来週の為替相場見通し『ドル高・円安トレンドの再開に期待。来週は米雇用統計がメインイベント』(8/31朝)

来週の為替相場見通し:『ドル高・円安トレンドの再開に期待。来週は米雇用統計がメインイベント』(8/31朝)

来週の為替相場見通し『ドル高・円安トレンドの再開に期待。来週は米雇用統計がメインイベント』(8/31朝)

『ドル高・円安トレンドの再開に期待。来週は米雇用統計がメインイベント』

〇今週のドル円、週間安値143.45まで下落するも、週末にかけて一時146.25まで上昇
〇好調な米指標と米長期金利の上昇、株式市場の堅調推移等が背景
〇ユーロドル、週初1.1202まで上昇後、週末にかけ1.1044まで下落
〇欧州指標不冴え、米長期金利上昇、ECB関係者のハト派発言等が背景
〇ドル円、日足が21日線、転換線、ボリンジャーミッドバンドを上抜け、地合いの回復が期待される
〇ファンダメンタルズも円キャリー再開期待、株式市場の持ち直しがドル円をサポート
〇来週は米ISM指数、雇用統計等要注目
〇引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):144.50ー148.50、(EURUSD):1.0900−1.1175

今週のレビュー(8/26−8/30)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、週初144.24で寄り付いた後、前週末金曜日以降のドル売り・円買い(植田日銀総裁によるタカ派的な発言とパウエルFRB議長によるハト派的な発言の組み合わせでドル円相場が急落)の流れが継続する中、週明け早々に、週間安値143.45まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)急ピッチな下落に対する反動買いや、(2)米7月耐久財受注・速報値(結果+9.9%、予想+5.0%)の市場予想を上回る結果、(3)米8月ダラス連銀製造業活動指数(結果▲9.7、予想▲16.0)の市場予想を上回る結果、(4)米8月コンファレンスボード消費者信頼感指数(結果103.3、予想100.7)の力強い結果(6カ月ぶり高水準)、

(5)本邦輸入企業の実需のドル買い観測、(6)氷見野日銀副総裁イベント通過に伴うあく抜け感(同氏は甲府市金融経済懇談会で「経済・物価見通しが実現する確度が高まっていけば金融緩和度合いを調整していく」と金融政策正常化方針を強調→但し、植田日銀総裁が先週末金曜日に見せたスタンスと同様で真新しさに欠けたことから市場の反応は限定的→安堵感から株買い・円売り)、(7)エヌビディア決算通過に伴うあく抜け感(調整後1株利益が0.68ドルと予想の0.64ドルを上回った他、8ー10月の売上見通しも325億ドル前後とアナリスト予想の319億ドルを上回る無難な結果)、(8)米新規失業保険申請件数(結果23.1万件、予想23.2万件)の良好な結果、(9)米4ー6月期実質GDP改定値(結果+3.0%、予想+2.8%)の市場予想を上回る結果、

10)リッチモンド連銀バーキン総裁による「インフレは低下したもののまだ道半ば」との慎重な発言、(11)米7月PCEデフレータ(結果+2.5%、予想+2.5%)および、同PCEコアデフレータ(結果+2.6%、予想+2.7%)の無難な結果(インフレ鈍化と米経済の底堅さが併存していることを市場が好感)、(12)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(13)株式市場の堅調推移が支援材料となり、週末にかけて、週間高値146.25まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/31午前4時30分現在)では、146.11前後で推移しております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1188で寄り付いた後、早々に週間高値1.1202(年初来高値)まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)急ピッチな上昇に対する反動売りや、(2)中東情勢を巡る地政学的リスク(ヒズボラとイスラエルが昨年10月以来で最大規模の攻撃を実施→中東情勢緊迫化懸念)、(3)ドイツ8月IFO景況感指数(結果86.6、予想85.9、前回87.0)の冴えない結果(市場予想を上回りつつも3ヵ月連続の低下)、(4)ドイツ8月IFO期待指数(結果86.8、予想85.8、前回87.0)の冴えない結果(市場予想を上回りつつも今年2月以来の低水準)、(5)ドイツIFO経済研究所のクレメンス・フュースト所長による「ドイツ経済はさらに危機に陥りつつある」との悲観的な発言、(6)米経済指標の良好な結果(米経済のハードランディング懸念の後退)、

(7)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(8)ドイツ9月GFK消費者信頼感(結果▲22.0、予想▲18.2)の冴えない結果、(9)ユーロ圏8月消費者信頼感確報値(結果▲13.5、予想▲13.4)の市場予想を下回る結果、(10)ドイツ各州別8月消費者物価指数(ヘッセン州、バイエルン州、ブランデンブルグ州、ザクセン州、バーデン・ビュルテンブルク州、ノルトライン・ウェストファーレン州)の軒並み鈍化、(11)ドイツ8月消費者物価指数速報値(結果+1.9%、予想+2.1%)の市場予想を下回る結果、(12)シュナーベルECB専務理事による「2025年末のインフレ2%達成に向けて条件が整った」とのハト派的な発言、

