ドル円見通し 大幅下落一服だが日米の金融政策決定会合控え上値重い(24/7/30)

ドル円、29日夜に154.20円まで戻したが、その後は154円を挟んで揉み合いに入り、26日夜から戻り高値が切り下がり気味で上値の重い印象だ。

ドル円見通し 大幅下落一服だが日米の金融政策決定会合控え上値重い(24/7/30)

大幅下落一服だが日米の金融政策決定会合控え上値重い

〇昨日のドル円、153円割れを回避して154.20まで戻した後は154円を挟んで揉み合い
〇本邦要人らの発言、日銀追加利上げへ向けた姿勢がよりタカ派的になるとの憶測呼ぶ
〇FOMCでの9月利下げ、年内追加利下げの可能性が一段と高まる可能性が意識される
〇8/30-31の日銀会合とFOMC、夏秋のトレンドを左右する重要局面となりそう
〇米10年債利回りは小動き、米株価指数はまちまち
〇本日は独欧1QGDP速報、JOLTS求人件数、コンファレンス・ボード消費者信頼感指数等の発表予定
〇154.73手前は戻り売り有利とみるが154.73を超える場合は155円前後へ上値目途を引き上げる
〇153.50割れからは153.03試しとし、153.03割れからは151.93を目指す下落を想定

【概況】

ドル円は7月25日夕安値151.93円へ下落して7月3日の年初来高値161.94円からの下げ幅が10円を超えたが、大幅下落一服感と7月25日夜の米4-6月期GDPが予想を上回ったことで買い戻されて26日夜に154.73円まで戻した。26日の米6月PCEデフレーターがインフレ鈍化傾向を示したことをきっかけに26日深夜に153.19円へ下げた。
週明けの7月29日午前には153.03円まで続落したものの153円割れを回避して29日夜に154.20円まで戻したが、その後は154円を挟んで揉み合いに入り、26日夜から戻り高値が切り下がり気味で上値の重い印象だ。
市場は日銀金融政策決定会合で長期金利上昇抑制のための国債大量買い入れ額の減額計画が示されることをある程度織り込んできたが、政府・与党要人による円安けん制及び日銀への追加利上げ要請的な発言が相次いだことで日銀の追加利上げへ向けた姿勢が従来よりもタカ派的になるのではないかとみており、8月1日早朝のFOMCについては米国の9月利下げ及び年内追加利下げの可能性が一段と高まる可能性があることを意識している。

日銀会合とFOMCがともに円買いドル売り要因となる場合には7月25日安値を割り込んで一段安へ進む可能性がある一方、日銀会合を通過して当面の円高イベント一巡とし、FOMCが予想よりもタカ派的ならば7月3日以降の大幅下落一巡による反騰期に入る可能性もあり、夏秋のトレンドを左右する重要局面となりそうだ。
本日は独欧の4‐6月期GDP速報、ケースシラー米住宅価格指数、JOLTS求人件数、コンファレンス・ボード消費者信頼感指数の発表があり、今週末の7月米雇用統計へ向けて重要指標発表も相次ぐ。

【米10年債利回りは小動き、米株価指数はまちまち】

7月29日の米長期債利回りは米主要経済指標の発表がなく手掛かり難でFOMCを控えての小動きに留まった。
長期金利指標の10年債利回りは先週末比0.02%低下の4.18%となったが、一時4.15%へ低下して7月17日に付けた4.14%に迫り先週前半にかけての上昇幅をほぼ解消して4月25日に付けた年初来ピーク4.74%以降の最低を試している。
30年債利回りは先週末比0.02%低下の4.43%となり一時4.41%まで低下した。4月25日に付けた年初来ピークである4.85%から7月17日に4.36%まで低下したところから7月24日に4.55%まで戻していたがすでに戻り幅の過半を解消している。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは先週末比0.01%上昇の4.40%となったが、一時4.36%へ低下して4月30日につけた年初来ピークの5.05%以降の最低となった7月25日の4.34%へ迫っている。すでに7月16日安値を割り込んで一段安に入っているために10年債や30年債と比較して低下傾向が顕著であり、FOMCの年内2回以上の利下げ期待を反映している。

一方で米国株価指数はFOMCを控えての様子見でまちまちの動きだった。NYダウは7月18日に41376.00ドルへ史上最高値を更新してから4万ドル割れへ下落したが、25日に81.20ドル高、26日に654.27ドル高と連騰して4万ドル台を回復し、29日は先週末比49.41ドル安と小反落したものの安値から100ドル強を戻して確りした。ナスダック総合指数は7月11日に18671.07まで史上最高値を伸ばしてから下落に転じて7月25日に17033.96まで安値を切り下げたが、17000台を維持して26日の176.16ポイント高から29日に12.32ポイント高と連騰で戻している。米大統領選挙情勢が混とんとしていることで先行き不透明感があるものの、FOMCの利下げ開始期待が支えとなっている印象だ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は7月25日夕安値151.93円から26日夜高値154.73円まで3円近い反発となったが、その後は軟調推移であり、29日午前高値154.34円から29日夜高値154.20円へと戻り高値が切り下がっているため、すでに戻り一巡により下落期入りしていると思われる。7月26日夜高値を超えないうちは30日夕から8月1日夕にかけての間への下落余地ありとし、26日夜高値超えからは25日夕安値以降の反騰継続として31日夜から8月2日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では7月26日夜高値から反落した後を154円を挟んだ揉み合いで推移しているため遅行スパンは実線と交錯して方向感にかけ、先行スパンを上回るところは戻り売りにつかまっている。このため先行スパンからの転落を回避する内は遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は7月29日夜に60ポイントを超えてから失速気味で推移しているので、50ポイントを割り込んでも回復する内は6ポイント台後半への上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下落再開と仮定して30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月29日午前安値153.03円を下値支持線、26日夜高値154.73円を上値抵抗線とする。
(2)154円を割り込んでも早々に回復する内は上昇余地ありとし、154.30円超えからは26日夜高値154.73円を試す上昇を想定する。154.73円手前は戻り売り有利とみるが154.73円を超える場合は155円前後へ上値目途を引き上げる。
(3)153.50円割れからは7月29日午前安値153.03円試しとし、153.03円割れからは7月25日夕安値151.93円を目指す下落を想定する。152円台序盤は買われやすいとみるが、153.50円以下での推移なら31日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

