ドル円、急ピッチな下落の反動で持ち直す展開。エヌビディア株急落への反応は限定的
〇ドル円、アジア時間安値143.69から米国時間にかけ145.04まで上昇
〇スポ末の輸入実需、日経平均堅調推移、米金利上昇等が背景
〇引けにかけては、エヌビディア株の急落等に反落し、144.52前後で推移
〇ユーロドル、中東情勢緊迫化、米金利上昇等に1.11台前半に反落しての推移
〇ドル円、氷見野日銀副総裁講演、エヌビディア決算を無難に通過、ドル円買い戻し圧力強まる展開期待
〇引き続き、ドル円相場の持ち直しをメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:143.50ー145.50
海外時間のレビュー
28日(水)のドル円相場は安値圏から持ち直す展開。アジア時間朝方にかけて、安値143.69まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)急ピッチな下落に対する反動買いや、(2)スポット末日に絡む本邦輸入企業の実需のドル買い観測、(3)日経平均株価の堅調推移、(4)エヌビディア決算を控えたポジション調整、(5)氷見野日銀副総裁イベント通過に伴うあく抜け感(同氏は甲府市金融経済懇談会で「経済・物価見通しが実現する確度が高まっていけば金融緩和度合いを調整していく」と金融政策正常化方針を強調→但し、植田日銀総裁が先週末金曜日に見せたスタンスと同様で真新しさに欠けたことから市場の反応は限定的→安堵感から株買い・円売り)、
(6)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値145.04まで反発しました。もっとも、145円台では上値も重く、引けにかけては再び反落。(7)エヌビディア株がナイトセッションで急落したことなど(四半期決算における売上高見通しが市場予想を上回りつつも楽観シナリオに届かず)も重石となり、本稿執筆時点(日本時間8/29午前6時20分現在)では、144.52前後で推移しております。
28日(水)のユーロドル相場は冴えない動き。アジア時間朝方にかけて、高値1.1186まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)8/26に記録した年初来高値1.1202を背にした利食い売り圧力や、(2)中東情勢緊迫化(イスラエル・パレスチナ問題)に端を発した地政学的リスク、(3)欧州経済の先行き不透明感(ドイツ経済を巡る悲観的な見方の再燃)、(4)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(5)エヌビディア決算を控えたポジション調整が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.1105まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間8/29午前6時20分現在)では、1.1120前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時143.69まで下げ幅を広げるも、海外勢参入後に145.04まで反発する展開となりました。日足ベースで強い売りシグナルが点灯しているため、まだまだ予断を許さないものの、注目されていた氷見野日銀副総裁イベントや、エヌビディア決算を無難に通過できたことで、本日はあく抜け感からドル円の買い戻し圧力が強まる展開が期待されます(※エヌビディア株はナイトセッションで一時急落するも、調整後の1株利益は0.68ドルと予想の0.64ドルを上回っている他、8ー10月の売上見通しも325億ドル前後とアナリスト予想の319億ドルを上回る良好な結果→エヌビディア株の急落はあくまで最も楽観的なシナリオを下回ったことに起因しているに過ぎず、このままズルズルと下がり続けるシナリオは想定しづらい→リスク回避の円買いには波及しづらい)。
また、ファンダメンタルズ的にも、これまで繰り返し述べてきた通り、(1)日銀による年内追加利上げは現実的に難しいとの見方が広がっていることや、(2)米FRBによる大幅利下げ観測が足元で後退しつつあること(CME Fed Watchツールによると、来月のFOMCでの50bp利下げの織り込み度合は36.5%程度)、(3)上記1、2を背景に円キャリートレードの再開が期待されていることなど、ドル円相場の反発を連想させる材料が揃っています。
本日予定されている米4ー6月期GDP改定値(21:30)や、米新規失業保険申請件数(21:30)、米7月中古住宅販売件数(23:00)が良好な結果を示す場合には、米経済のハードランディング懸念の後退を通じて、ドル円相場に上昇圧力が加わるシナリオ(米金利上昇→米ドル買いと、米株上昇→リスク選好の円売りの組み合わせ)も想定されるため、当方では引き続き、ドル円相場の持ち直しをメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:143.50ー145.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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