ドル円見通し 米経済指標予想上回りFOMC前の買い戻しで142円を超える(24/9/18)

ドル円は、140円割れに対する突っ込み警戒感から買い戻し優勢となり、17日午前に141.21円へ戻した後も140円台中盤での小動きで確りしていた。

ドル円見通し 米経済指標予想上回りFOMC前の買い戻しで142円を超える(24/9/18)

米経済指標予想上回りFOMC前の買い戻しで142円を超える

〇ドル円、9/17の午前高値超え、9/18早朝には142.46まで高値を伸ばす
〇米8月小売売上高や8月鉱工業生産が予想上回り米長期債利回り上昇でドル買い優勢となったことが背景
〇過度の円安期待は時期尚早とし、9/18午前序盤には142円割り込むなど戻り一巡感も
〇FOMCで0.50%の大幅利下げか0.25%に留まるのかと、年末にかけての連続利下げ姿勢が市場の関心
〇米長期債利回り、6割超える0.50%利下げ期待に反し0.25%なら、サプライズ的な上昇の可能性に注意
〇141.70上回るうちは上昇余地あり、142.46超えからは143円前後への上昇を想定
〇141.50割れから続落の場合は141円試しとし、FOMC後に急落する場合は139円台への下落を想定

【概況】

ドル円は米WSJ紙や英FT紙がFOMCで0.50%利下げがあり得ると報じたこと等をきっかけとした米長期債利回り低下とドル全面安により9月16日夕刻に139.57円へ下落して昨年12月28日安値140.24円を割り込み昨年7月以来の139円台としたが、今週のFOMCと日銀金融政策決定会合を控えて140円割れに対する突っ込み警戒感から買い戻し優勢となり、17日午前に141.21円へ戻した後も140円台中盤での小動きで確りしていた。
9月17日夕の独9月ZEW景況指数が予想以上に悪化したことをきっかけにユーロドルが反落し、17日夜の米8月小売売上高や8月鉱工業生産が予想を上回ったことで米長期債利回りが上昇してドル買い優勢の流れとなったため、ドル円は17日午前高値を超えて18日早朝には142.46円まで高値を伸ばした。しかし過度の円安期待は時期尚早として18日午前序盤には142円を割り込むなど戻り一巡感も見られる。

今夜は米8月住宅着工件数、明日早朝にFOMCの声明及び政策金利発表、その後にパウエルFRB議長会見と続く。市場の関心は0.50%の大幅利下げか0.25%の通常利下げに留まるのかという点と、年末にかけての連続利下げ姿勢であり、内容次第では金融市場全般が大きく動く可能性がある。
ドル円としては0.50%利下げ決定なら円高再開へ向かい7月3日以降の最安値更新を試し、週末の日銀金融政策決定会合が追加利上げに対してタカ派姿勢ならさらに円高が加速する可能性が高まるが、FOMCが0.25%利下げに留まり追加利下げに対して慎重姿勢をとり、日銀がさほどタカ派姿勢でなければ7月3日以降の円高一巡として大きなリバウンドに入ってゆくことも考えられる。いずれにしても年末に向けた方向性を左右する重要局面と考えたい。

【米小売と鉱工業生産は予想を上回る】

9月17日の米経済指標は総じて市場予想を上回ったため、FOMCでの大幅利下げに対する過度の期待がやや後退したことでポジション調整的なドル高反応を招いた。
米商務省が発表した8月小売売上高は前月比0.1%増となり7月の1.1%増から減速したものの市場予想の0.2%減に反してプラスを維持した。変動の激しい自動車・同部品を除くと0.1%増で予想の0.2%増には届かなかったが今年2月から7か月連続でプラスとし、ガソリン・自動車を除くと0.2%増で7月の0.4%増を下回ったものの4か月連続でプラスとした。
米FRBが発表した8月鉱工業生産指数上昇率は前月比0.8%となり7月のマイナス0.9%から改善して市場予想の0.2%を大幅に上回った。製造業は0.9%上昇で3か月振りのプラスとなり、自動車・同部品は9.8%の大幅上昇だった。また設備稼働率は78.0%で7月の77.4%を上回った。
全米住宅建設業者協会(NAHB)による9月のNAHB/ウエルズ・ファーゴ住宅建設業者指数は41となり8月の39及び市場予想の40を上回った。4月の51から4か月連続で低下していたが5か月振りの改善となった。

【米長期債利回りは上昇、ダウは反落】

9月17日の米長期債利回りはFOMCを控えた持ち高調整と米経済指標が予想を上回ったことで前日までの低下が落ち着き総じて上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.03%上昇の3.65%となった。一時3.60%へ低下して2023年10月につけた5.02%以降の最低を更新したもののその後は持ち直した。30年債利回りは前日比0.03%上昇の3.96%となり、一時3.90%まで低下して昨年10月につけた5.18%以降の最低を更新したもののその後に持ち直した。
2年債利回りは前日比0.05%上昇の3.61%となり、16日に一時3.53%をつけて昨年10月19日に付けた5.26%以降の最低を更新したところから持ち直している。
いずれも低下トレンドの範囲内で低下一服の様相だが、FOMCにおける0.50%の大幅利下げ期待は6割を超えているため期待に反して0.25%利下げに留まるようだとサプライズ的に長期債利回りが上昇する可能性があると注意したい。

