約4ヵ月半ぶり安値圏へと大幅下落。日米金融政策イベントを経て、節目150.00割れ
〇ドル円、米国時間午後にかけて安値149.62まで急落、149円台後半での推移
〇日銀の利上げ決定、米指標不冴え、FOMC・パウエル議長会見のハト派姿勢と米金利急低下等が背景
〇ユーロドル、1.08台前半で方向感に欠ける展開
〇日銀は国債買い入れ額の減額方針も示し、追加利上げも辞さない方針示す
〇FOMC声明文、インフレ目標に更に進展見られると記し、パウエル議長は9月利下げの可能性に言及
〇ドル円、最後の砦200日移動平均線を下抜け、5/3安値151.87を割れダウ理論の上昇トレンド崩壊
〇強い売りシグナルも成立し、地合いは極めて弱い
〇ドル円相場見通しを、従来のブルからベアへと変更
〇本日の予想レンジ:149.00ー151.00
海外時間のレビュー
月末31日(水)のドル円相場は大幅下落。(1)日銀金融政策決定会合にて国債買い入れ額を現在の月6兆円程度から2026年1ー3月に月3兆円程度に減らす方針が示されると共に、追加利上げが決定されたこと(0ー0.1%としていた無担保コール翌日物レートを8/1から0.25%に引き上げることを決定)や、(2)植田日銀総裁より「今後も経済・物価情勢が見通し通りに推移していけば追加利上げしていく方針」が示されたこと、(3)上記1、2を背景とした円金利の先高観とそれに伴う円キャリートレードの解消懸念、(4)米7月ADP雇用統計(結果+12.2万人、予想+15.0万人)の市場予想を下回る結果、(5)米4ー6月期雇用コスト指数(結果+0.9%、予想+1.0%)の市場予想を下回る結果、
(6)米FOMCでの次回9月会合での利下げ示唆(米FRBはフェデラルファンド金利の誘導目標を5.25ー5.50%に据え置いたものの、声明文にて「2%のインフレ目標に向けさらにいくらかの進展がみられた」との記述あり)、(7)パウエルFRB議長による「FOMCは利下げに近づいているという感触を得ている」「9月FOMCで利下げが選択肢になる可能性ある」とのハト派的な発言、(8)上記6、7を背景とした米長期金利の急低下が重石となり、米国時間午後にかけて、安値149.62まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間8/1午前6時30分現在)では、149.90前後で推移しております。
月末31日(水)のユーロドル相場は方向感に欠ける展開。(1)ユーロ圏7月消費者物価指数速報値(結果+2.6%、予想+2.5%)の市場予想を上回る結果や、(2)ユーロ圏7月コアCPI速報値(結果+2.9%、予想+2.8%)の市場予想を上回る結果、(3)米経済指標(米7月ADP雇用統計、米4ー6月期雇用コスト指数)の市場予想を下回る結果が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.0850まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)欧州債利回り低下に伴うユーロ売り圧力が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0802まで反落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(5)米FOMCおよびパウエルFRB議長記者会見のハト派的な結果や、(6)米金利低下に伴うドル売り圧力が支えとなり、本稿執筆時点(日本時間8/1午前6時30分現在)では、1.0825前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は日米金融政策イベントを経て心理的節目150.00を割り込む動きとなりました。日足ローソク足が最後の砦として意識されていた200日移動平均線を下抜けしたことや、5/3安値151.87を下抜けたことでダウ理論の上昇トレンドが崩壊したこと、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて弱い(上昇トレンド崩壊の可能性あり)と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日銀による追加利上げ(←訂正 ×利下げ)観測の高まり(植田日銀総裁は更なる追加利上げの可能性を示唆)や、(2)米FRBによる早期利下げ観測の高まり(パウエルFRB議長は9月FOMCでの利下げを示唆)、(3)上記1、2を背景とした円キャリートレードの解消懸念など、ドル円相場の下落を連想させる材料が揃っています。本日は急ピッチな下落に対する反動(押し目買い)が出てくる可能性があるものの、上述の通り、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、弱気ムードが漂っているため、ドル円の戻りは鈍くなる(上値は今後一段と重たくなる)と推察されます。以上を踏まえ、当方ではドル円相場見通しを、従来のブルからベアへと変更いたします(次のターゲットは3/11に記録した安値146.48)。
本日の予想レンジ:149.00ー151.00
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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