ドル円見通し 米GDP上方修正でいったん上昇してから反落、今夜の米PCE統計へ向け慎重な動き(24/8/30)

29日夜に145.54円へ上昇して8月27日夕高値145.17円を超え8月26日午前安値143.45円以降の高値を更新した

ドル円見通し 米GDP上方修正でいったん上昇してから反落、今夜の米PCE統計へ向け慎重な動き(24/8/30)

米GDP上方修正でいったん上昇してから反落、今夜の米PCE統計へ向け慎重な動き

〇ドル円、良好な米経済指標を受けて8/29日夜に145.54へ上昇、8/27夕高値145.17を超える
〇8/30早朝144.73へ下げた後も、145円を挟んだ揉み合いにとどまる
〇9/2は米国休場となり、今夜発表される7月米PCEデフレーターに対する市場反応が大きくなりやすいか
〇米GDP改定値は上方修正、米新規失業保険申請件数は2週ぶりに改善
〇米長期債利回りは米GDP上方修正により総じて上昇するも小幅にとどまる、米株価はまちまちの動き
〇145円前後で揉み合ううちは上昇余地ありとし、145.54超えからは146円前後への上昇を想定する
〇144.21割れから下落再開とみて、8/28安値143.68、8/26安値143.45を順次試す下落を想定する

【概況】

ドル円は米4-6月期実質GDP改定値が年率換算前期比3.0%増となり速報値の2.8%増から上方修正され、週間新規失業保険申請件数も前週比2000件減少したことによるドル高反応で29日夜に145.54円へ上昇して8月27日夕高値145.17円を超え8月26日午前安値143.45円以降の高値を更新したが、米国の9月利下げ開始見通しは変わらず今夜の米7月PCE統計を控えて慎重姿勢となり、30日早朝に144.73円へ下げた後も145円を挟んだ揉み合いにとどまっている。

8月26日午前安値143.45円から28日朝安値143.68円へ底上げし、8月27日夕高値145.17円から28日夜高値145.03円へ若干高値ラインを切り下げて三角持ち合いの様相だったところからいったん上抜けたため、8月16日早朝の15日付け高値149.38円以降の下落が一巡して買い戻しがやや優勢となりつつあるところだが、二段上げ型の戻り一巡で次の下落期に向かう可能性も抱えている。
9月2日は米国のレーバーデーで全て休場となるため、3連休前の8月30日夜に発表される7月米PCE(個人消費支出)デフレーターに対する市場反応が大きくなりやすいと注意したい。

【米GDP改定値は上方修正】

8月29日夜に発表された4-6月期米GDP改定値は年率換算前期比3.0%増となり速報の2.8%増から上方修正され、個人消費支出も速報の2.3%から2.9%へ大幅上方修正されて市場予想の2.2%を大きく上回った。四半期ベースのPCEデフレーターは全体で2.5%となり速報の2.6%から下方修正されて1-3月期の3.4%から大幅に鈍化し、コアデフレーターも2.8%となり速報の2.9%から下方修正されて1-3月期の3.7%から大幅に鈍化した。
米国の9月利下げについては景気がまだ底固いために0.50%の大幅利下げにはならず0.25%利下げに留まるとの見方に寄与する内容だったが、利下げ開始見通しそのものは変わらず、来週の米雇用統計が悪化する場合には0.50%利下げ期待が再燃することもあり得るだろう。

米労働省による新規失業保険申請件数は8月24日までの週間で前週比2000件減の23万1000件となり市場予想の23万2000件を若干下回って2週ぶりに改善した。失業保険受給者総数は8月17日までの週間で186万8000人となり前週から1万3000人増で市場予想の187万人を下回った。
7月の米住宅販売保留指数は前月比5.5%減となり6月に4.8%増から悪化して市場予想の0.2%増を大きく下回り、前年同月比は4.6%減で6月の7.8%減を上回ったものの市場予想の2.0%減を下回った。

