ドル円見通し 米経済指標堅調で145円台到達 株高円安の好循環も(24/9/27)

米経済指標が強かったことで深夜に145.19円の同値まで持ち直し、その後も144円台後半を中心としてしっかりして27日午前序盤には145円を超えている。

ドル円見通し 米経済指標堅調で145円台到達 株高円安の好循環も(24/9/27)

ドル円見通し 米経済指標堅調で145円台到達 株高円安の好循環も

〇ドル円、9/26夕刻145.19へ上昇、いったん144.09まで下げたものの144円台を維持して確り
〇深夜に145.19まで持ち直し、その後も144円台後半中心で確り、9/27午前序盤に145円を超える
〇米経済指標の堅調な結果、株高円安の好循環の再燃期待が、円安ドル高に寄与
〇米GDPは堅調、新規失業保険申請件数は4か月振り低水準
〇米長期債利回りはまちまちだが10年債利回りは9/17以降の高値を更新、米国株は上昇
〇144円台を維持する内は上昇余地ありとし、145.25超えからは145円台後半への上昇を想定する
〇144円割れからは下落期入りとして、143円台序盤への下落を想定する

【概況】

ドル円は9月26日夕刻に145.19円へ上昇、いったん144.09円まで下げたものの144円台を維持して確りし、21時半の米経済指標が強かったことで深夜に145.19円の同値まで持ち直し、その後も144円台後半を中心としてしっかりして27日午前序盤には145円を超えている。
26日は日経平均が前日比1055.37円高と大幅上昇して9月前半の下げ幅をほぼ解消したため、株高円安の好循環の再燃期待が円安ドル高に寄与した。中国の大規模な金融緩和(中国人民銀による利下げと預金準備率大幅引き下げ、リーマンショック以来となる中国政府による大手銀行への資本注入、財務省の国債発行等などいずれも20兆円超規模で市場への大規模な資金供給となる)で上海総合株価指数が大上昇していることも好影響していると思われる。
26日夜の米経済指標ではGDP確報値が改定値と変わらず、個人消費が若干下方修正されたものの堅調な水準を維持し、新規失業保険申請件数が2週連続で改善して4か月振り低水準だったことが発表後のドル高円安に寄与した。

ドル円は一目均衡表の26日基準線及び移動平均の26日線を超えられずに戻り高値を切り下げて9月16日安値まで下落してきたが、その後の上昇で両線を超えて続伸しており、7月3日から9月16日までの急激な円高を過剰だったとして修正的な円安期に入っている印象だ。
今夜は米8月PCEデフレーターの発表があり、内容次第では為替市場も波乱含みとなる可能性があるが、米国の利下げ局面入りを踏まえてユーロやポンド、豪ドル等は乱高下しながらも上昇基調を維持してドルストレートではドル安感が優勢である一方、クロス円全般が上昇して円安であり、ドル安よりも円安が勝る状況がみられる。

【米GDP堅調、新規失業保険申請件数は4か月振り低水準】

米商務省が発表した4-6月期実質GDP確定値は年率換算前期比3.0%増となり改定値と変わらず、9四半期連続のプラス成長として1-3月期の1.6%増から大幅に拡大した。GDPの凡そ7割を占める個人消費は2.8%増で改定値の2.9%増から小幅下方修正となり、設備投資や住宅投資も下方修正されたが堅調な水準を維持した。
四半期ベースのGDPデフレーターは2.5%、PCE(個人消費支出)デフレーターは2.5%、コアPCEデフレーターは2.8%でいずれも改定値と変わらなかったが、インフレ低下傾向を示してFRBの追加利下げに寄与する数字だった。

米労働省による新規失業保険申請件数は9月21日までの週間で前週比4000件減の21万8000件となり2週連続の改善で4か月振り低水準となり、4週平均も22万4750件で前週比3500件減少して6月以来の低水準だった。失業保険受給者総数は9月14日までの週間で183万4000人となり前週から1万3000人増加した。
米商務省による8月の耐久財受注額は前月比横ばいで7月の9.9%増から鈍化したものの市場予想の2.6%減を上回った。設備投資の先行指標である航空機除く非国防資本財受注は0.2%増で横ばい予想を上回った。

