基調変わらずも155円トライは仕切り直しか
〇本日ドル円、日米韓財務相会談の内容や米利回りの低下などが嫌気され、一時154円割れ
〇鈴木財務相、円安懸念についてイエレン米財務長官と会談、今後の動きに注目
〇2日連続ドル高値は154.70-80まで、155円が防衛ラインとして意識される
〇為替に関して一定の国際協調とみられる動き観測、短期的には情勢を一度見守りたい
〇本日は米新規失業保険申請件数、4月フィラデルフィア連銀景況指数、G20財務相・中銀総裁会議に注目
〇ドル高・円安方向、本日東京高値の154.40レベルをめぐる攻防に注目
〇ドル安・円高方向、154円割れを否定できないものの、滞空時間は短く底堅そう
〇予想レンジ:153.80-154.80
<< 東京市場の動き >>
東京市場はドルが小安い。昨日は割り込めなかった154円を一時下回る局面も観測されていた。
ドル/円は154.35-40円で寄り付いたものの、ドルが冴えない。「日米韓財務相が会談し、為替市場に関して緊密に協議することで合意した」と伝えられたことが嫌気されていたようだ。その後も、米利回りの低下などで、一時は154円割れ。しかし、ビッドも強く下げ渋ると154円台を回復し、16時現在では値を戻した154.20円前後で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「円安けん制」と「米中関係」について。
前者は、事前にNHKが「G20前に日米韓財務相会合、歴史的なドル高水準を議論」などと伝え物議を醸すなか、前述したように実際に会合が開催されるとともに、「緊密協議で合意」と発表されている。また、G7財務相会合の声明にも「為替の過度な変動は経済に悪影響との2017年G7声明を再確認」との考えが示されていた。さらに、一連の会議に参加している神田財務官から「円安、ウォン安への深刻な懸念を共有」との追い打ち発言が聞かれたうえ、鈴木財務相はイエレン米財務長官と会談したことを明らかにしただけでなく、「行き過ぎた動きには適切に対応する立場を説明した」と述べている。ただ、実際の行動はともなっておらず、そのあたりが次の注目要因となりそうだ。
対して後者は、バイデン米大統領は、今秋の米大統領選に向けた演説のなかで、中国製の鉄鋼とアルミニウムの制裁関税を3倍に引き上げることを検討すると表明。「彼らはだましている」と強く批判もしていた。また呼応するかのように、米通商代表部(USTR)も中国の造船、海運、物流業界に関し、補助金や不当な規制などの不公正な政策や慣行がないか調査すると発表したが、こちらについては中国商務省が即座に反応。断固反対を表明したうえで、「自国の権利と国益を守るためにあらゆる措置を取る」と警告を発していた。なお、そうしたなかポリティコは「米国務長官が来週訪中、対話継続の方針」などと報じていたが雪解けはなかなか難しいとの見方も少なくない。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、引き続きドル高方向へのリスクが高いものの、前述したように開催されたG7などで為替市場に関する国際協調の動きが観測されたことで、目先はドルの上値追いも若干難しくなった感がある。2日続けて上げ止まった154.70-80円、あるいは155円が短期的な抵抗となる可能性もある。またポジションの偏りからすると、短期的なドル下押し、一時的続落を見込む声も聞かれるが取り敢えずのところ大崩れは予想しにくい。
日米を中心とした各国政策金利が引き続き注目を集めるなか、本日東京時間には日銀の野口委員が講演で「利上げはゆっくりとしたものになる」と発言したと報じられている。そう簡単に縮小するとは思われない日米金利差を背景とした、ドル高・円基調そのものはまだ当面続く見込みだ。しかし、中東地域における地政学リスクの高まりや、本日も開催されるG20財務相・中銀総裁会議といった不確定要素もあり、それらは波乱要因としてしっかり注視しておきたい。
テクニカルに見た場合、かつて鈴木財務相が「防衛ラインはない」と述べていたにもかかわらず、ドル/円相場は155円がそれと意識されているようだ。いずれにしても、2日続けてドル高値は154.70-80円まで。そして、為替に関して一定の国際協調とみられる動きが観測されている。上値を積極的には追いたくなく、短期的には情勢を一度見守りたい。一方、下値が堅いとの認識も変わっておらず、目先サポートは153円後半で、それを下回っても153円半ばでは一度下げ止まりそう。
本日は米経済指標として、週間ベースの新規失業保険申請件数や4月のフィラデルフィア連銀景況指数などが発表されるほか、前日に続き開催されるG20財務相・中銀総裁会議などの政治ファクターにも注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは153.80-154.80円。ドル高・円安方向は本日東京高値の154.40円レベルをめぐる攻防に注目。抜ければ154.70-80円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、154円割れを否定できないものの、これまでの経験則からすると滞空時間は短く底堅そう。トレンド転換を指摘するには152円台まで切り上がってきた移動平均の21日線を下回りたい。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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