ドル円見通し 7月18日安値割り込み一段安、昨年末以降の上昇トレンドからの転落続く(24/7/25)

ドル円は7月18日安値155.37円を割り込んでから下げ足を速めて24日深夜には153.10円まで続落した。

ドル円見通し 7月18日安値割り込み一段安、昨年末以降の上昇トレンドからの転落続く(24/7/25)

7月18日安値割り込み一段安、昨年末以降の上昇トレンドからの転落続く

〇昨日のドル円、円買いドル売りが先行し、深夜に153.10まで続落
〇来週の日銀会合での追加利上げと大幅な国債買い入れ減額見通しが背景
〇自民党幹事長発言、市場は日銀に対する利上げ要請圧力が固まっていると受け止める
〇米製造業や新築戸建住宅販売件数の悪化が9月利下げ期待高める
〇米10年債利回りは上昇、2年債利回りは低下、NYダウとナスダックは大幅下落
〇154.35を超えないうちは一段安警戒とし、153.10割れからは152円前後への下落を想定
〇154.35超えからはいったん戻しに入るとみて155円前後への上昇を想定

【概況】

ドル円は来週7月30日−31日に開催される日銀金融政策決定会合を控えて日銀による追加利上げと大幅な国債買い入れ減額見通しから円買いドル売りが先行し、7月18日安値155.37円を割り込んでから下げ足を速めて24日深夜には153.10円まで続落した。
自民党の茂木幹事長が24日夜に「日本経済の再生によってまずは強い日本を作る。それによって強くて安定した円を作っていくということが必要だ」と述べたが、同幹事長は22日にも「段階的な利上げの検討も含め、正常化する方向で着実に進める方針をもっと明確に打ち出すことが必要だ」と述べたことで日銀に対する利上げ要請圧力が固まっていると市場は受け止めている。

カナダ中銀が2会合連続で利下げを行ったことや、ニューヨーク連銀の元総裁ダドリー氏がFOMCは7月30-31日会合で利下げすべきと述べたこと、欧米の製造業景況指数が総じて弱かったこと等も円高を助長した。
昨年12月28日安値を起点としてその後の主要安値を結ぶ上昇トレンドから転落してからもさらに安値更新を続けているため、下落規模は昨年11月から12月末にかけての下落時や2022年10月21日からの下落時並みとなることも警戒したい。

【米10年債利回りは上昇、2年債利回りは低下、NYダウとナスダックは大幅下落】

7月24日の米長期債利回りはまちまちの動き。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.04%上昇の4.29%となった。欧米経済指標が弱かったこととカナダ中銀の利下げ等を見て深夜にかけて4.21%まで低下していたが、その後の反騰でプラス圏へ戻した。30年債利回りは前日比0.05%上昇の4.54%で終了、一時4.46%まで低下してから上昇に転じた。大統領選挙情勢が混迷しているもののいずれの陣営が勝利しても財政支出拡大により米国債需給が緩むとの見方が10年債と30年債に影響している印象だ。
一方で政策金利動向に敏感な2年債利回りは0.06%低下の4.43%となり、一時4.38%をつけて4月30日に付けた年初来ピークである5.05%以降の最低を更新してから反発したもののマイナス圏に留まっており、9月利下げ期待による低下圧力が続いていることを示した。

一方でNYダウは前日比504.22ドル安、ナスダック総合指数が同654.94ポイント安と大幅下落した。前日のアルファベットに続きテスラの決算不調によりテスラが前日比12%を超える急落となりアルファベットが5%安、インテルが3.8%安、マイクロソフトが3.6%安と大幅安に見舞われた。米大統領選の混迷もあり米国株式市場は波乱含みとなりつつある。
ドル円にとっては米10年債利回り上昇が下支え要因となるものの2年債利回りの低下傾向が顕著な上、来週の日銀会合がタカ派姿勢を示す可能性もあるためにドル売り円買い優勢の流れとなり米国株安もドル売り要因となった。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は7月18日午前安値155.37円を起点としたリバウンドが7月19日午後高値157.86円で一巡して下落再開に入ったとして23日から25日午前にかけての間への下落を想定してきた。24日深夜に153円に迫る急落から下げ渋っていることと今夜の米GDP統計を控えていったん戻しに入る可能性もあるとみて、154.35円を下回るうちは一段安警戒とするが、154.35円超えからは反発期入りとして25日の日中から夜にかけての間への上昇を想定するが、米GDPや四半期デフレーター次第では戻り一巡後に下落再開してもう一段安へ進む可能性もあると注意する。

