ドル円、政府・日銀による実弾介入見送りで約34年ぶり高値を更新。ECBは声明で利下げ示唆(4/12朝)

11日(木)のドル円相場は堅調な値動き。

ドル円、政府・日銀による実弾介入見送りで約34年ぶり高値を更新。ECBは声明で利下げ示唆(4/12朝)

政府・日銀による実弾介入見送りで約34年ぶり高値を更新。ECBは声明で利下げ示唆

〇ドル円、FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測、米金利上昇に米国時間に153.32まで上昇
〇米3月PPIは市場予想を下回る結果となるも、コア指数が予想を上回り、ドル円の反応は限定的
〇ユーロドル、ECB理事会のハト派的な結果に一時安値1.0699まで下落、1.07台前半での推移
〇ECB政策金利据え置くも、声明文に利下げ示唆する文言追加、ラガルド総裁も利下げの可能性に言及
〇ドル円、全てのテクニカルポイントの遥か上側で推移強い買いシグナルも成立、地合い強い
〇ファンダメンタルズも政府・日銀による実弾介入の見送りに失望感広がる
〇ドル円相場の短期的な見通しをベア(弱気)からブル(強気)へと変更
〇本日の予想レンジ:152.00ー154.00

海外時間のレビュー

11日(木)のドル円相場は堅調な値動き。(1)急ピッチな上昇に対する反動売り(達成感に伴う利食い売り)や、(2)政府・日銀による為替介入警戒感(神田財務官による「行き過ぎた動きにはあらゆる手段排除せず適切な手段をとる」との発言や、鈴木財務相による「高い緊張感をもって注視」「行き過ぎた動きにはあらゆるオプションを排除せず適切に対応」「財務官と頻繁に連絡を取り合っている」との発言、林官房長官による「為替相場、行き過ぎた動きにはあらゆる手段を排除せずに適切に対応」との発言など)、(3)日経平均株価の冴えない動きが重石となり、アジア時間朝方にかけて、安値152.75まで下落しました。

しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測や、(5)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(6)米新規失業保険申請件数(結果21.1万件、予想21.5万件)の良好な結果が支援材料となり、米国時間午前にかけて、高値153.32(1990年6月以来、約34年ぶり高値圏)へと上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4/12午前6時10分現在)では、153.25前後で推移しております。尚、昨日発表された米3月生産者物価指数(結果+2.1%、予想+2.2%)は市場予想を下回る結果となりましたが、同時に発表された同コア指数(結果+2.4%、予想+2.3%)が市場予想を上回ったことから、ドル売りでの反応は限定的となりました。

11日(木)のユーロドル相場は冴えない動き。米国時間朝方にかけて、高値1.0757まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測や、(2)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(3)ECB理事会のハト派的な結果(ECBは5会合連続で主要政策金利を据え置く一方、声明文に「インフレ見通し、基調的なインフレ動向、金融政策の伝達の強さに関する理事会の最新の評価が、インフレが持続的に目標に収斂しているとの確信をさらに強めるものであれば、現在の金融政策の制約レベルを下げることが適切になる(If the Governing Council’s updated assessment of the inflation outlook, the dynamics of underlying inflation and the strength of monetary policy transmission were to further increase its confidence that inflation is converging to the target in a sustained manner, it would be appropriate to reduce the current level of monetary policy restriction.)」との文言追加)、

(4)ラガルドECB総裁による「新たな検証によってインフレが目標に回帰しつつあるとの確信が強まれば金利を引き下げることが適切になる」とのハト派的な発言、(5)上記3、4を背景としたECBによる6月利下げ観測の高まりが重石となり、日本時間23:45過ぎに、安値1.0699まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4/11午前6時10分現在)では、1.0728前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は一時153.32まで続伸するなど、1990年6月以来、約34年ぶり高値を更新しました。日足ローソク足が全てのテクニカルポイントの遥か上側に位置していることや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「強気のバンドウォーク」「ダウ理論の上昇トレンド」の全てが成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測(利下げ回数も従来予想されていた年3回から年2回へ減少)や、政府・日銀による実弾介入の見送り(心理的節目152.00突破後にドル売り介入が入るとの見方が強かったが、結果として神田財務官、鈴木財務相、林官房長官による口先介入に留まったことで、失望感が広がる結果に)など、ドル円相場の更なる上昇を連想させる材料が揃っています。

以上を踏まえ、当方ではドル円相場の短期的な見通しをベア(弱気)からブル(強気)へと変更いたします(但し、実弾介入秒読みゾーンにいることに違いはないため、過度なロングポジションも保有しづらく、上昇速度は緩やかなものに留まる公算大)。尚、本日は米3月輸出入物価指数や、米4月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値、アトランタ連銀ボスティック総裁発言、サンフランシスコ連銀デーリー総裁発言などが予定されております。

本日の予想レンジ:152.00ー154.00

注:ポイント要約は編集部

政府・日銀による実弾介入見送りで約34年ぶり高値を更新。ECBは声明で利下げ示唆

ドル円日足

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