(13)フィンランド中銀レーン総裁による「成長見通しは予想を下回っており9月ECB理事会での利下げ観測を支持する」とのハト派的な発言、(14)エストニア中銀ミュラー総裁による「9月ECB理事会での利下げの可能性は高い」とのハト派的な発言、(15)フランス中銀ビルロワドガロ総裁による「9月利下げは公平かつ賢明となる可能性がある」とのハト派的な発言が重石となり、週末にかけて、週間安値1.1044まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間8/31午前4時30分現在)では、1.1052前後で推移しております。

来週の見通し(9/2−9/6)

<ドル円相場>
ドル円は週末にかけて146円台を回復するなど堅調推移が続いております。日足ローソク足が21日線、一目均衡表転換線、ボリンジャーミッドバンドを上抜けしており、テクニカル的に見て、地合いの回復が期待されます。146.42前後に位置する4時間足ベースの一目均衡表雲上限を突破できれば、もう一段ドル高・円安が進むシナリオも想定されます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日銀による追加利上げ観測の後退(植田日銀総裁、内田日銀副総裁共に、「金融市場が不安定な状況で利上げをすることはない」との見解を共有→年内追加利上げは事実上難しいとの見方が市場コンセンサス)や、(2)米FRBによる大幅利下げ観測の後退(米経済のハードランディング懸念が後退する中、米FRBが9月FOMCで50bpの大幅利下げに追い込まれる可能性は急低下→CME Fed Watchによると、9月FOMCでの50bp利下げの織り込み度合は8/5時点の85.0%から足元30.5%まで低下中)、(3)上記1、2を背景とした円キャリートレードの再開期待、(4)株式市場の持ち直し(リスク選好の円売り再開)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。

こうした中、来週は上記2を見極める目的で、9/3に予定されている米8月IMS製造業景況指数や、9/5の米8月ISM非製造業景況指数、9/6の米8月雇用統計に注目が集まります。前回7月の米FOMC声明文(これまで使用し続けてきたhighly attentive to inflation risksという表現からattentive to the risks to both sides of its dual mandateに変更)及び、先週末金曜日のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長講演を見る限り、米FRBのスタンスが「物価抑制」から「雇用の悪化阻止」に移ったことは明確であるため、来週は米8月IMS製造業景況指数や、米8月ISM非製造業景況指数の内訳の「雇用指数」の数字や、米8月雇用統計における「非農業部門雇用者数」および「失業率」の数字に市場参加者の関心が移っています。

余程大きな悪化を示さない限り、次回FOMCでの25bp利下げの方向性は覆らない(50bp利下げ観測が再浮上する可能性は乏しい)と見られることから、当方では引き続き、ドル円相場の続伸(米金利上昇→米ドル買いの経路と、米株上昇→リスク選好の円売りの経路の組み合わせ)をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(USDJPY):144.50ー148.50

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は年初来高値更新後に反落するなど冴えない動きとなりました。日足ローソク足が一目均衡表転換線を下抜けした他、1時間足や4時間足などの下位足でも強い売りシグナルが点灯するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状になりつつあります。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)欧州経済の先行き不透明感(直近で発表された欧州経済指標は特にドイツを中心に軒並み悪化)や、(2)欧州域内を巡る根強い財政悪化懸念、(3)ECBによる追加利下げ観測(先週発表されたユーロ圏第2四半期妥結賃金が前期の+4.74%から+3.55%まで鈍化したことで、次回9月ECB理事会での25bp利下げの織り込み度合が上昇。今週は欧州当局者からハト派的な発言が相次ぐ展開)、

(4)米経済のハードランディング懸念の後退(良好な米経済指標を背景に米FRBによる大幅利下げ観測が後退→米金利に上昇圧力→米ドル買い)など、ユーロドル相場の下落を連想させる材料が揃っています。これまで続いてきたユーロ高・ドル安トレンドは、あくまで「米ドル売り」に起因しており、「ユーロ買い」が要因では無かったことから、前者の「米ドル売り」要因が剥落した現在は、本質的なユーロの実力(ファンダメンタルズ)を見定めるフェーズに入ったと考えられます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はドイツ7月製造業受注や、ユーロ圏4−6月期GDP確報値、ドイツ7月鉱工業生産に加えて、欧州当局者発言(ドイツ連銀ナーゲル総裁、フランス中銀ビルロワドガロ総裁など)に注目が集まります。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0900−1.1175

注:ポイント要約は編集部

『ドル高・円安トレンドの再開に期待。来週は米雇用統計がメインイベント』

ドル円日足

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