介入警戒根強いが、ドルはさらに続伸も
〇東京時間のドル円、157.15レベルで寄り付き買い先行するも16時現在157.05-10で推移する行って来い
〇安達日銀審議委員「拙速な利上げは絶対に避けなければならない」と発言。日米の政策の違い改めて認識
〇高値160.22起点とした下げ幅の76.4%戻し158.25が次のターゲット
〇本日、5月リッチモンド連銀製造業指数や米地区連銀経済報告などの米経済指標が発表予定
〇南アフリカ総選挙も要注視
〇ドル高円安方向、本日東京高値157.40レベルが最初の抵抗
〇ドル安円高方向、まずは東京安値156.90-95の攻防に注目。下回っても大崩れは予想しにくい
〇欧米時間のドル円予想レンジ:156.60-157.50
<< 東京市場の動き >>
東京市場はやや粗い値動き。値幅そのものは決して広くなかったが、終盤にかけて157円を一時割り込む局面も。
ドル/円は157.15円レベルで寄り付いたのち、当初は買いが先行。前日高値を超え、157.40円レベルまで値を上げている。その後もおおむね底堅く推移したが、終盤になり突然崩れると一時157円割れ。しかし、大きくは崩れず156.90-95円で下げ止まると、再び157.00円台へと戻す「行って来い」。16時現在では157.05-10円で推移し、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは「日米金融政策」と「ロシア情勢」について。
前者は、先週発表された米経済指標は総じて冴えない内容が多かったが、昨日の5月消費者信頼感指数は予想以上の好数字。また指標を受ける格好で、ミネアポリス連銀総裁から「追加利上げの確率はかなり低いが、選択肢からは排除しない」とした強気コメントが聞かれたことで為替市場ではドル買いが強まっていた。一方、日本は本日熊本で行われた懇談会に出席した安達日銀審議委員が「拙速な利上げは絶対に避けなければならない」などと発言。日米のスタンスの違いが改めて浮き彫りになった感がある。
対して後者は、前日にNATO事務総長が「同盟国はウクライナに供与した武器の使用制限を解除するかどうかを検討する時期に来ている」と述べたとされるなか、昨日はポーランド外相が「ウクライナへの派兵を排除すべきでない」と発言。別の角度からのウクライナ支援を示唆していた。そうした欧州の動きにロシアはまた反発。プーチン氏は「欧米部隊がウクライナに派遣されるか否かに関係なく、目的達成のため侵攻作戦を続ける」考えを示したうえで核恫喝。「核兵器の使用を含む世界的紛争になりかねない」と警告を発していたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は上抜けにいま少し時間がかかるかと思っていたが、昨日の欧米時間に157円台を回復。本稿執筆時も157円台で推移しており、当局の介入警戒感も取り沙汰されるなか、さらなる高値トライが見込まれている。以前に何度か報じたように、高値160.22円を起点とした下げ幅の61.8%戻しはすでに超えており、次なるターゲットは76.4%戻しの158.25円。現状からは少し遠いが、米金融政策などをにらみつつドル続伸も。
日米金融政策への関心が引き続き高いものの、前述したように日米の政策の違いが改めて認識されている。日米金利差が大きく縮小することは予想しにくく、為替市場においても基本的なドル高傾向は維持されそうだ。そうしたなか、米国が依然としてイスラエルをかばうようなスタンスが目に付くが、ガザ最南部ラファへの空爆で多数の死者が出るなど中東で気になる動きが観測されるほか、プーチン露大統領による核恫喝、中国による台湾威嚇など地政学リスクという意味で、世界情勢がさらに不穏な環境に追い込まれつつある。関連のニュースなどをしっかりと注視しておきたい。
テクニカルに見た場合、ドル/円はまだ若干微妙なところもあるが、それでも保ち合いの上限を超えており157円台を回復。ドルの続伸リスクがうかがえる足形だ。当局の円買い介入が警戒されるなか、158円に向けた展開も。
それに対するドルのサポートは、本日東京安値の156.90-95円。下回ると、昨日安値156.58円を目指しそう。
本日は米経済指標として、5月のリッチモンド連銀製造業指数などが発表されるほか、米地区連銀経済報告の公表も予定されている。前者については、昨日米指標が良好でドルの買い要因となっただけに、同様の展開をたどることへの警戒感なども取り沙汰されていた。また、それらとは別に予定されている南アフリカ総選挙にも一応要注意か。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは156.60-157.50円。ドル高・円安方向は本日東京高値の157.40円レベルが最初の抵抗。超えれば一足飛びにとどくとは思われないが、158円台が意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、まずは東京安値の156.90-95円の攻防に注目。下回っても大崩れは予想しにくいが、昨日安値を割り込むと下値余地が拡大しかねない。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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