表された米9月景気先行指数(結果▲0.5%、予想▲0.3%)は市場予想を下回る結果となりましたが、ドル売りでの反応は見られませんでした。また、ダラス連銀ローガン総裁より「経済が予想通りなら段階的な利下げを予想」との発言も見られましたが、市場の反応は限られました。
週明け21日(月)のユーロドル相場は冴えない動き。アジア時間朝方にかけて、高値1.0872まで上昇するも、一巡後に伸び悩むと、(1)フランス中銀ビルロワドガロー総裁による「ユーロ圏の消費者物価上昇率は2025年序盤にECB目標の2%に到達する見込み」とのハト派的な発言や、(2)リトアニア中銀シムカス総裁による「ディスインフレのトレンドは着実に進行中」「景況感の下振れリスクが高まってきている」とのハト派的な発言、(3)ラトビア中銀カザークス総裁による「インフレ率が低下するにつれて金利は引き続き低下するだろう」とのハト派的な発言、(4)スロバキア中銀カジミール総裁による「インフレ低下ペースが加速し続ければ更なる緩和を行う強い立場にある」とのハト派的な発言、(5)ドイツ9月生産者物価指数(結果▲1.4%、予想▲1.1%)の市場予想を下回る結果、(6)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0811まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間10/22午前6時10分現在)では、1.0817前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時150.88(8/1以来の高値圏)まで急伸するなど、約2カ月半ぶり高値を更新しました。日足ローソク足が90日移動平均線を明確に上抜けした他、4時間足や週足ベースで強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」が継続点灯するなど、テクニカル的に見て、地合いの好転を強く印象付けるチャート形状となりつつあります。本日は一目均衡表雲上限が150.70近辺まで下りてくることを通じて、日足ベースでの「一目均衡表三役好転」の点灯が期待される他、状況次第では、151.05近辺に位置する200日移動平均線を試す動きも想定されるため、アップサイドリスクに警戒が必要な時間帯が続きそうです。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日銀による過度な利上げ期待の後退(円金利に低下圧力)や、(2)米FRBによる過度な利下げ期待の後退(米長期金利に上昇圧力)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違い(海外勢を中心とした円キャリートレードの再開期待)、(4)米大統領選でのトランプ氏優勢報道(トランプトレードの再開期待)、(5)中国の景気回復期待(中国政府・当局による金融緩和と財政出動の組み合わせ→世界的な株高期待→リスク選好の円売り圧力)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
本日発表される米10月リッチモンド連銀製造業指数が市場予想を上回る場合には、米金利上昇→米ドル買いの経路でもう一段ドル円相場に強い上昇圧力が加わるシナリオが想定されるため、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、150円台後半へと一気に上値を伸ばしてきたことで、日本政府・当局による円安牽制発言の活発化が想定されるものの、足元の状況下(日本・米国共に選挙シーズンの状況下)で実弾介入(ドル売り・円買い介入)に踏み切る可能性は限りなく小さいと見られることから、仮に円安牽制発言が出てきたとしても、円買いでの反応は限定的となりそうです。
本日の予想レンジ:150.00ー152.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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