ドル円見通し 米FOMC後の乱高下続け日銀金融政策決定会合待ちへ(24/9/20)

143.76円まで切り返したが、米10年債利回りが上昇幅を削ったことと20日の日銀金融政策決定会合を控えて20日早朝に142.50円へ下落し、その後は142円台後半で推移している。

ドル円見通し 米FOMC後の乱高下続け日銀金融政策決定会合待ちへ(24/9/20)

ドル円見通し 米FOMC後の乱高下続け日銀金融政策決定会合待ちへ

〇ドル円、9/19早朝142.69へ上昇、一旦142円を割り込んでから午前高値143.94へ一段高
〇夕刻142.03へ失速後143.76まで切り返したが、9/20早朝142.50へ下落、その後142円台後半で推移
〇本日は日銀金融政策決定会合の結果公表、現状維持予想だが植田総裁会見の内容に注目集まる
〇昨日発表の米経済指標はまちまちの結果、新規失業保険申請件数は4か月振りの低水準に
〇米10年債利回りは上昇後に上げ幅削り2年債利回りは低下、NYダウとS&P500は最高値更新
〇142円を上回るうちは上昇余地ありとし、143円超えからは144円試しとする
〇142円割れから続落の場合は、下落再開を警戒して141円試しとする

【概況】

ドル円はFOMCが利下げを決定した直後のドル安局面で直前の142円近辺から140.44円へ急落したが、ドル売り一巡と米10年債利回り上昇によるドル高のぶり返しで19日早朝に142.69円へ上昇し、いったん142円を割り込んでから19日午前高値143.94円へ一段高した。急騰後の反動で夕刻に142.03円まで失速したものの19日夜の米新規失業保険申請件数が予想外に改善したこと等をきっかけに143.76円まで切り返したが、米10年債利回りが上昇幅を削ったことと20日の日銀金融政策決定会合を控えて20日早朝に142.50円へ下落し、その後は142円台後半で推移している。

米FRBは9月17/18日開催のFOMCで0.50%の利下げを決定して年内の追加利下げ見通しを示したが、参加者のドットプロットでは2026年にかけての緩やかな利下げペースが示され、パウエルFRB議長会見が次回会合での連続大幅利下げには消極姿勢と受け止められたため、利下げ決定直後のドル売りから早々にドル買いへと流れが変わった。
しかし利下げサイクルに入ることは変わりないとして乱高下しながらもユーロドルが直前の下げ幅をほぼ解消、英中銀が追加利下げを見送ったことでポンドドルはFOMC後の高値を超えて2022年9月以降の最高値を更新し、豪ドル米ドルも19日未明高値を超える一段高に入るなどドル安基調が続くとの認識が広がったようだ。

【日銀は現状維持予想、植田総裁がタカ派姿勢を見せるか注目】

本日は昼前後に日銀金融政策決定会合の結果が公表される。市場予想は現状維持でまとまっているが、15時半からの植田総裁会見の内容に注目が集まる。
7月31日の前回会合で0.25%程度へ追加利上げを決定したことがきっかけとしてドル円が急落し、8月2日の米7月雇用統計が予想以上に悪化したことによる世界連鎖株安が重なったためにドル円は7月30日高値155.21円から8月5日安値141.69円へ下落幅13.52円の急落に見舞われ、内田副総裁が「市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と表明して円高を落ち着かせた経緯がある。

ドル円は9月16日に139.57円まで一段安したものの世界連鎖株安は落ち着き、FOMCを通過してNYダウは連日史上最高値を更新し、日経平均も7月31日からの暴落幅を解消した後に下げたものの35000円台を維持して戻しており、少なくとも株式市場の動揺は落ち着いているため、追加利上げを模索する姿勢に戻っていたとしても不思議ない。
植田総裁は8月23日の国会閉会中審査における答弁で「見通し実現の確度が高まれば金融緩和の度合いを調整していく(利上げを続ける)基本的な姿勢に変わりない」と述べており、本日の会見も同様の内容と思われるが、ドル安感が強まる中で追加利上げに対して前傾姿勢を示す場合は円高反応を招く可能性もあるだろう。

