8月26日午前安値の後はレンジ縮小型三角持ち合いの様相
〇昨日のドル円、目先の売り一巡で143.68まで反落後、145.03まで戻す
〇日米金利差により、円高バイアスがかかりやすい状況つづく
〇今夜と明日の米経済指標をきっかけに持ち合い下放れに入る可能性に注意
〇日銀の氷見野副総裁はややハト派だが、植田総裁の利上げ路線維持姿勢と変わらず
〇米9月利下げはほぼ確実、0.50%の大幅利下げとなるかが焦点
〇米長期債利回りは小動きだが2年債利回りの低下続く、ダウは反落
〇145.17超えからは持ち合い上放れとして146円を目指す上昇を想定
〇143.68割れからは持ち合い下放れとして143円前後への下落を想定
【概況】
ドル円は7月3日高値161.94円から8月5日安値141.69円までの大幅下落幅20.25円に対して8月15日高値149.38円まで上昇幅7.69円、凡そ38%を戻したところから下落再開に入り、8月23日のジャクソンホール会合におけるパウエルFRB議長講演で9月利下げ開始姿勢が鮮明に示されたことによるドル売りで144円台序盤へ急落して26日午前に143.45円まで安値を切り下げた。目先の売り一巡として8月27日夕に145.17円まで戻してから28日午前に143.68円まで反落したものの26日安値割れをひとまず回避し、28日夜には145.03円まで戻したものの27日夕高値には届かず29日午前には144円台序盤へ失速している。
8月28日は主要な欧米経済指標の発表はなく手掛かり難だったが、29日夜に米4-6月期GDP改定値や新規失業保険申請件数、30日夜には米7月PCE(個人消費支出)デフレーターの発表と続くために28日はポジション調整的にこれまで上昇してきたユーロドルやポンドドルが反落してドル安感が緩んだが、米国の9月利下げ開始見通しと日銀が年内追加利上げを模索しているために円高バイアスがかかりやすい状況が続いており、戻り高値を切り下げる右肩下がりの展開に留まっている。
8月26日午前安値から27日夕高値へ戻した後はこの高安レンジ内で徐々にレンジを縮小する三角持ち合いの様相であり、今夜と明日夜の米経済指標をきっかけとして持ち合い下放れに入る可能性に注意したい。
【日銀の氷見野副総裁はややハト派】
8月28日に日銀の氷見野副総裁が講演と会見を行ったが、「金融資本市場は引き続き不安定な状況で、当面はその動向を極めて高い緊張感を持って注視していく」と述べたため、積極的な追加利上げへ向かうのは時期尚早とするややハト派的姿勢と市場は受け止めたが、「経済・物価見通しが実現する確度が高まれば金融緩和の度合いを調整していく(=利上げする)のが基本姿勢だ」とも述べている。
8月23日に植田日銀総裁が衆参両院の閉会中審査において当面は市場の安定を見極めつつ利上げ路線を維持する姿勢を示したものと変わらず、8月2日から5日にかけての世界連鎖株安による金融市場全般の動揺が落ち着いていることを踏まえれば、年末から年明けにかけて追加利上げのタイミングを探ることになるのではないかと市場は見ている。
一方で米国の9月利下げはほぼ確実とされ、焦点は0.25%の通常利下げか0.50%の大幅利下げとなるのかという点に向いている。現時点では0.50%利下げを見込むのは4割弱でありまだ過半に達していないものの、今後の労働市場指標が大幅に悪化するようだと0.50%利上げへの期待度も高まる可能性がある。
【米長期債利回りは小動きだが2年債利回りの低下続く、ダウは反落】
8月28日の米長期債利回りはまちまちの小動きだった。29日夜の米GDP改定値と30日夜の米PCEデフレーターを見定めたいところとして動きは鈍いが、政策金利動向に敏感な2年債利回りは低下傾向が顕著となっている。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.01%上昇の3.84%で27日の0.01%上昇から小幅続伸し、30年債利回りは前日比0.02%上昇の4.13%となった。2年債利回りは前日比0.03%低下の3.87%となり27日の0.04%低下から続落し、一時3.851%をつけて2023年10月の5.26%以降の最低である8月2日の急低下時に付けた3.845%へ迫った。
一方でNYダウは8月26日から27日にかけて連日の史上最高値更新だったが28日は米半導体大手エヌビディアの決算を控えて利食い売り優先となり前日比159.08ドル安と4日ぶりに反落し、ナスダック総合指数も前日比198.79ポイント安、S&P500も前日比33.62ポイント安と反落した。引け後のエヌビディア決算は予想を若干上回ったものの一部の高水準予想には及ばずサプライズ感は乏しくダウ先物の反応は今のところ鈍い。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は8月26日午前安値143.45円から27日夕高値145.17円までの高安レンジ内で三角持ち合いを形成しているため、28日夜高値145.03円を超えないうちは28日午前安値143.68円試しとし、安値更新からは三角持ち合い下放れによる下落期入りとみて29日の日中から9月2日午前にかけての間への下落を想定し、27日夕高値145.17円超えからは持ち合い上放れとして30日の日中から9月3日夕にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では三角持ち合いに入っているために遅行スパンと先行スパンはともに実線と交錯を繰り返して方向感に欠けるため持ち合い放れ待ちとし、8月27日夕高値超えからは持ち合い上放れによる上昇期入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、28日午前安値割れからは持ち合い下放れによる下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は8月28日夜に60ポイント台へ上昇したものの29日午前に50ポイントを割り込んでいるため、55ポイント超えからは上昇再開の可能性を優先して60ポイント台前半への上昇を想定し、8月27日夕高値超えからは70ポイント台への続伸を想定するが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8月28日午前安値143.68円を下値支持線、8月27日夕高値145.17円を上値抵抗線とする。