【米長期債利回りは小幅上昇、ダウは最高値更新】

8月29日の米長期債利回りは米GDP上方修正により総じて上昇したが30日夜の米PCEデフレーター発表を控えて上昇は小幅にとどまった。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.02%上昇の3.86%となり27日の0.01%上昇、28日の0.01%上昇から3連騰とした。30年債利回りは前日比0.02%上昇の4.15%となり28日の0.02%上昇から連騰とし、政策金利動向に敏感な2年債利回りは27日の0.04%低下、28日の0.03%低下と続落していたが29日は前日比0.03%上昇の3.90%となった。

一方で米国主要株価指数はまちまちの動きとなり、NYダウは米GDP上方修正を好感してソフトランディングと利下げ開始による先高期待で前日比243.63ドル高と上昇して史上最高値を更新したが、ナスダック総合指数は前日のエヌビディア決算を通過して利食い売り優勢となり前日比39.60ポイント安に終わり、S&P500指数も前日比0.22ポイント安とわずかに下落した。しかしナスダックもS&Pも8月序盤からの上昇基調を継続する流れと思われ、米国株高が日本株高に寄与しつつリスク選好感からはドル円の押し上げ要因となりやすい状況と思われる。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は8月26日午前安値143.45円から27日夕高値145.17円までの高安レンジ内で三角持ち合いを形成していたが、8月29日夜に27日夕高値を超えて持ち合いをいったん上放れたが、その後に反落して慎重な動きに留まっている。8月29日夜高値145.54円を超える場合は30日の日中から9月3日夕にかけての間への上昇を想定するが、8月29日朝安値144.21円割れからは二段戻り一巡による下落再開とみて9月3日午前から5日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では8月29日夜の上昇後に反落したものの遅行スパンの好転と先行スパンを上回る状況を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は8月29日夜に70ポイントへ到達してから50ポイントへ反落したもののその後は50ポイント台で確りしている。60ポイント超えからは一段高を試す上昇を想定するが相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落警戒とし、50ポイント割れから続落する場合は下落再開とみて30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8月29日朝安値144.21円を下値支持線、8月29日夜高値145.54円を上値抵抗線とする。
(2)145円前後で揉み合ううちは上昇余地ありとし、145.54円超えからは146円前後への上昇を想定する。146円前後は反落警戒とするが、30日夜の米経済指標を通過して145円を上回っての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)144.21円割れからは下落再開とみて28日午前安値143.68円、26日午前安値143.45円を順次試す下落を想定し、米経済指標発表後に下落継続の場合は週明けも安値試しを続けやすいとみる。

【当面の予定】

8/30(金)
休場 トルコ
10:30 (豪) 7月 小売売上高 前月比 (6月 0.5%、予想 0.3%)
14:00 (日) 7月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (6月 -6.7%、予想 -1.0%)
16:55 (独) 8月 失業率 (7月 6.0%、予想 6.0%)
18:00 (欧) 8月 HICP(調和消費者物価指数)速報値 前年同月比 (7月 2.6%、予想 2.2%)
18:00 (欧) 8月 コアHICP(食品エネルギー除く)速報値 前年同月比 (7月 2.9%、予想 2.8%)
18:00 (欧) 7月 失業率 (6月 6.5%、予想 6.5%)

21:30 (米) 7月 個人所得 前月比 (6月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 7月 PCE(個人消費支出) 前月比 (6月 0.3%、予想 0.5%)
21:30 (米) 7月 PCEデフレーター 前年同月比 (6月 2.5%、予想 2.5%)
21:30 (米) 7月 コアPCEデフレーター(食品・エネルギー除く) 前月比 (6月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 7月 コアPCEデフレーター(食品・エネルギー除く) 前年同月比 (6月 2.6%、予想 2.7%)
22:45 (米) 8月 シカゴ購買部協会景況指数 (7月 45.3、予想 45.5)
23:00 (米) 8月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 67.8、予想 68.0)



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