7/30(火)
日銀・金融政策決定会合初日、米連邦公開市場委員会(FOMC)初日
10:30 豪) 6月 住宅建設許可件数 前月比 (5月 5.5%、予想 -1.5%)
17:00 (独) 4-6月期 GDP速報値 前期比 (1‐3月 0.2%、予想 0.1%)
17:00 (独) 4-6月期 GDP速報値 前年同期比 (1-3月 -0.2%、予想 0.0%)
17:00 (独) 4-6月期 GDP速報値・季調前 前年同期比 (1‐3月 -0.9%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 7月 消費者信頼感・確定値 (速報 -13.0、予想 -13.0)
18:00 (欧) 7月 経済信頼感 (6月 95.9、予想 95.4)
18:00 (欧) 4-6月期 GDP速報値 前期比 (1‐3月 0.3%、予想 0.2%)
18:00 (欧) 4-6月期 GDP速報値 前年同期比 (1-3月 0.4%、予想 0.5%)
21:00 (独) 7月 CPI(消費者物価指数)速報値 前月比 (6月  0.1%、予想 0.2%)
21:00 (独) 7月 CPI(消費者物価指数)速報値 前年同月比 (6月 2.2%、予想 2.2%)

22:00 (米) 5月 連邦住宅金融局住宅価格指数 前月比 (4月 0.2%、予想 0.2%)
22:00 (米) 5月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (4月 7.2%、予想 6.7%)
23:00 (米) 6月 JOLTS(雇用動態調査)求人件数 (5月 814.0万件、予想 800.0万件)
23:00 (米) 7月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (6月 100.4、予想 99.7)

7/31(水)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 0-0.1%、予想 0-0.1%)
未 定 (日) 日銀展望レポート
07:45 (NZ) 6月 住宅建設許可件数 前月比 (5月 -1.7%)
08:50 (日) 6月 小売業販売額 前年同月比 (5月 3.0%、予想 3.2%)
08:50 (日) 6月 鉱工業生産速報値 前月比 (5月 3.6%、予想 -4.5%)
08:50 (日) 6月 鉱工業生産速報値 前年同月比 (5月 1.1%、予想 -6.6%)
10:00 (NZ) 7月 ANZ企業信頼感 (6月 6.1)
10:30 (中) 7月 国家統計局製造業PMI (6月 49.5、予想 49.3)
10:30 (中) 7月 国家統計局非造業PMI (6月 50.5、予想 50.2)

10:30 (豪) 6月 小売売上高 前月比 (5月 0.6%、予想 0.2%)
10:30 (豪) 6月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (5月 4.0%、予想 3.7%)
10:30 (豪) 4-6月期 CPI(消費者物価指数) 前期比 (1-3月 1.0%、予想 1.0%)
10:30 (豪) 4-6月期 CPI(消費者物価指数) 前年同期比 (1-3月 3.6%、予想 3.8%)
14:00 (日) 6月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (5月 -5.3%、予想 -2.5%)
14:00 (日) 7月 消費者態度指数・一般世帯 (6月 36.4、予想 36.6)
15:30 (日) 植田日銀総裁、記者会見
16:55 (独) 7月 失業率 (6月 6.0%、予想 6.0%)
18:00 (欧) 7月 HICP(調和消費者物価指数)速報値 前年同月比 (6月 2.5%、予想 2.5%)
18:00 (欧) 7月 コアHICP(食品エネルギー除く)速報値 前年同月比 (6月 2.9%、予想 2.8%)
19:00 (日) 外国為替平衡操作実施状況(介入実績 6月27日-7月29日)

21:15 (米) 7月 ADP非農業部門民間就業者数 前月比 (6月 15.0万人、予想 16.8万人)
21:30 (米) 4-6月期 雇用コスト指数 前期比 (1-3月 1.2%、予想 1.0%)
22:45 (米) 7月 シカゴ購買部協会景況指数 (6月 47.4、予想 44.0)
23:00 (米) 6月 NAR住宅販売保留指数 前月比 (5月 -2.1%、予想 1.5%)
23:00 (米) 6月 NAR住宅販売保留指数 前年同月比 (5月 -6.6%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC) 政策金利 (現行 5.25-5.50%、予想 5.25-5.50%)
27:30 (米) パウエル米FRB議長、記者会見


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