(2)145円前後は戻り売りにつかまりやすいとみるが、145.17円超えからは持ち合い上放れとして146円を目指す上昇を想定し、145円台を維持しての推移なら30日も続伸しやすいとみる。
(3)143.68円割れからは持ち合い下放れとして143円前後への下落を想定する。143円割れは買われやすいと注意するが、143.68円を割り込んだ後も144円以下での推移なら30日も続落しやすいとみる。下げ足が速まる場合は142円台中盤へ下値目途を引き下げる。
【当面の予定】
8/29(木)
10:30 (豪) 4-6月期 民間設備投資 前期比 (1-3月 1.0%、予想 1.0%)
14:00 (日) 8月 消費者態度指数・一般世帯 (7月 36.7、予想 37.0)
18:00 (欧) 8月 消費者信頼感・確定値 (速報 -13.4、予想 -13.4)
18:00 (欧) 8月 経済信頼感 (7月 95.8、予想 95.8)
21:00 (独) 8月 CPI(消費者物価指数)速報値 前月比 (7月 0.3%、予想 0.1%)
21:00 (独) 8月 CPI(消費者物価指数)速報値 前年同月比 (7月 2.3%、予想 2.1%)
21:30 (米) 4-6月期 GDP改定値 前期比年率 (速報 2.8%、予想 2.8%)
21:30 (米) 4-6月期 GDP個人消費改定値 前期比年率 (速報 2.3%、予想 2.2%)
21:30 (米) 4-6月期 コアPCEデフレーター改定値 前期比年率 (速報 2.9%、予想 2.9%)
21:30 (米) 7月 卸売在庫 前月比 (6月 0.2%、予想 0.3%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.2万件、予想 23.2万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 186.3万人、予想 187.0万人)
23:00 (米) 7月 住宅販売保留指数 前月比 (6月 4.8%、予想 0.2%)
23:00 (米) 7月 住宅販売保留指数 前年同月比 (6月 -7.8%、予想 -2.0%)
28:30 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
8/30(金)
休場 トルコ
07:45 (NZ) 7月 住宅建設許可件数 前月比 (6月 -13.8%)
08:30 (日) 7月 失業率 (6月 2.5%、予想 2.5%)
08:30 (日) 8月 東京区部CPI・生鮮食料品除く 前年同月比 (7月 2.2%、予想 2.2%)
08:50 (日) 7月 鉱工業生産速報値 前月比 (6月 -4.2%、予想 3.6%)
08:50 (日) 7月 鉱工業生産速報値 前年同月比 (6月 -7.9%、予想 2.7%)
08:50 (日) 7月 小売業販売額 前年同月比 (6月 3.7%、予想 2.8%)
10:30 (豪) 7月 小売売上高 前月比 (6月 0.5%、予想 0.3%)
14:00 (日) 7月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (6月 -6.7%、予想 -1.0%)
16:55 (独) 8月 失業率 (7月 6.0%、予想 6.0%)
18:00 (欧) 8月 HICP(調和消費者物価指数)速報値 前年同月比 (7月 2.6%、予想 2.2%)
18:00 (欧) 8月 コアHICP(食品エネルギー除く)速報値 前年同月比 (7月 2.9%、予想 2.8%)
18:00 (欧) 7月 失業率 (6月 6.5%、予想 6.5%)
21:30 (米) 7月 個人所得 前月比 (6月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 7月 PCE(個人消費支出) 前月比 (6月 0.3%、予想 0.5%)
21:30 (米) 7月 PCEデフレーター 前年同月比 (6月 2.5%、予想 2.6%)
21:30 (米) 7月 コアPCEデフレーター(食品・エネルギー除く) 前月比 (6月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 7月 コアPCEデフレーター(食品・エネルギー除く) 前年同月比 (6月 2.6%、予想 2.7%)
22:45 (米) 8月 シカゴ購買部協会景況指数 (7月 45.3、予想 44.5)
23:00 (米) 8月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 67.8、予想 67.9)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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