良好な米経済指標を受けて一時145円台を回復。本日は日米の物価指標に注目
〇ドル円、月末応答日に絡む本邦輸入企業の実需、好調な米指標等に米国時間にかけて145.56まで上昇
〇買い一巡後は21日線、転換線等のレジスタンスに上値阻まれ144.97まで値を崩す動き
〇ユーロドル、欧州地区のCPIの鈍化、米金利上昇等に米国時間に一時1.1056まで下落
〇ドル円、低下中のレジスタンスポイントが売りを誘発
〇ファンダメンタルズは円キャリー再開期待、株式市場の堅調がドル円をサポート
〇日米指標をきっかけにレジスタンスラインを突破できれば、ドル買い円売りが一気に進むシナリオも
〇本日の予想レンジ:144.00ー146.50
海外時間のレビュー
29日(木)のドル円相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値144.22まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)エヌビディア決算通過に伴うあく抜け感(※調整後の1株利益が0.68ドルと予想の0.64ドルを上回った他、8ー10月の売上見通しも325億ドル前後とアナリスト予想の319億ドルを上回る無難な結果)や、(2)月初応答日に絡む本邦輸入企業の実需のドル買い観測、(3)日経平均株価の下げ幅縮小、(4)米新規失業保険申請件数(結果23.1万件、予想23.2万件)の良好な結果、
(5)米4ー6月期実質GDP改定値(結果+3.0%、予想+2.8%)の市場予想を上回る結果、(6)リッチモンド連銀バーキン総裁による「インフレは低下したもののまだ道半ば」との慎重な発言、(7)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値145.56まで上昇しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(8)21日移動平均線、一目均衡表転換線、ボリンジャーミッドバンドを背にした戻り売り圧力や、(9)ロンドンフィキシングに絡むドル売りフローが重石となり、本稿執筆時点(日本時間8/30午前6時30分現在)では、144.97前後まで値を崩す動きとなっております。
29日(木)のユーロドル相場は冴えない動き。アジア時間午後にかけて、高値1.1140まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)ユーロ圏8月消費者信頼感確報値(結果▲13.5、予想▲13.4)の市場予想を下回る結果や、(2)ドイツ各州別(ヘッセン州、バイエルン州、ブランデンブルグ州、ザクセン州、バーデン・ビュルテンブルク州、ノルトライン・ウェストファーレン州)の8月消費者物価指数の軒並み鈍化、(3)ドイツ8月消費者物価指数速報値(結果+1.9%、予想+2.1%)の市場予想を下回る結果、(4)米新規失業保険申請件数の良好な結果、(5)米4ー6月期実質GDP改定値の市場予想を上回る結果、(6)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.1056まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間8/30午前6時30分現在)では、1.1078前後で推移しております。尚、昨日はドイツ連銀ナーゲル総裁より「2%のインフレ目標は視野に入っているがまだ達成できていないため、急激な利下げは回避すべき」との発言が見られました、市場の反応は限られました。
本日の見通し
ドル円は一時145.56まで上値を伸ばすも、米国時間午後にかけて反落に転じる動きとなりました。アップサイドから垂れ下がってきている3つのレジスタンスポイント(21日移動平均線、一目均衡表転換線、ボリンジャーミッドバンド)が、利食い売りや戻り売りを誘発しているものと推察されます。但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)日銀による年内追加利上げ観測の後退や、(2)米FRBによる大幅利下げ観測の後退(良好な米経済指標を背景に、米国のハードランディング懸念・リセッション懸念が後退→9月FOMCでの50bp利下げの織り込み度合は32.5%程度まで低下傾向)、(3)上記1、2を背景とした円キャリートレードの再開期待、
(4)株式市場の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)など、ドル円相場の持ち直しを連想させる材料が揃っています。本日予定されている本邦8月東京区部消費者物価指数が市場予想を下回る場合や、米7月PCEデフレータが市場予想を上回る場合には、改めて日銀による追加利上げ観測の後退と、米FRBによる大幅利下げ観測の後退が意識されるため、日米金利差拡大を通じて、ドル円に上昇圧力が加わるシナリオが想定されます。上述のレジスタンスラインを突破できれば、146円台や147円台に向かって、ドル買い・円売りが一気に進むシナリオも想定されるため、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの早期再開をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:144.00ー146.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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