60分足の一目均衡表では7月22日午後の下落で遅行スパンが悪化して先行スパンから転落し、先行スパンへいったん潜り込んでから23日昼過ぎに再び転落してからも両スパン揃っての悪化が続いている。大幅下落後の買い戻しも警戒されるので、26本基準線を下回るうちは一段安警戒とするが、26本基準線超えからは戻りを試すとみて遅行スパンの好転を試しつつ先行スパン下限への上昇を想定する。ただし、遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は7月24日深夜への下落時に10ポイント台へ低下してから30ポイント台後半へ戻しているので50ポイントへ届かずに30ポイントを割り込むところからは下げ再開とみて10ポイント台への低下を想定する。45ポイント超えからは50ポイント台への上昇を想定し、上昇が勢い付く場合は60ポイント台への上昇を想定するが、その後に50ポイントを割り込むところからは下落再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月24日深夜安値153.10円を下値支持線、154.35円を上値抵抗線とする。
(2)154.35円を超えないうちは一段安警戒とし、153.10円割れからは152円前後への下落を想定する。152円台前半は買い戻しも入りやすいとみるが、夜の米経済指標から続落する場合は151円前後へ下値目途を引き下げる。
(3)154.35円超えからはいったん戻しに入るとみて155円前後への上昇を想定する。155円手前は反落注意とし、その後の154円を割り込むところから下落再開として152円台へ向かう流れと考えるが、米経済指標をきっかけに急伸する場合は155円台中盤へ上値目途を引き上げる。

【当面の予定】

7/25(木)
G20財務相・中央銀行総裁会議(7/26まで)
17:00 (独) 7月 IFO企業景況感指数 (6月 88.6、予想 88.9)
21:30 (米) 4-6月期 GDP・速報値 前期比年率 (1-3月 1.4%、予想 2.0%)
21:30 (米) 4-6月期 GDP個人消費・速報値 前期比年率 (1-3月 1.5%、予想 2.0%)
21:30 (米) 4-6月期 コアPCEデフレーター・速報値 前期比年率 (1-3月 3.7%、予想 2.7%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 24.3万件、予想 23.8万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 186.7万人、予想 186.0万人)
21:30 (米) 6月 耐久財受注 前月比 (5月 0.1%、予想 0.3%)
21:30 (米) 6月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (5月 -0.1%、予想 0.2%)
26:00 米財務省7年債入札

7/26(金)
G20財務相・中央銀行総裁会議(最終日)、パリ五輪開幕
08:30 (日) 7月 東京区部CPI・生鮮食料品除く 前年同月比 (6月 2.1%、予想 2.2%)
14:00 (日) 5月 景気一致指数CI・改定値 (速報 116.5)
14:00 (日) 5月 景気先行指数CI・改定値 (速報 111.1)
21:30 (米) 6月 個人所得 前月比 (5月 0.5%、予想 0.4%)
21:30 (米) 6月 PCE(個人消費支出) 前月比 (5月 0.2%、予想 0.3%)
21:30 (米) 6月 PCEデフレーター 前年同月比 (5月 2.6%、予想 2.5%)
21:30 (米) 6月 コアPCEデフレーター・食品・エネルギー除く 前月比 (5月 0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 6月 コアPCEデフレーター・食品・エネルギー除く 前年同月比 (5月 2.6%、予想 2.5%)
23:00 (米) 7月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 66.0、予想 66.5)

注:ポイント要約は編集部

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