ドル円、ポジション調整主導で約1カ月ぶり高値圏から急反落。但し、続落余地は限定的か(5/31朝)

30日(木)のドル円相場は大幅下落。

ドル円、ポジション調整主導で約1カ月ぶり高値圏から急反落。但し、続落余地は限定的か(5/31朝)

ドル円、ポジション調整主導で約1カ月ぶり高値圏から急反落。続落余地は限定的か

〇ドル円、米国時間朝方にかけ安値156.38まで急落
〇米1QコアPCE改定値、米新規失業保険申請件数、米4月中古住宅販売成約指数の不冴え等が背景
〇ユーロドル、米金利低下にともないアジア時間の1.08割れの水準から1.08台半ばに戻す
〇ドル円、転換線がサポートし、テクニカルの地合い崩れていない
〇円キャリートレードが継続する中、ドル円が少し下がれば押し目買いが出てくる構造は不変か
〇ドル円相場の一巡後の反発をメインシナリオとして予想
〇本日は東京区部5月消費者物価指数、4/26ー5/29の介入実績公表、米4月PCEデフレーターに注目
〇本日の予想レンジ:156.00ー157.50

海外時間のレビュー

30日(木)のドル円相場は大幅下落。アジア時間早朝にかけて、高値157.79(5/1以来の高値圏)まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)心理的節目158.00を背にした戻り売り圧力(政府・日銀が5/1に為替介入に踏み切った水準感でもあるため利食い売りが発生しやすい)や、(2)日経平均株価の軟調推移(リスク回避の円買い圧力)、(3)本邦輸出企業の月末前の実需のドル売り、(4)米1ー3月期コアPCE改定値(結果+3.6%、予想+3.7%)の市場予想を下回る結果、(5)米新規失業保険申請件数(結果21.9万件、予想21.7万件)の予想比悪化、(6)米4月中古住宅販売成約指数(結果▲7.7%、予想▲1.0%)の市場予想を下回る結果、(7)米金利低下に伴うドル売り圧力、(8)ドル円ロング勢の損失覚悟のドル売り・円買いが重石となり、米国時間朝方にかけて、安値156.38まで急落しました。

引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/31午前6時35分現在)では、156.78前後で推移しております。尚、昨日はニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁による「利上げは自分の基本シナリオではない」「利下げを急ぐ必要性はない」との発言や、シカゴ連銀グールズビー総裁による「米雇用市場の回復力に衝撃を受ける」「住宅のデフレーションなしに2%のインフレ目標を達成することは難しい」との発言、アトランタ連銀ボスティック総裁による「9月利下げが正しければ政治的な決定ではなく実施する」との発言、ダラス連銀ローガン総裁による「インフレ率が2%に近づいていると考える十分な理由がある」「あらゆる政策オプションをテーブルに載せておくことが重要」との発言が見られましたが、市場の反応は限られました。

30日(木)のユーロドル相場は下落後に急反発。アジア時間午後にかけて、安値1.0788(5/14以来の安値圏)まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、(1)一目均衡表雲上限を背にした押し目買い圧力や、(2)米経済指標の冴えない結果、(3)米金利低下に伴うドル売り圧力、(4)欧州株の堅調推移、(5)重要イベント(5/31に予定されているユーロ圏5月HICPおよびコアインフレ率)を控えたポジション調整が支えとなり、米国時間朝方にかけて、高値1.0845まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5/31午前6時35分現在)では、1.0833前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は約1カ月ぶり高値157.79をトップに反落に転じると、昨日は一時156.38まで急落しました。157円台後半は5/1に政府・日銀が為替介入に踏み切った水準感でもあったため、ロング勢によるポジション調整的な利食い売りが、昨日のドル円急落の背景と考えられます。但し、日足ローソク足が主要テクニカルポイントの上側で推移していること(昨日も一目均衡表転換線がサポートとして機能)や、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは崩れていない(昨日の下落はあくまで上昇トレンドの過程で見られる一時的なポジション調整)と判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、日米金利差に着目した円キャリートレードが継続する中、ドル円が少し下がれば押し目買いが出てくる構造は不変と考えられます。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の一巡後の反発をメインシナリオとして予想いたします(ドル円が早期に157円台を回復するシナリオを想定)。尚、本日は東京区部5月消費者物価指数(市場予想を下回る場合は日銀による追加利上げ観測後退を通じて円売りに繋がる恐れあり)や、4/26ー5/29の外国為替平衡操作の実施状況(政府・日銀による介入額が明らかに)、米4月PCEデフレーター(市場予想を上回る場合は米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測を通じてドル金利上昇→ドル買いの波及経路に)に注目が集まります。

本日の予想レンジ:156.00ー157.50

注:ポイント要約は編集部

ドル円、ポジション調整主導で約1カ月ぶり高値圏から急反落。続落余地は限定的か

ドル円日足

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