一方で米国主要株価指数はFOMCを控えて小動きでまちまち。NYダウは16日に史上最高値を更新したが、17日は前日比15.90安と下落、ナスダック総合指数は16日に6日ぶりの反発として17日も35.93ポイント高と小幅続伸し、S&P500指数は前日比1.49ポイント高とわずかな上昇だったが9日から7連騰として史上最高値を更新した。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は9月16日夕に139.57円まで安値を切り下げてから141円に迫る反騰を見せたため、17日午前時点では目先は16日夕安値を起点として戻りを試す局面とし、17日の日中から19日夕にかけての間への上昇を想定した。18日早朝へ一段高してから小反落しているのですでに戻り一巡から下落期入りしている可能性もあるため142円を割り込んで安値切り下がりが続くうちは下向きとし、141.50円割れからは下落継続とみて19日午後から23日夕にかけての間への下落を想定する。ただし、FOMC後の波乱で流れが変わる可能性に注意したい。

60分足の一目均衡表では9月16日夕安値からの反騰で遅行スパンが好転し、17日夜の急伸で先行スパンも上抜いた。その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、26本基準線を割り込んで9本転換線が下落に転じる場合は下落再開を警戒し、遅行スパン悪化からは下落継続とみて安値試し優先とする。その際は先行スパンからの転落を回避できるか試されるとみるが、先行スパンから転落する場合は下落の長期化が懸念される。

60分足の相対力指数は9月17日夜からの急伸で80ポイントに迫ったが18日午前序盤への失速で60ポイント台へ低下した。70ポイント超えからは上昇再開とするが相場が一段高する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落警戒とし、50ポイント割れからは下向きとして30ポイント台への低下へ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、141.50円を下値支持線、142.46円を上値抵抗線とする。
(2)141.70円を上回るうちは上昇余地ありとし、142.46円超えからは143円前後への上昇を想定する。142円以上は反落注意とするが、FOMC後に急伸する場合は143円台中盤へ上値目途を引き上げて19日の日中も高値試しへ向かいやすくなるとみる。
(3)141.50円割れを早々に買い戻される場合は142円超えから上昇再開とするが、141.50円割れから続落の場合は141円試しとし、FOMC後に急落する場合は139円台への下落を想定し、19日の日中も続落しやすいと考える。

【当面の予定】

9/18(水)
休場、香港
15:00 (英) 8月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (7月 -0.2%、予想 0.3%)
15:00 (英) 8月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (7月 2.2%、予想 2.2%)
15:00 (英) 8月 コアCPI・食品エネルギー除く 前年同月比 (7月 3.3%、予想 3.5%)
15:00 (英) 8月 RPI(小売物価指数) 前年同月比 (7月 3.6%、予想 3.4%)
18:00 (欧) 7月 建設支出 前月比 (6月 1.7%)
18:00 (欧) 7月 建設支出 前年同月比 (6月 1.0%)
18:00 (欧) 8月 HICP(調和消費者物価指数)改定値 前年同月比 (速報 2.2%、予想 2.2%)
18:00 (欧) 8月 コアHICP(食品エネルギー除く)改定値 前年同月比 (速報 2.8%、予想 2.8%)

21:30 (米) 8月 住宅着工件数・年率換算 (7月 123.8万件、予想 131.0万件)
21:30 (米) 8月 住宅着工件数 前月比 (7月 -6.8%、予想 5.8%)
21:30 (米) 8月 住宅着工許可件数・年率換算 (7月 139.6万件、予想 141.0万件)
21:30 (米) 8月 住宅着工許可件数 前月比 (7月 -4.0%、予想 1.0%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利 (現行 5.25-5.50%、予想 5.00-5.25%)
27:30 (米) パウエルFRB議長、会見

9/19(木)
日銀金融政策決定会合初日
南ア、ノルウェー、トルコ政策金利発表
07:45 (NZ) 4-6月期 GDP 前期比 (1-3月 0.2%、予想 -0.4%)
07:45 (NZ) 4-6月期 GDP 前年同期比 (1-3月 0.3%、予想 -0.6%)
10:30 (豪) 8月 新規雇用者数 (7月 5.82万人、予想 2.50万人)
10:30 (豪) 8月 失業率 (7月 4.2%、予想 4.2%)
17:00 (欧) 7月 経常収支・季調済 (6月 505億ユーロ)
20:00 (英) 英中銀 政策金利 (現行 5.00%、予想 5.00%)

21:30 (米) 4-6月期 経常収支 (1-3月 -2376億ドル、予想 -2620億ドル)
21:30 (米) 9月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (8月 -7.0、予想 -1.0)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.0万件、予想 23.1万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 185.0万人)
23:00 (米) 8月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (7月 -0.6%、予想 -0.3%)
23:00 (米) 8月 中古住宅販売件数・年率換算 (7月 395万件、予想 390万件)
23:00 (米) 8月 中古住宅販売件数 前月比 (7月 1.3%、予想 -1.3%)
26:00 (米) 財務省10年インフレ連動債入札



注:ポイント要約は編集部

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