心理的節目140.00を割り込み、約1年2カ月ぶり安値圏へと下げ幅拡大
〇ドル円、FOMCでの大幅利下げ観測強まり、欧州時間朝方にかけ139.58まで急落
〇売り一巡後は、反動買い、米株の堅調、米指標の好調等に米国時間に140.91まで反発
〇ユーロドル、ECB10月利下げ観測後退等に1.11台前半に上昇しての推移
〇ドル円心理的節目である140.00を割り込み、約1年2カ月ぶり安値139.58まで急落
〇日足と週足の双方で強い売りシグナルが点灯、テクニカルな売り日つながるリスクを孕む
〇本日の予想レンジ:139.00ー141.50
海外時間のレビュー
週明け16日(月)のドル円相場は急落後に持ち直す展開。(1)前週来続くドル売りの流れの継続(米WSJ紙と英FT紙による50bp利下げの可能性を示唆する記事掲載の影響を受けて、米FRBによる大幅利下げ観測が再燃→米長期金利急低下→米ドル全面安)や、(2)米中貿易摩擦に端を発した米中対立激化懸念(米通商代表部は中国から輸入する電気自動車などへの制裁関税を9/27に引き上げることを発表→中国商務省は対抗措置を示唆)、(3)市場参加者に意識されていたサポート水準(昨年12/28に記録した安値140.25や心理的節目140.00)を割り込んだことに伴う仕掛け的なドル売り・円買いが重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値139.58(昨年7/28以来となる1年2カ月ぶり安値圏)まで急落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)急ピッチな下落に対する反動買いや、(5)米主要株価指数の堅調推移、(6)米長期金利の低下幅縮小、(7)米9月ニューヨーク連銀製造業景況指数(結果+11.5、予想▲4.0)の市場予想を上回る結果が支えとなり、米国時間朝方にかけて、高値140.91まで反発しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間9/17午前6時00分現在)では、140.60前後で推移しております。尚、昨日は高市経済安全保障担当相より「金融緩和は我慢して続けるべき」「低金利を続けるべき」との利上げ牽制発言が見られましたが、市場の反応は限られました。
週明け16日(月)のユーロドル相場は堅調な値動き。アジア時間早朝にかけて、安値1.1075まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)前週来続くドル売りの流れの継続(米WSJ紙と英FT紙による50bp利下げの可能性を示唆する記事掲載の影響を受けて、米FRBによる大幅利下げ観測が再燃→米長期金利急低下→米ドル全面安)や、(2)ECBによる10月利下げ観測の後退(ラガルドECB総裁は「欧州経済が悪化すれば10月利下げの可能性も出てくるが包括的な情報が入手できるのは12月会合」と発言)、(3)ドイツ中銀ナーゲル総裁による「消費者物価指数は来年末までにECBが目標とする2%まで減速する見通しだが、政策当局者は警戒を緩めてはならない」との見解発表、(4)ユーロ圏7月貿易収支・季調済(結果155億ユーロ黒字、予想150億ユーロ黒字)の市場予想を上回る結果が支えとなり、米国時間朝方にかけて、高値1.1138まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間9/17午前6時00分現在)では、1.1133前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は心理的節目である140.00を割り込み、約1年2カ月ぶり安値となる139.58まで急落しました。こうした動きの背景には、米WSJ紙や英FT紙がサプライズ的に50bp利下げの可能性を示唆する記事を掲載したことが挙げられます。これにより、今週の米FOMCで50bp利下げが実施されるとの観測が急浮上しました。CMEのFed Watch Toolによると、50bp利下げの織り込み度合いは1週間前の30%から現在では67%まで急上昇しています。同時に発表されるドットチャートについても、6月時点の数値から大幅な下方修正が見込まれています。この影響で米長期金利が急低下し、米ドルが幅広く売られる展開となりました。幸いにも株式市場は米長期金利の低下を好感し、値を保っていますが、米国のハードランディング懸念が高まれば、リスク回避の円買いが加わり、さらなる下落リスクが浮上します。
加えて、日足と週足の双方で強い売りシグナルが点灯していることも、テクニカル的な「売り圧力」に繋がるリスクを孕んでいます。以上を踏まえ、当方では引き続きドル売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米国の主要経済指標(8月小売売上高、鉱工業生産、設備稼働率、9月NAHB住宅市場指数)が複数予定されているため、米国時間帯のボラティリティ拡大(特にダウンサイド)が警戒されます。通常、重要イベント(米FOMCや日銀金融政策決定会合)を控えた状況では様子見ムードが強まりますが、現在のドル円相場は箍が外れているため、重要イベント前でもボラティリティの高い不安定な相場展開が続きそうです。
本日の予想レンジ:139.00ー141.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.10.12
来週の為替相場見通し:『ドル円は約2カ月ぶり高値を更新。心理的節目150.00が射程圏内』(10/12朝)
ドル円は9/16に記録した安値139.58をボトムに切り返すと、週後半にかけて、約2カ月ぶり高値となる149.57まで上昇しました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.10.11
東京市場のドルは148円台後半で推移、タカ派なボウマンFRB理事の発言に注目(24/10/11)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、売買材料に欠けるなか、148円台半ばでのもみ合い相場となった。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.10.11
ドル円 ドル底堅いが、上値は重い展開継続か(10/11夕)
東京市場はドルが底堅い。148円後半を中心とした値動きで、下値が限られた反面、上値も重かった。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:上村 和弘
2024.09.17
ドル円見通し 140円割れから反発しているが、右肩下がりの下落基調続く(24/9/17)
17日未明に140.90円まで切り返し、17日午前には141円を超えた。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.09.16
ドル円 ドルは140円割れ、下値余地さらに拡大か(9/16夕)
週明けのアジア市場はドルが弱含み。昨年7月28日以来の140円割れを示現する局面も観測されている。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。