ドル円、円キャリートレードの巻き戻しを背景に、約2カ月半ぶり安値圏へと大幅下落（7/25朝）

〇ドル円、米国時間朝方にかけ一時153.13まで急落後持ち直すも、戻り鈍く153円台後半での推移
〇日銀利上げ観測の高まり、テクニカルの地合い悪化、米指標の不冴え、米金利低下、米株下落等が背景
〇ユーロドル、欧州指標不冴え等に1.0825まで下落後、米長期金利低下等に1.08台半ばに持ち直す
〇ドル円、主要テクニカルポイントを下抜け、強い売りシグナルも点灯、地合い弱い
〇ファンダメンタルズも、円キャリートレードの巻き戻しリスク、トランプトレード解消リスクが重石
〇短期的なドル円下落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ：153.00ー155.00

海外時間のレビュー

24日（水）のドル円相場は大幅下落。アジア時間朝方にかけて、高値156.00まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、（1）日銀による利上げ観測の高まりに端を発した円キャリートレードの巻き戻しや、（2）日経平均株価の冴えない動き（日経平均株価は6日続落→リスク回避の円買い圧力）、（3）テクニカル的な地合いの悪化（一目均衡表雲下限を下方ブレイクしたことで、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」が点灯→仕掛け的なドル売り・円買いを誘発）、（4）一部メディアによる「日銀が来週の政策決定会合で利上げを検討している」「今後数年間で債券購入を半減する計画」との観測報道、（5）茂木自民党幹事長による「経済再生で強くて安定した円を作ることが必要」とのタカ派的な発言、

（6）米6月新築住宅販売件数（結果61.7万件、予想64.0万件）の市場予想を下回る結果、（7）米金利低下に伴うドル売り圧力、（8）米主要株価指数の冴えない動きが重石となり、米国時間朝方にかけて、安値153.13（5/3以来、約2カ月半ぶり安値圏）まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点（日本時間7/25午前6時10分現在）では、153.91前後で推移しております。尚、昨日発表された米7月総合PMI速報値（結果55.0、予想54.2）は市場予想を上回る結果となりましたが、市場の反応は限られました。

24日（水）のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。（1）日銀による利上げ観測の高まりに端を発した円キャリートレードの巻き戻し（ユーロ円急落→ユーロドル連れ安）や、（2）ドイツ7月製造業PMI（結果42.6、予想44.0）の市場予想を下回る結果、（3）ドイツ7月非製造業PMI（結果52.0、予想53.3）の市場予想を下回る結果、（4）ユーロ圏7月総合PMI（結果50.1、予想50.9）の市場予想を下回る結果、（5）欧州株の冴えない動きが重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値1.0825まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、（6）急ピッチな下落に対する反動買いや、（7）米金利低下に伴うドル売り圧力、（8）欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.0867まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点（日本時間7/25午前6時10分現在）では、1.0840前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は7/3に記録した高値161.99をトップに反落に転じると、昨日は一時153.13（5/3以来の安値圏）まで急落しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント（21日線、50日線、90日線、一目均衡表転換線、基準線、雲上下限、ボリンジャーミッドバンド）を軒並み下抜けしたことや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のバンドウォーク」が点灯したこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、（1）日銀による早期利上げ観測の高まり（河野太郎デジタル相や茂木敏充自民党幹事長が相次いで追加利上げを求める発言）や、（2）米FRBによる早期利下げ観測の高まり（市場は9月FOMCでの25bp利下げをほぼ完全に織り込む動き）、（3）上記1、2を背景とした円キャリートレードの巻き戻しリスク（日米金利差縮小に伴うドル売り・円買い）、（4）バイデン氏撤退に伴うトランプトレード解消リスク（ドルロングを解消する動き）など、ドル円相場の下落を連想させる材料が揃っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、短期的なドル円下落をメインシナリオとして予想いたします（※5/3に記録した安値151.87を下回らない限り、ダウ理論の上昇トレンド継続中と判断できるため、中長期的な視点ではドル円上昇シナリオを維持）。尚、本日は米4ー6月期GDP速報値や、米6月耐久財受注速報値、米新規失業保険申請件数、米7月カンザスシティ連銀製造業活動指数、米7年債入札などが予定されております。

本日の予想レンジ：153.00ー155.00

注：ポイント要約は編集部