内田日銀副総裁による火消し発言を受けて急上昇。一時147円台後半へ
〇ドル円、内田日銀副総裁のハト派発言に日本時間13時過ぎに、高値147.90まで急伸
〇買い一巡後は急ピッチの売りへの反動売り、米株の冴えない動きに146.66前後まで反落
〇ユーロドル、欧州株持ち直し、欧州債利回り上昇等に米国時間朝方にかけて、高値1.0936まで上昇
〇前週より始まった歴史的な「株安・円高」の流れに一服感も
〇ドル円、主要テクニカルポイントの遥か下側で推移、強い売りシグナルも継続点灯し地合い弱い
〇ファンダメンタルズも円キャリートレードの解消の流れが重石
〇引き続きドル円相場の一巡後の反落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:145.00ー148.00
海外時間のレビュー
7日(水)のドル円相場は急上昇。アジア時間早朝にかけて、安値144.18まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)内田日銀副総裁による「当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続ける必要」「金融市場が不安定な状況で利上げをすることはない」「一定のペースで金利上げていかないとビハインド・ザ・カーブになるわけではない」「中立金利などの特定の金利水準を意識しているわけではない」とのハト派的な発言や、(2)上記1を背景とした日銀による追加利上げ観測の急速な後退、(3)日経平均株価の急上昇(リスク選好の円売り再開)が支援材料となり、日本時間13時過ぎに、高値147.90まで急伸しました。
もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(4)急ピッチな上昇に対する反動売りや、(5)米主要株価指数の冴えない動き(上昇後に急反落)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間8/8午前6時30分現在)では、146.66前後まで反落する動きとなっております。尚、昨日は三村財務官より「為替は特定の水準ではなくボラティリティを見ている」「為替介入に関しては人が変わったから政策が変わるものではない」との発言が見られましたが、市場の反応は限られました。
7日(水)のユーロドル相場は底堅い動き。欧州時間早朝にかけて、安値1.0905まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)欧州株の持ち直し(リスク選好のユーロ買い圧力)や、(2)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力、(3)ドイツ6月鉱工業生産(結果▲4.1%、予想▲4.2%)の市場予想を上回る結果が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.0936まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/8午前6時30分現在)では、1.0922前後で推移しております。尚、昨日はフィンランド中銀レーン総裁より「インフレが鈍化傾向にある限り利下げは妥当」とのハト派発言が見られましたが、ユーロ売りでの反応は限られました。
本日の見通し
ドル円は8/5に記録した約7カ月ぶり安値141.69をボトムに切り返すと、昨日は一時147.90まで急伸しました(日経平均株価も急上昇)。前週より始まった歴史的な「株安・円高」の流れに一服感が見えつつあります。但し、日足ローソク足が主要テクニカルポイントの遥か下側で推移していることや、強い売りシグナルを示唆する「短期線と中期線のデッドクロス」「一目均衡表三役逆転」が継続点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱い(上値余地は乏しい)と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日銀による追加利上げ観測の残存(昨日は内田日銀副総裁より市場で高まる追加利上げ観測に対する牽制発言が見られましたが、株安・円高の流れを止めることは容易では無い)や、(2)米FRBによる大幅利下げ観測(米景気のハードランディング懸念を背景にFRBが大幅利下げに追い込まれるとの見方の台頭)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違いとそれに伴う円キャリートレード解消の流れなど、ドル円相場の上値を抑制する材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の一巡後の反落(例え上昇したとしてもすぐに戻り売りに押される展開)をメインシナリオとして予想いたします(暫くは急伸と急落を繰り返す不安定な相場展開が続く可能性があるため、ポジション管理に細心の注意が必要)。尚、本日は日銀金融政策決定会合の主な意見や、米新規失業保険申請件数、米6月卸売売上高、リッチモンド連銀バーキン総裁発言などが予定されています。
本日の予想レンジ:145.00ー148.00
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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