8月安値が視界内に、ドル続落にも注意
〇本日のドル円、終盤にかけてドルが下落、昨日安値142.85も下回り142.25レベルへ一段安
〇ドル円は続落、142円台に強いテクニカルサポートがなく、8/5安値141.68が意識されてきた
〇為替市場は米雇用データをめぐり右往左往、昨日は7月ADP雇用統計が悪化しドルの売り要因となる
〇本日は8月雇用統計が発表予定、発表前後の相場はかなりの乱高下が予想され要注意
〇ドル円予想レンジは141.50-143.50、ドル高・円安方向は142.85や143円レベルが最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、東京安値142.25レベルをめぐる攻防にまずは注目
<< 東京市場の動き >>
東京市場はドルが一段安。終盤にかけてドル売りがかさむ展開となり、前日安値も下回ると一時142.25円レベル。
ドル/円は143.40-45円で寄り付いたものの、ドルの上値は重い。米雇用統計待ちの様相から売買は全体的に手控えムードが強いなか、しばらくは143.00-50円といったレンジ取引。しかし、日経平均などの株安進行に加え、米金利の低下もあり、終盤にかけてドルは底割れ。昨日安値142.85円も下回ると、日中安値の142.25円レベルへ。16時現在では、そのままドル安値圏で推移し、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは「米経済情勢」と「ガザ情勢」について。
前者は、為替市場が連日発表される米雇用データをめぐり右往左往。3日に発表された8月のISM製造業景況指数に含まれる同雇用指数が回復傾向を示す反面、翌4日の7月のJOLT雇用動態調査が逆に大きく悪化と対照的な内容となるなか、昨日5日発表された7月のADP雇用統計も前日に続き失望を誘う数字であり、ドルの売り要因に。そして上記したような状況下、本日はNYタイムにいよいよ真打ちともいえる8月の雇用統計が発表される予定だ。ちなみに、市場の注目度が高い非農業部門雇用者はプラス16.5万人、失業率は4.2%程度が見込まれているが果たしてどうなるか。予想より悪化方向を期待する向きもある。
後者は、楽観的なのか意図的なのか、ブリンケン米国務長官からは「9割の部分で合意している」とした発言も聞かれていたガザの停戦交渉だが、やはりそこまで甘い状況ではないようだ。イスラエル首相は「残念ながら合意には近づいていない」「ハマスは何についても同意しない」−−などと繰り返しており、むしろ状況は厳しいままと言わざるを得ない。短期的には米雇用情勢に目が向いている相場だが、一巡すれば地政学リスクの高まりが市場の波乱要因としてクローズアップされることになる可能性もある。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル安方向へのリスクが顕在化したドル/円、今度はドルの下落が止まらない。昨日欧米タイムに1ヵ月ぶり安値の143円割れを示現したことに続き、本日東京では142円前半までさらに続落している。昨日もレポートしたように、142円台に強いテクニカルサポートは存在しておらず、少し遠い存在と目された8月5日安値141.68円が現実的なメドとして意識されてきたようだ。
日米の金融政策が引き続き注視されるなか、短期的には連日発表される米経済指標が市場の変動要因に。そして、本日はもっとも注視されている真打ちともいえる米指標、8月の雇用統計が発表される予定だ。もちろん数字次第といった感はあるものの、発表前後の相場はかなりの乱高下が予想されており、大いなる注意を払いたい。イエレン財務長官は昨日、「労働市場は良好かつ健全」と安心感を醸すようなコメントを発していたが、それが具現化されたような内容となるのだろうか。
テクニカルに見た場合、ドル/円は形成していたレンジを底割れしただけでなく、本日東京時間には142円前半まで続落。141.68円が視界内に捉えられてきたことは間違いなく、それを仮に下回ると今年のドル安値140.80円や、140.26円などがターゲットに。
対するドルの抵抗は、まず143円レベル。しっかり超えれば、さらに1円程度のドル続伸も。
本日は米経済指標として、8月の雇用統計が発表される予定。改めて指摘するまでもなく、今週もっとも注視されている指標だけに数値如何では波乱含みの様相も。なお、それ以外ではそののち実施される、NY連銀総裁やウォラーFRB理事による講演にも注意しておきたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは141.50-143.50円。ドル高・円安方向は、昨日のドル安値だった142.85円や143円レベルが最初の抵抗。しっかり抜けると、意外に戻りは早い可能性も。
対するドル安・円高方向は、東京安値の142.25円レベルをめぐる攻防にまずは注目。下回ると142円そしていよいよ8月安値141.68円が視界内に。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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