【米長期債利回りはまちまち、米国株は上昇】

9月26日の米長期債利回りはまちまちの動きだったが、10年債利回りが9月17日以降の高値を更新、2年債利回りが大幅上昇した。米新規失業保険申請件数が4か月振り低水準へ改善したことで11月FOMCにおける0.50%連続利下げへの期待度が発表前の6割強から5割まで低下したことを反映した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.01%上昇の3.80%となったが一時3.83%をつけて9月17日に付けた2023年10月以降の最低である3.60%以降の最高とした。30年債利回りは一時4.16%をつけて9月17日に付けた2023年10月以降の最低である3.90%以降の最高としてから失速したために前日比0.01%低下の4.13%に終わった。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは25日に3.51%へ低下して2023年10月のピークである5.26%以降の最低を更新してから戻していたが、26日は前日比0.07%上昇の3.63%へ持ち直している。

一方で米国株式市場は総じて上昇した。NYダウは25日に史上最高値を更新してからの反落で前日比293.47ドル安と下げたが26日は260.36ドル高と切り返し、ナスダック総合指数は前日比108.08ポイント高と上昇、S&P500指数は前日比23.11ポイント高と上昇して取引時間中及び終値の史上最高値を更新した。
米経済指標が強めで労働指標の改善により景気後退への不安が薄れたことと、中国の大規模金融緩和と景気対策により上海総合株価指数が急伸して需要増期待で非鉄貴金属が上昇したことも米国株高に寄与したようだ。
ドル円としては米長期債利回り低下が落ち着き指標の10年債利回りが上昇していることと米国株高による日経平均への押し上げによる株高円安の連鎖期待が押し上げ要因となっている印象だ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は9月25日午前の143円割れから新たな上昇期に入り、26日夕に145.19円へ高値を伸ばした後の反落で144円割れを回避して夕高値と同値まで戻しているため高値追及の流れを続けていると思われる。目先の高値形成期を27日の日中から10月1日にかけての間と想定するが、144円割れからは弱気転換として30日午前から10月2日の日中にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では26日夜の反落から切り返したことで遅行スパンの好転と先行スパンを上回る状況を維持しているため遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とみる。ただし先行スパンから転落するところからはいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は9月26日夕への高値更新に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられていったん40ポイント台へ低下したが、その後に60ポイントまで戻しているため上昇再開とみて70ポイントを目指す流れとみる。ただし50ポイント割れの状況が続き始める場合は下落再開を警戒し、45ポイント割れからは30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、144.00円を下値支持線、145.25円を上値抵抗線とする。
(2)144円台を維持する内は上昇余地ありとし、145.25円超えからは145円台後半(145.50円から146円手前)への上昇を想定する。145.70円以上は反落注意とするが、144.50円を上回っての推移か直前高値から1.50円を超える急落が発生しなければ週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)144円割れからは下落期入りとして143円台序盤(143.25円から143.00円)への下落を想定する。143円台序盤は買われやすいとみるが、144円を割り込んでの推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

9/27(金)
14:00 (日) 7月 景気一致指数CI・改定値 (速報 117.1)
14:00 (日) 7月 景気先行指数CI・改定値 (速報 109.5)
16:55 (独) 9月 失業者数 前月比 (8月 0.20万人、予想 1.20万人)
16:55 (独) 9月 失業率 (8月 6.0%、予想 6.0%)
18:00 (欧) 9月 消費者信頼感・確定値 (速報 -12.9、予想 -12.9)
18:00 (欧) 9月 経済信頼感 (8月 96.6、予想 96.5)

21:30 (米) 8月 卸売在庫 前月比 (7月 0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 8月 個人所得 前月比 (7月 0.3%、予想 0.4%)
21:30 (米) 8月 PCE(個人消費支出) 前月比 (7月 0.5%、予想 0.3%)
21:30 (米) 8月 PCEデフレーター 前年同月比 (7月 2.5%、予想 2.3%)
21:30 (米) 8月 コアPCEデフレーター(食品・エネルギー除く) 前月比 (7月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 8月 コアPCEデフレーター(食品・エネルギー除く) 前年同月比 (7月 2.6%、予想 2.7%)
22:30 (米) コリンズ・ボストン連銀総裁、クーグラーFRB理事、会合出席
23:00 (米) 9月 ミシガン大学消費者態度指数・確報値 (速報 69.0、予想 69.3)
26:15 (米) ボウマンFRB理事、討論会参加


注:ポイント要約は編集部

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