下落後に急伸するなど下値の堅さを再確認。良好な米経済指標もドル円をサポート
〇ドル円、米指標の好調、米長期金地上昇等に米国時間午後にかけ144.66まで上昇、堅調な値動き
〇ユーロドル、中東情勢を巡る地政学的リスクの高まり、欧州指標の不冴え等に一時1.1150まで下落
〇ドル円、「短期線と中長期線のデッドクロス」「一目均衡表三役逆転」が成立、予断は許さない状況
〇一方、本邦追加利上げ観測後退、FRBによる大幅利下げ観測後退を背景に円キャリー再開期待強まる
〇引き続き、ドル買い円売りトレンドの継続(ドル円相場の持ち直し継続)をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:143.75ー145.50
海外時間のレビュー
週明け26日(月)のドル円相場は堅調な値動き。前週末金曜日以降のドル売り・円買いの流れが継続する中、アジア時間朝方にかけて、安値143.45まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)急ピッチな下落に対する反動買いや、(2)日米金利差に着目した円キャリートレードの再開期待、(3)米7月耐久財受注・速報値(結果+9.9%、予想+5.0%)の市場予想を上回る結果、(4)米8月ダラス連銀製造業活動指数(結果▲9.7、予想▲16.0)の市場予想を上回る結果、(5)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(6)米主要株価指数の堅調推移が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値144.66まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/27午前6時00分現在)では、144.55前後で推移しております。尚、昨日はサンフランシスコ連銀デイリー総裁より「利下げに動く時期が到来している」「利下げ幅は25bpからスタートする公算が大きい」との発言が見られましたが、市場の反応は限られました。
週明け26日(月)のユーロドル相場は上値の重い展開。前週末金曜日以降のドル売りの流れが継続する中、アジア時間朝方にかけて、年初来高値1.1202まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)急ピッチな上昇に対する反動売りや、(2)中東情勢を巡る地政学的リスク(ヒズボラとイスラエルが昨年10月以来で最大規模の攻撃を実施→中東情勢緊迫化懸念)、(3)ドイツ8月IFO景況感指数(結果86.6、予想85.9、前回87.0)の冴えない結果(市場予想を上回りつつも3ヵ月連続の低下)、(4)ドイツ8月IFO期待指数(結果86.8、予想85.8、前回87.0)の冴えない結果(市場予想を上回りつつも今年2月以来の低水準)、(5)ドイツIFO経済研究所のクレメンス・フュースト所長による「ドイツ経済はさらに危機に陥りつつある」との悲観的な発言、(6)米経済指標の良好な結果、(7)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.1150まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間8/27午前6時00分現在)では、1.1161前後で推移しております。
本日の見通し
植田日銀総裁による衆院財務金融委員会閉会中審査(8/23)での「見通しの確度が高まっていくことが確認できたら金融緩和の度合いを調整していくという基本的な姿勢に変わりはない」とのタカ派的な発言や、パウエルFRB議長によるジャクソンホール会議(8/23)での「政策調整する時が来た」「労働市場の冷え込みは間違いない」とのハト派的な発言が重なったことで、週明けの外国為替市場はドル売り・円買い一色の展開が懸念されていましたが、思いのほかドル円の下値は堅く、海外勢参入後に144円台半ばまで持ち直す展開となりました。
強い売りシグナルを示唆する「短期線と中長期線のデッドクロス」「一目均衡表三役逆転」が成立しているため、まだまだ予断は許さないものの、(1)日銀による追加利上げ観測が後退していること(上述の通り、植田日銀総裁は8/23に「見通しの確度が高まっていくことが確認できたら金融緩和の度合いを調整していくという基本的な姿勢に変わりはない」と発言しつつも、「私と内田副総裁の考え方に違いはない」とも付け加えるなど、金融市場の不安定化を招く場合は、追加利上げを行わない姿勢を強調)や、(2)米FRBによる大幅利下げ観測が後退していること(米経済のハードランディング懸念が後退する中、米FRBが9月FOMCで50bpの大幅利下げの追い込まれるというネガティブシナリオが発生する可能性は乏しい。事実、CME Fed Wathによると、9月FOMCでの50bp利下げの織り込み度合は8/5時点の85.0%から足元28.5%まで急低下)、
(3)上記1、2を背景に円キャリートレードの再開が期待されていること(IMM通貨先物市場の非商業部門の取組高が2021年3月以来、約3年5カ月ぶり水準まで円の買い越し額が増加中→円キャリートレード再開の好機)などを踏まえれば、ドル円相場がこのままずるずる下がり続ける可能性は乏しく、一巡後に反発するシナリオが期待されます。株式市場がグローバルに堅調さを取り戻していることも、リスク選好の円売りの観点で、ドル円・クロス円を下支えすると見られることから、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続(ドル円相場の持ち直し継続)をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米6月住宅価格指数や、米8月消費者信頼感指数、米8月リッチモンド連銀製造業指数などが予定されております。
本日の予想レンジ:143.75ー145.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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