米指標発表を注視、レンジ放れへの期待も
〇本日のドル円、注目の米CPI発表を前に積極的な売買は手控えられる
〇16時現在は寄り付きに近い161.70-75で推移
〇今夜の米CPI結果を受け、160-162円の保ち合いを放れていくか要注目
〇米CPIのほか、本日は週間新規失業保険申請件数、地区連銀総裁らによる講演等の予定
〇ドル円予想レンジ:160.80-162.10
〇ドル高・円安方向、昨日高値161.81が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向、昨日安値161.27をめぐる攻防に注目
<< 東京市場の動き >>
東京市場は一進一退。161円後半を中心としたレンジ取引で、方向性はほぼうかがえなかった。
ドル/円は161.65-70円で寄り付いたものの、市場は次の材料待ち。NY時間に注目の米消費者物価指数発表を控えていることもあり、基本的にはそれにらみの展開となった。積極的な売買は手控えられ気味。日経平均が3日連続で最高値を更新するなど、日本株が堅調推移をたどったが、為替市場の反応はいまひとつだった。16時現在では寄り付きに近い161.70-75円で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「米金融政策」と「ロシア情勢」について。
前者は、9日に上院銀行委で実施されたパウエルFRB議長の議会証言が、予想ほどハト派でなかったと失望の声。「インフレ低下の信頼が高まるまで政策金利の引き下げは適切ではない」、「第1四半期のデータは信頼を裏付けなかった」−−などとする発言が嫌気されるなか、それに続き実施された10日の下院金融サービス委員会での証言もやはり失望を呼んでいた。基本的には前日の発言を踏襲したうえで、「インフレに関する仕事は終わっていない。やるべきことはまだある」、「インフレは鈍化しているが、目標金利2%に向けて持続的に減速しているとの確信はまだ抱いていない」などと述べていたもよう。そんな一連のパウエル発言を受けた、本11日に発表される米消費者物価指数の内容が注視されている。
対して後者は、8日に発生した「ロシアによるウクライナの小児病院や保育園などへの攻撃」−−を受け、NATOなど西側諸国による対露包囲網のボルテージがさらに強まりつつあるようだ。たとえばブルームバーグが、NATOに加盟する20数ヵ国が「今週、ウクライナの軍事・国防能力強化の取り組みを加速させると表明する」と報じるなか、英ウ首脳が会談を実施したうえで、「英国から供与された巡航ミサイルのロシア領内での使用について話し合った」と伝えられている。さらに米国務長官は、米国製F16戦闘機の第1弾がデンマークおよびオランダからウクライナに供与されることを発表した。
<< 欧米市場の見通し >>
以前からレポートしているようにドル円相場は、過去2週間程度160-162円のレンジ取引。依然として保ち合いを放れられないが、材料的にはこのあと注目の米消費者物価指数発表を控えているだけに、果たしてレンジを放れていくことになるのか大いに注目したい。ちなみに、ブルームバーグでは「米CPI統計、9月利下げ説を後押しへ」−−と報じており、事実となればドル売り・円買いで反応、160円割れへと向かう動きが予想されるが果たしてどうなるか。
引き続き日米金融政策が注視されるなか、先でも取り上げたように2日続けて実施されたパウエル講演はやや強気な内容。それを受けた本日発表の米消費者物価指数はどういった数値になるのか注目だ。市場は「9月にFRBが利下げ」、「年内最低で1回、場合によっては2回利下げ」−−といった見方をする向きが大勢で、実際相場にも織り込まれつつあるが、それらを裏付けるもしくは後押しするような数値となるのか、いずれにしても発表前後の金融市場は荒れ模様の展開をたどりかねないだろう。
テクニカルに見た場合、ドル/円は足もと160-162円といったレンジを形成しているが、材料的には本日にも上下どちらかにブレイクしていく可能性が取り沙汰されていた。
上放れすれば、実弾介入警戒のなか165円に向けた値動きが予想される反面、ドル安方向へと向かえば、すでに159.80円前後までレベルを切り上げてきた移動平均の21日線をめぐる攻防にも注目だ。後者をしっかり割り込むとドルは大幅続落の危険性もあり、さらにドル高基調からの転換がいよいよ現実味を増しかねない。
本日は米経済指標として、6月の消費者物価指数や週間ベースの新規失業保険申請件数などが発表される予定となっている。またパウエル議長の議会証言は終了したものの、米地区連銀総裁らによる講演などは幾つか予定されており、そちには一応要注意だ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは160.80-162.10円。ドル高・円安方向は、昨日高値の161.81円が最初の抵抗。上抜けると161.96円そして162円がターゲットとなるなか、超えていく展開も否定できない。
対するドル安・円高方向は、昨日安値161.27円をめぐる攻防に注目で、下回れば160円台突入は不可避だが、それでもあまり大崩れするイメージはない。8日安値160.27円はだいぶ遠くなったイメージなのだが果たしてどう動くか。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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