東京市場のドルは147円台まで回復、日銀と岸田政権に対する不信感は強まる結果に
【本日の東京市場】
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、内田眞一日銀副総裁の発言を材料に円安ドル高が加速、147円台まで上昇した。
昨晩の海外時間では、米6月貿易赤字幅が前月から縮小するも予想を上回りドル売りが優勢となったが、市場の景気後退入りへの懸念後退で長期金利が上昇。ドルの買戻しが強まったほか、リスク回避の円買いも後退し、145円台を付ける場面もみられた。
東京時間は144円台半ばで推移していたが、内田眞一日銀副総裁が、函館で行われている金融経済懇談会にて「金融資本市場が不安定な状況で利上げすることはない」「当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続ける必要がある」と述べたことで、ドル買いが加速。ドル・インデックスは102.7水準から103.1水準まで上昇。円は主要通貨に対しても全面安となり、ドルは147円台と3円ほど円安ドル高に振れた。
ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:144円57銭
高値:147円90銭
安値:144円38銭
終値:147円01銭
ユーロ・円(日本時間8時―15時)
始値:158円01銭
高値:161円44銭
安値:157円76銭
終値:160円38銭
豪ドル・円(日本時間8時―15時)
始値: 94円28銭
高値: 97円08銭
安値: 94円10銭
終値: 96円31銭
ポンド・円(日本時間8時―15時)
始値:183円49銭
高値:188円07銭
安値:183円21銭
終値:186円74銭
日経平均(日本時間9時―15時)
始値:34122円35銭
高値:35849円77銭
安値:33739円46銭
終値:35089円62銭(前日比+414円16銭)
【本日の海外市場の重要指標】日本時間
23時30分、米、週次原油在庫、前回:−343.6万バレル
25時00分、米、コリンズ・ボストン連銀総裁がロードアイランド州訪問
※予定は変更することがございます。
【今晩の海外時間の見通し】
本日の海外時間では、目立った売買材料に乏しいものの、上下に振れやすいボラタイル地合いは変わらないと考える。内田日銀副総裁が市場の不透明感を打ち消す発言をしたことで、ドルは147円台まで戻したが、7月31日の植田日銀総裁の記者会見から僅か1週間で、日銀が「タカ派」から「ハト派」に転換したことで、日銀に対する不信感は残る。
政府・自民党によるプレッシャーの影響は不明だが、岸田政権は唯一明確だった成果の「日本株上昇」、そして、その先にある「脱デフレ」という勲章を手放しつつある。今回、「金融政策」に言及した河野デジタル大臣と茂木幹事長はともに9月の自民党総裁選での出馬が噂されている。円安加速に伴う物価上昇に対する対応策の一つとして、利上げもしくは金融政策の正常化の話を行ったと思われるが、失言レベルだろう。市場関係者からの恨み節は永田町にも向かおう。
今回の急激な円高と日本株急落は様々な要因が重なり合っているが、その大きな要因に、市場との対話が不十分だった日銀による利上げ実施があるのは明確だ。今後、植田日銀総裁が然るべき場所で発言を求められる可能性が高まっていることから、植田日銀総裁の「タカ派」→内田日銀副総裁の「ハト派」の真意に関心が集まるだろう。
テクニカルでは、8月5日の高値146円57銭を上回っており、ドルは反発を強めそうな状況にある。反発の戻りメドとして、200日移動平均線が位置する151円50銭水準を意識したいが、さすがに短期的な反発のメドとしては上過ぎるため、ドル・円の潮目が変わった6月米消費者物価指数の発表日7月11日の高値161円77銭を起点とした下落幅20円9銭(8月5日の141円68銭)の38.2%戻しである149円35銭水準をいったんのメドとして引き続き考えたい。
今晩の海外時間は、反発継続を想定するが、まだまだボラタイルな地合いを想定し、上値メドは148円50銭、下値メドは144円50銭とする。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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