ドル円見通し 米雇用統計待ちだが161円割れを買われて底固さ見せる(24/7/5)

21時台には160.92円まで下げて上値の重さを示す一方、その後は161円台へ戻して底固さも見せている。

ドル円見通し 米雇用統計待ちだが161円割れを買われて底固さ見せる(24/7/5)

ドル円見通し 米雇用統計待ちだが161円割れを買われて底固さ見せる

〇ドル円、7/4は米国市場休場や今夜の雇用統計を意識して、21時台に160.92へ下げて上値の重さを示す
〇その一方、その後は161円台へ戻して底固さも見せる
〇今夜の米雇用統計、景気減速感を示すようなら9月利下げ開始期待が高まり、ドル安反応を招く可能性
〇160.92を上回る内は、161.60超えから162円前後試しとする
〇160.92割れからは、7/3深夜安値160.77、160.50前後を順次試す下落を想定する

【概況】

ドル円は7月3日夜161.94円へ上昇して2023年1月16日安値127.22円以降及び2011年10月31日安値75.57円以降の最高値を更新して1986年12月以来37年半ぶりの高値水準としたが、市場介入への警戒感から162円台へ進まなかった。
7月3日夜の米経済指標が総じて予想よりも悪かったことによる米長期債利回り上昇とドル安により3日深夜に一時160.77円へ急落したところはすかさず買われて4日早朝に161.74円まで切り返したが、4日の日中から5日早朝にかけては米国市場休場で手掛かりに欠けたことと5日夜の米雇用統計をきっかけとしてドル安へ進む可能性を意識して21時台には160.92円まで下げて上値の重さを示す一方、その後は161円台へ戻して底固さも見せている。

5月2日早朝に二度目の市場介入があったために米国市場休場中における三度目の介入を警戒する声も見られたが、4月29日の一度目介入時水準を超えても介入しなかったことで、米財務省の為替報告書における日本の監視対象国指定により市場介入しづらい状況にあり、現場指揮官の神田財務官が7月末で退任することも介入の可能性を低くしているのではないかと思われる。

【米雇用統計待ち】

7月5日夜の6月米雇用統計では、景気の強さを示す非農業部門就業者数が5月の27.2万人増から19.0万人増へ鈍化し、インフレ指標である平均時給伸び率も前月比が5月の0.4%から0.3%へ、前年同月比が4.1%から3.9%へ鈍化すると見込まれている。
7月3日のADP6月全米雇用報告における非農業部門民間就業者数が予想を下回り、5月貿易赤字が2か月連続で拡大し、新規失業保険申請件数が増加して5月製造業受注が前月比マイナスへ悪化、6月ISM非製造業景況指数も強弱分岐点の50を割り込んだために7月3日夜はドル全面安となったが、それらをきっかけとしたドル売りが一巡した後もユーロドルやポンドドル、豪ドル米ドル等は高値圏を維持しており6月後半からの上昇基調を維持している。

6月米雇用統計が予想通りに景気減速感を示すようなら米FRBの9月利下げ開始期待が高まり、年内の追加利下げも期待が高まってドル安反応を招く可能性がある。その際はドル円もいったん円買いドル売りで下落しやすいと思われるが、ユーロ円、ポンド円、豪ドル円、スイスフラン円等が2020年以降の最高値を更新していることで示される円の独歩安状況は変わらず、一時的な下落に対して追撃的な市場介入がなければ突っ込んだところを買い拾われて歴史的なドル円の上昇トレンドは継続してゆくのではないかと思われる。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は7月3日深夜に急落してからその大半を解消する反騰となったために7月4日午前時点では7月3日深夜安値を押し目底としてすでに新たな上昇期に入ったとみて8日夕から10日夜にかけての間への上昇を想定したが、4日夜に再び161円を割り込んでから戻しているため、4日夜安値を起点とした上昇期入りと改めて8日夜から10日夜にかけての間への上昇を想定する。だたし4日夜安値160.92円を割り込む場合は底割れによる新たな下落期入りとして9日夜から11日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表で7月4日夜への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、5日午前序盤への上昇で遅行スパンが好転して先行スパン突破に挑戦しているため、先行スパンを上抜くところからは上昇期入りとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、7月4日夜安値を割り込む場合は下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は7月4日夜に30ポイントを割り込んでから50ポイント超えへ戻しているので60ポイント台への上昇を想定し、米雇用統計から上昇が勢い付く場合は70ポイント台への上昇を想定するが、40ポイント割れからは下落再開とみて30ポイント前後試しとし、米雇用統計から急落する場合は20ポイント台前半への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月4日夜安値160.92円を下値支持線、161.60円を上値抵抗線とする。
(2)160.92円を上回る内は161.60円超えから162円前後試しとする。162円前後は反落注意とするが、160.92円割れを回避しての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。米雇用統計をきっかけに急伸する場合は162円台中盤(162.35円から162.65円)へ上値目途を引き上げる。
(3)160.92円割れからは7月3日深夜安値160.77円、160.50円前後を順次試す下落を想定する。160.92円以下での推移なら週明けも安値試しへ進みやすいとみる。米雇用統計に急落する場合は160.0円から159.70円前後を順次試す下落を想定する。

【当面の予定】

7/5(金)
14:00 (日) 5月 景気先行指数CI・速報値 (4月 110.9、予想 111.2)
14:00 (日) 5月 景気一致指数CI・速報値 (4月 115.2、予想 114.8)
15:00 (独) 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 -0.1%、予想 0.1%)
15:00 (独) 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 -3.9%、予想 -4.3%)
18:00 (欧) 5月 小売売上高 前月比 (4月 -0.5%、予想 0.2%)
18:00 (欧) 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 0.0%、予想 0.1%)
18:40 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
21:30 (米) 6月 非農業部門雇用者数 前月比 (5月 27.2万人、予想 19.0万人)
21:30 (米) 6月 失業率 (5月 4.0%、予想 4.0%)
21:30 (米) 6月 平均時給 前月比 (5月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 6月 平均時給 前年同月比 (5月 4.1%、予想 3.9%)
26:15 (欧) ラガルドECB総裁、講演

7/7(日)
東京都知事選挙、フランス下院選挙第2回投票



注:ポイント要約は編集部

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