ドル円、良好なイニシャルクレームとリテールセールスを背景に一時149円台前半まで急上昇(8/16朝)

15日(木)のドル円相場は堅調な値動き。

ドル円、良好なイニシャルクレームとリテールセールスを背景に一時149円台前半まで急上昇(8/16朝)

良好なイニシャルクレームとリテールセールスを背景に一時149円台前半まで急上昇

〇ドル円、米国時間朝方にかけ149.32まで急伸、その後も堅調地合い(終盤に149.39まで続伸)
〇米新規失業保険申請件数、7月小売売上高、ニューヨーク連銀製造業景況指数等の良好な結果が背景
〇ユーロドル、米金利上昇に伴うドル売り圧力に1.0949まで反落、1.10割れ
〇ドル円、心理的節目150.00が射程圏、ドル買い・円売りトレンドの完全復活に現実味
〇円キャリートレードの再開期待、世界的株価持ち直し等もドル円をサポート
〇歴史的高水準だった円ショートポジションは2021年3月以来の水準まで急縮小
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの再開をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:148.00ー150.50

海外時間のレビュー

15日(木)のドル円相場は堅調な値動き。(1)本邦4ー6月期GDP速報値(結果+3.1%、予想+2.3%)の市場予想を上回る結果や、(2)上記1を背景とした日銀による追加利上げ観測が重石となり、アジア時間午後にかけて、安値147.05まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(3)日経平均株価の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)や、(4)米新規失業保険申請件数(結果22.7万件、予想23.5万件)の良好な結果、(5)米7月小売売上高(結果+1.0%、予想+0.4%)および、同除く自動車(結果+0.4%、予想+0.1%)の市場予想を上回る結果、

(6)米8月ニューヨーク連銀製造業景況指数(結果▲4.7、予想▲6.0)の市場予想を上回る結果、(7)米7月輸入物価指数(結果+1.6%、予想+1.5%)の市場予想を上回る結果、(8)米7月輸出物価指数(結果+1.4%、予想+0.1%)の市場予想を上回る結果、(9)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(10)米主要株価指数の堅調推移が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値149.32まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/16午前2時30分現在)では、149.01前後で推移しております。尚、昨日はセントルイス連銀ムサレム総裁より「政策金利の変更時期が近づきつつある」「最近のデータによりインフレに対する自信が強まった」との発言が見られましたが、市場の反応は限られました。

15日(木)のユーロドル相場は高値圏から反落。欧州時間朝方にかけて、高値1.1016まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)米主要経済指標(米新規失業保険申請件数、米7月小売売上高、米8月ニューヨーク連銀製造業景況指数など)の良好な結果や、(2)上記1を背景とした米ハードランディング懸念の一段の後退、(3)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(4)心理的節目1.1000割れに伴う短期筋のストップSELLが重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0949まで急落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、引けにかけて持ち直し、本稿執筆時点(日本時間8/16午前2時30分現在)では、1.0978前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は8/5に記録した安値141.69をボトムに切り返すと、昨日は一時149.32まで急伸しました。心理的節目150.00の回復が射程圏内に入ってくるなど、ドル買い・円売りトレンドの完全復活が現実味を帯びつつあります(日足ローソク足が「一目均衡表転換線」を上抜けしたことや、4時間足ベースで「一目均衡表三役好転」が成立したこと等も地合いの好転を示唆)。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日銀による追加利上げ観測の大幅後退(日銀による追加利上げは株価急落など金融市場の不安定化を招く可能性が極めて高いため、少なくとも年内は追加利上げに動けないとの見方が市場コンセンサス)や、(2)米FRBによる大幅利下げ観測の後退(良好な米経済指標を背景に米国のハードランディング懸念が後退→9月FOMCでの50bp利下げの織り込み度合が急低下→現在は25bpの利下げを74.5%織り込んでいる状態)、(3)上記1、2を背景とした円キャリートレードの再開期待(日米金利差は当面縮まらないとの見方が再浮上→日米金利差に着目したドル買い・円売り再開)、(4)株式市場の世界的な持ち直し(リスクオフ後退→リスク選好の円売り再開)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。加えて、ポジション構造的に見ても、7月末から8月前半にかけてのドル円大暴落を経て、歴史的高水準だった円ショートポジションが2021年3月以来の水準まで急縮小するなど、円キャリートレード再構築の絶好のタイミングが到来しつつあります。

良好なイニシャルクレームとリテールセールスを背景に一時149円台前半まで急上昇

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの再開(心理的節目150.00を早期に突破する展開)をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米7月住宅着工件数や、米7月建設許可件数、米8月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値、シカゴ連銀グールズビー総裁発言などに注目が集まります。

本日の予想レンジ:148.00ー150.50

注:ポイント要約は編集部

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