154円台後半へと上昇するなど日米金利差に着目したドル買い・円売りが本格再開
〇ドル円、米主要株価指数の堅調推移、FRB関係者のタカ派発言に米国時間に154.76まで上昇
〇ユーロドル、ECB利下げ観測や欧州債利回り低下に1.07台後半中心で上値の重い動き
〇ドル円、強い買いシグナル継続、テクニカルの地合い強い
〇ファンダメンタルズも、円キャリートレードの再開期待、介入余力の低下懸念等がドル円下支えに寄与
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:153.50ー155.50
海外時間のレビュー
7日(火)のドル円相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値153.87まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)日経平均株価の堅調推移(リスク選好の円売り再開)や、(2)本邦ゴールデンウィーク明けのドル買い需要(大型連休前に落としていたロングポジションの再構築)、(3)政府・日銀による介入限界論の台頭(イエレン米財務長官は5/4に「こうした介入はまれであるべきで協議が行われることが期待される」と日本の為替介入を牽制)、
(4)植田日銀総裁による「大きな政策変更をした後なのでその後の経済金融情勢について(岸田首相と)意見交換した」との発言(一部メディアによる「植田日銀総裁が岸田首相と意見交換のために官邸入りをした」とのヘッドラインを受けてドル円は154円台半ばから153.97まで急落するも、同意見交換は定例のもので、特段踏み込んだ議論がなされなかったことが判明するとドル円は再び154円台半ばへ反発)、(5)米主要株価指数の堅調推移、(6)ミネアポリス連銀カシュカリ総裁による「想定する中立金利は2%から2.5%に小幅上昇」とのタカ派的な発言が支えとなり、米国時間午後にかけて、高値154.76まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5/8午前6時00分現在)では、154.69前後で推移しております。
7日(火)のユーロドル相場は上値の重い展開。(1)ユーロ圏3月小売売上高(結果+0.7%、予想▲0.2%)の市場予想を上回る結果や、(2)欧州株の堅調推移(独DAXは4/5以来の高値圏へ急上昇)、(3)米金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.0787まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)スペイン中銀デコス総裁より「物価の道筋が維持されるならば6月からの利下げが可能」との発言や、(5)欧州債利回り低下に伴うユーロ売り圧力が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0747まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/8午前6時00分現在)では、1.0754前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は前週末金曜日に記録した安値151.87をボトムに反発に転じると、昨日は一時154.76まで反発しました(4/29高値160.24→5/3安値151.87→5/7高値154.76)。強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」も継続しており、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます。また、ファンダメンタル的に見ても、(1)日米金利差に着目した円キャリートレード再開の思惑(先週は政府・日銀による為替介入をトリガーに8円を超す大規模なポジション調整が発生したため、割安感から押し目買いが出易い状況)や、政府・日銀による介入限界論の台頭(外貨預金に限定した介入余力は残り15.5兆円程度と推測。これに満期1年未満の短期証券を加えたとしても、上記15.5兆円に加えて、追加で26.6兆円程度と限定的。
また、イエレン米財務長官からも「こうした介入はまれであるべきで協議が行われることが期待される」と牽制されているため、今後は為替介入を一段とやり辛くなる可能性あり)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(目先は160.24→151.87の半値戻し156.05を試すシナリオを想定)。尚、本日は米当局者発言(ジェファーソンFRB副議長講演、ボストン連銀コリンズ総裁講演、クックFRB理事講演)と、米10年債入札に注目が集まります。
本日の予想レンジ:153.50ー155.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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