急伸後に反落するなど荒い値動き。中東情勢緊迫化に伴う地政学的リスクが上値を抑制
〇ドル円、米国時間朝方にかけて、安値142.98まで急落
〇イランのイスラエルへのミサイル攻撃報道、ISM製造業景況指数の市場予想を下回る結果が重石
〇ユーロドル、欧州圏のCPI鈍化、中東情勢の緊迫化に米国時間朝方にかけ1.1045まで急落
〇ドル円は上昇後に反落するなど方向感の定まらない不安定な値動き続く
〇ファンダメンタルズは日米金利差縮小観測後退がドル円をサポート
〇中東の地政学リスクはリスク回避の円買いと、有事のドル買いの綱引き状態となるか
〇引き続き、一巡後のドル円反発をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:142.50ー144.50
海外時間のレビュー
1日(火)のドル円相場は上昇後に急反落。(1)日銀金融政策決定会合(9/19ー9/20開催分)における主な意見で「市場にサプライズを起こさぬようデータの変化を点検し改善に応じて金融政策を修正する」「追加的な利上げを行う局面では市場との対話を従来以上に丁寧に行う必要がある」との見解(早期利上げに慎重な姿勢)が示されたことや、(2)日経平均株価の急反発(リスク選好の円売り圧力)が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値144.54まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(3)急ピッチな上昇に対する反動売りや、(4)一部メディアによる「イランがイスラエルへのミサイル攻撃を準備している兆候がある」とのヘッドライン(中東情勢緊迫化に伴うリスク回避の円買い圧力)、(5)米9月ISM製造業景況指数(結果47.2、予想47.5)の市場予想を下回る結果が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値142.98まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間10/2午前6時30分現在)では、143.57前後で推移しております。尚、昨日は石破首相より「金融緩和の基本的な姿勢は維持される」との発言が見られましたが、市場の反応は限られました。
1日(火)のユーロドル相場は冴えない動き。アジア時間午後にかけて、高値1.1145まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)ユーロ圏9月消費者物価指数速報値(結果+1.8%、予想+1.8%、前回+2.2%)の伸び率鈍化や、(2)ユーロ圏9月コアCPI速報値(結果+2.7%、予想+2.7%、前回+2.8%)の伸び率鈍化、(3)フィンランド中銀レーン総裁による「10月会合での利下げの根拠が増した」とのハト派的な発言、(4)一部メディアによる「イランがイスラエルへのミサイル攻撃を準備している兆候がある」とのヘッドライン(中東情勢緊迫化に伴うリスクオフ再開)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.1045まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間10/2午前6時30分現在)では、1.1069前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は上昇後に反落するなど方向感の定まらない不安定な値動きが続いています。日足ローソク足は主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線、一目均衡表基準線)を挟んで上下しており(値幅を伴う上下動)、「ロング」も「ショート」もポジションを傾けづらい難しい心理状態が確認されます。但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)日銀による過度な利上げ期待の剥落(植田日銀総裁は先週「物価上振れリスクの減少で政策判断にあたり時間的な余裕がある」と慎重な発言→石破首相も昨日「金融緩和の基本的な姿勢は維持される」と慎重な発言)や、(2)米FRBによる過度な利下げ期待の剥落(パウエルFRB議長が今週「FEDが利下げを急いでいるとは感じていない」「この先経済がおおむね想定通りに進展すれば政策は時間とともにより中立のスタンスへと移行するだろう」と発言)、
(3)上記1、2を背景とした円キャリートレードの再開期待(日米金利差に着目した構造的なドル買い・円売り圧力)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が増えつつあります。イランがイスラエルに向けてミサイルを発射したことで中東を巡る地政学的リスクの高まりが避けられない事態となっているものの、ドル円に関しては、リスク回避の円買いと、有事のドル買いが綱引き状態となることが想定されるため、一方的にドル円を押し下げる展開にはならないと判断できます。
以上を踏まえ、当方では引き続き、一巡後のドル円反発をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米9月ADP雇用統計や、米当局者(クリーブランド連銀ハマック総裁、セントルイス連銀ムサレム総裁、ボウマンFRB理事、リッチモンド連銀バーキン総裁)発言に注目が集まります。
本日の予想レンジ:142.50ー144.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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