ドル安リスクくすぶるが目先は底堅いイメージ
〇ドル円、寄付き後143.70レベルへ小幅に続落するも逆行高の動きで144.60前後まで1円程度値を戻す
〇氷見野日銀副総裁「想定通りなら利上げ維持」姿勢示しつつ、先の植田発言に歩調合わせる無難な内容
〇米半導体大手エヌビディアの決算発表、為替市場へ影響を及ぼす可能性に注意
〇ドル高円安方向、東京高値144.60レベルが最初の抵抗、超えれば145円ならびに昨日高値145.17目指す
〇ドル安円高方向、144円前後巡る攻防に注目、下回ると143.70レベル、143.45など意識
〇欧米時間のドル円予想レンジ:143.70-144.90
<< 東京市場の動き >>
東京市場はドルが堅調裡。上値は重いが、それでも日中安値から1円程度値を戻している。
ドル/円は143.95円レベルで寄り付いたものの、前日の流れを継ぎ当初は下値を探る展開。143.70円レベルへと小幅に続落した。しかし目先の底入れを達成後、ドルは一転して逆行高の動き。144.60円前後までと1円程度値を戻し、16時現在ではそのままドル高値圏で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「日本の金融政策」と「中国情勢」について。
前者は、先日実施された「閉会中審査」で植田日銀総裁がまたもや積極的な利上げを示唆。それもあり、本日山梨で行われる氷見野日銀副総裁の講演が早い段階から思惑を呼ぶ。一部では植田氏以上にタカ派との指摘もあり、強気な発言が聞かれるといった見方も取り沙汰されたが、フタを開けると割合無難な内容にとどまっている。「想定通りなら利上げ維持」の姿勢を示しつつも、「金融資本市場は引き続き不安定な状況で、当面はその動向を極めて高い緊張感を持って注視していく」などと、基本的には先の植田発言に歩調を合わせた格好だった。
後者は、中国軍機が長崎県男女群島沖の領空侵犯した問題について、日本から強めの抗議が入ったことに対し、中国外務省は「いかなる国の領空も犯す意図はない」と恣意的行動との見方を否定している。しかし、そうしたなか今度は、尖閣諸島沖で中国海警局の「海警」2隻が日本の領海に侵入したことが判明。日本漁船に接近しようとしたため、海上保安庁の巡視船が安全を確保したという。中国が得意としている「サラミ戦術(サラミをスライスして食べるが如く、敵対する勢力群を少しずつ殺いでいく戦術)」の一環と考えられているが、俄かに不穏な状況に陥り始めた感も否めない。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、引き続き悩ましい状況。26日に示現した安値143.45円を昨日そして本日東京でも割り込むことは出来ないが、リスクはドル安方向に高いと言わざるを得ない。また仮に、短期的なレンジの様相を呈するにしても、当初見込んでいた143.50-147.00円が大きく下方修正されることになりそう。145円はともかく、146円は少し遠くなってきたイメージだ。
引き続き日米の金融政策を注視している向きは少なくない。うち日本については、前述したように氷見野日銀副総裁の講演が無難な内容に終わったことで、目先は失望ともいえる円売りに押されているものの、追加利上げ観測が依然として根強い状況に変化はないだろう。一方、それとは別に本日に限れば、米半導体大手エヌビディアの決算発表を警戒する向きも多い。もちろん内容次第だが、為替市場へ影響を及ぼす可能性もあり注意しておきたい。
テクニカルに見た場合、ドル/円はやはりドル安方向へのリスクを残した状況にある。26日に示現した安値143.45円をそののち下回れず、取り敢えず底堅いイメージだが、仮に割り込むようだと5日の141.68円が再び視界内に。
それに対するドルの抵抗は、まず昨日高値145.17円。抜ければチャート的には146円台回復も否定できないが、需給的に上値はかなり重そうだ。
本日は米経済指標として、MBA住宅ローン申請指数が発表される予定となっているものの、よほどのことがない限り基本はノーインパクトか。それより市場の注目を集めているのは、米半導体大手エヌビディアの決算発表。そして、ウクライナ国防相も参加して行われる「NATO・ウクライナ理事会」の行方も気掛かりだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは143.70-144.90円。ドル高・円安方向は、本日東京高値の144.60円レベルが最初の抵抗。超えれば145円ならびに昨日高値145.17円を目指す。
対するドル安・円高方向は、ビッドが並び始めた感のある144円前後をめぐる攻防にまずは注目。下回ると東京安値143.70円レベル、143.45円などが意識されそう。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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