155円台でも介入観測されず、ドル高継続か
〇本日ドル円、155.30-35で寄り付いたのち、さらなる上値試す展開
〇日経平均大幅安、鈴木財務相等の口先介入あるも緩やかに上昇、一時155.75レベルつける
〇155円の壁を突破したドル円、テクニカルには青天井、160円まで明確な上値メドはなし
〇4/26日銀会合の結果発表と共に、会合後の介入実施有無にも注目
〇実弾介入観測の場合、流れが一気に変わる可能性も
〇本日は米1-3月期GDP統計、新規失業保険申請件数、重要な米企業決算に注目
〇ドル高・円安方向、本日東京高値155.75レベルの攻防に注目
〇ドル安・円高方向、本日東京安値155.20レベル、155円などが目先のサポートか
〇欧米時間予想レンジ:155.10-156.00
<< 東京市場の動き >>
東京市場はドルが続伸。引き続き円買い介入警戒感が取り沙汰されるなか、さらなる上値トライの展開だった。
前日34年ぶりとなる155円台を付けたドル/円は、155.30-35円で寄り付いたのち、さらなる上値を試す展開。日経平均株価の大幅安や、鈴木財務相などによる口先介入が聞かれるなか緩やかな右肩上がりを続けると、夕方には155.75円レベルまで一時値を上げた。16時現在では、そのままドル高値圏155.60-65円で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「円安けん制発言など」と「中国情勢」について。
前者は、ロイターが金融・経済財政担当の内閣府副大臣などを務めたこともある越智衆院議員の発言として、「160円方向に急速に振れていく場合は経済政策運営担当者や通貨当局者が対応を迫られる可能性がある」と報じるなか、林官房長官から「為替市場の動向をしっかり注視し、万全の対応を行う」、鈴木財務相は「適切な対応をしていく思いに変わりない」と述べている。また鈴木氏は、一方で「為替相場へのコメントは控える」、「いまの局面で多く話すことができない」−−などといった思わせぶりなコメントも発していたが、市場に弱腰を見透かされているのか効果は極めて限定的だった。
対して後者は、バイデン米大統領が、中国系「ティックトック(TikTok)」の米国での利用禁止につながる法案に署名し同法が成立。それについて、ティックトック側は強い不満を示したうえで、法廷闘争する構えを鮮明にしていた。なお、そんなティックトックは欧州でも問題を抱えており、EUの調査が始まったことを理由に簡易版「TikTok Lite」の一部サービスを停止すると発表している。一方、それとは別にドイツ情報機関の連邦憲法擁護庁が国内企業に対し、中国政府による産業スパイ活動を警戒すべきと伝達したとされ、物議を醸していたという。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、昨日欧米時間にようやく155円の壁を突破。その後、ドルはさらに続伸し、前述したように本日東京では155.75円レベルまで値を上げている。以前からレポートしてきたように、テクニカルには短期的な青天井。明確な上値メドとなると160円まで存在せず、ポジションの偏りは顕著ながら、いま一段の上値追いを見込む向きが多いようだ。しかし、改めて指摘するまでもなく、レベル的なものなどからすると、政府・財務省はいつ介入を実施しても不思議がない。実弾介入が観測されれば、流れが一気に変わる可能性もある。
市場では明26日の日銀政策決定会合の結果発表を注視している向きが多い。ただし、少し前までは金融政策や消費者物価見通しの上方修正の議論なども行うか否かなど、会合そのものが関心を集めていたが、ここ数日はプラスして「日銀会合後の円買い介入が実施されるか否か」も注目されているようだ。前日のブルームバーグ・コラムでも取り上げられていたように、過去にはそうした実績もあるだけに明日の東京昼ごろからの為替相場は波乱含みの展開をたどりかねない。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場は1週間程度の時間を経て155円の壁を昨日ようやく上抜けてきた。ある種のシーリングと考えられてきた155円だが、超えても取り敢えず当局の実弾介入は観測されていない。ただ、いつ実施されても不思議はないだけに、備えだけは十分にしておきたいところだ。
なお、以前にもレポートしたように、2022年に観測された初回の円買い介入では7-8円ほどドル円は値を下げた。今回も同様の動きとすると、たとえ一時的にせよ150円を割り込む可能性も否定できない。
本日は米経済指標として、1-3月期のGDP統計速報や週間ベースの新規失業保険申請件数などが発表されるほか、本日も重要とされる米企業決算が少なくない。ちなみに昨日は後者に関連し、フェイスブックの親会社米メタが示した売上高見通しが期待外れの内容で相場の波乱要因となっていただけに、引き続き警戒を有する向きも少なくないようだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは155.10-156.00円。ドル高・円安方向は東京高値である155.75円レベルの攻防に注目。果たして実弾介入がどこで観測されるのかを注視している向きが多く、介入催促相場の様相も。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値に当たる155.20円レベル、これまでの抵抗だった155円などが目先のサポートか。また下回っても、実弾介入でもなければ基本的に底堅そうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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