【米経済指標はまちまち】

米労働省による新規失業保険申請件数は9月14日までの週間で前週比1万2000件減の21万9000件となり市場予想の23.0万件を下回って2週ぶりに改善し、4か月振りの低水準となった。失業保険受給者総数は9月7日までの週間で182万9000人となり前週から1万4000人減少して市場予想の185万4000人を下回った。
米フィラデルフィア連銀による9月製造業景況指数は1.7となり8月のマイナス7.0から上昇して市場予想のマイナス1.0を大幅に上回った。
米商務省による4-6月期経常赤字は前期比10.7%増の2667億8700万ドルで3期連続の赤字拡大となり、GDP比も3.7%へと前期から上昇した
米不動産業者協会(NAR)による8月中古住宅販売件数(年換算)は前月比2.5%減の386万戸で市場予想の390万戸を下回り、前年同月比は4.2%減だった。
米コンファレンス・ボードによる8月景気先行指数は100.2で前月比0.2%低下だったが市場予想の0.3%低下を上回りマイナスながら7月の0.6%低下から改善した。

【米10年債利回りは上昇後に上げ幅削り2年債利回りは低下、ダウは最高値更新】

9月19日の米長期債利回りはまちまちの動き。米国の利下げペースが緩やかとして18日は総じて上昇したが、19日は続伸してからの低下で10年債と30年債は小幅上昇に終わり、2年債利回りは低下に転じた。
長期金利指標の10年債利回りは一時3.78%まで続伸したものの上昇幅を削って前日比0.01%上昇の3.72%で終了し、30年債利回りも一時4.09%まで続伸したものの上げ幅を削って前日比0.02%上昇の4.05%で終了した。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは18日の乱高下で一時3.72%へ急伸してから反落したが19日は高値を切り上げられずに失速して前日比0.03%低下の3.59%で終了した。

一方でNYダウは18日に取引時間中の史上最高値を更新してから前日比103.08ドル安へ反落したが、19日は前日比522.09ドル高と再上昇して終値ベースの最高値を更新するとともに取引時間中の史上最高値を42160.91ドルへ伸ばした。ナスダック総合指数も前日比440.68ポイント高と上昇して8月5日以降の高値を更新し、S&P500指数も前日比95.38ポイント高と上昇して取引時間中及び終値の史上最高値を更新した。
株式市場はFOMC後の乱高下を消化して楽観的な上昇感を再確認している印象だ。米長期債利回りの低下が進まずに米国株高が続けばドル円は上昇しやすくなるが、日銀の利上げ姿勢によっては円高再開へ向かいかねないところだ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は9月19日未明の急落から一段高へ急伸した後は143円を挟んだ乱高下となっている。本日の日銀会合及び植田総裁会見から一段高へ進む場合は9月16日安値からの上昇継続として24日から26日にかけての間への上昇を想定するが、日銀会合から下落に転じて総裁会見で続落する場合には戻り一巡による下落再開として20日夕から23日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では143円を挟んだ乱高下に入っているものの先行スパンを上回る状況が続いているため、先行スパンからの転落を回避する内は遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は9月18日朝から19日午前への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられるものの50ポイント割れを買われているので60ポイント超えからは上昇再開とみるが、45ポイント割れからは下落再開とみて20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、142.00円を下値支持線、144.00円を上値抵抗線とする。
(2)142円を上回るうちは上昇余地ありとし、143円超えからは144円試しとする。144円手前は反落注意とするが、144円超えから急伸する場合は145円前後への上昇を想定する。
(3)142円割れから続落の場合は下落再開を警戒して141円試しとし、急落商状で141円を割り込む場合は140.0円台前半へ下値目途を引き下げ、週明けの続落を想定する。

【当面の予定】

9/20(金)
中国人民銀が最優遇貸出金利(LPR)発表
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
15:00 (英) 8月 小売売上高 前月比 (7月 0.5%、予想 0.4%)
15:00 (英) 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 1.4%、予想 1.4%)
15:00 (英) 8月 小売売上高・除自動車 前月比 (7月 0.7%、予想 0.5%)
15:00 (英) 8月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (7月 1.4%、予想 1.1%)
15:00 (独) 8月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (7月 0.2%、予想 0.0%)
15:30 (日) 植田日銀総裁、会見
23:00 (欧) 9月 消費者信頼感・速報値 (8月 -13.5、予想 -13.2)
24:00 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、講演


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