ドル円見通し 米長期債利回り上昇で151.75円を付けるも151円台の持ち合いに留まる
〇ドル円、米長期債利回り急伸の局面で151.75まで高値を伸ばすも、3/27に付けた151.96には届かず
〇4/2早朝にかけては上値が重くなり、151.50台まで下げる
〇日銀会合通過後の円安継続感は変わらず、151円台での持ち合い続く
〇米ISM製造業景況指数は予想外に改善し50を上回る、これをきっかけに米長期債利回りが上昇
〇米長期債利回りは総じて上昇、NYダウは反落するもナスダックは上昇
〇151.16を上回るうちは上昇余地ありとし、151.75超えからは152円手前を試すとみる
〇151.16割れからはいったん下落期に入るとみて、151.00、150.80を順次試す下落を想定する
【概況】
ドル円は151円台での持ち合いが続いている。欧州時間まではイースター休暇で動意に欠けていたが、休場明けの米長期債利回りが米国市場時間入りから上昇に転じたことに押し上げられ、ISMの米3月製造業景況指数が予想に反して改善したことをきっかけに米長期債利回りが急伸した局面で151.75円まで高値を伸ばしたが、3月27日に付けた昨年12月28日安値140.24円以降の最高値である151.96円には届かず、4月2日早朝にかけては上値が重くなり151.50円台まで下げた。
【日銀会合通過後の円安継続感は変わらず】
3月19日の日銀会合でマイナス金利解除・YCCによる長短金利操作終了・ETF等の買い入れ停止等が決定されたものの暫くは金融緩和状態が続くとされたことで政策修正発表後は円安となり、149円台序盤だったところから3月20日夜に151.79円へ上昇し、21日未明の米FOMC直後のドル安局面で150.26円までいったん下げたものの22日午前に151.86円へ上昇してからは151円割れを回避して持ち合いに入った。3月27日に151.96円まで若干高値を切り上げたところでは日銀・金融庁・財務省の三者会合開催による市場介入警戒感から反落したものの151円割れを回避して確りし、その後も151円台での持ち合いを続けている。
4月1日の新発10年物債(373回債)利回りは前日比0.015%上昇の0.740%だったが、日銀会合後も1%以下で安定推移している。YCCは終了したが従来と同規模の国債買い入れによる長期金利上昇抑制は続くとされたことで本邦長期債利回りの上昇は抑制されている。4月2日は10年債入札があるが、374回債として発行額は凡そ2兆6000億円とされ、表面利率(クーポン)は0.7%と見込まれている。
4月1日に日銀が発表した3月短観では、景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業がプラス11となり12月のプラス13を下回った4四半期ぶりの低下となり、大企業非製造業は2ポイント改善のプラス34となり8期連続上昇で1991年8月月以降で最高となった。非製造業は強かったものの製造業が低調となり、特に自動車が12月のプラス28からプラス13へ大幅低下したことが目立った。大企業中心の賃上げなどもあったが株高の割に実体経済は力強さにかけており、日銀がどんどんと利上げしてゆく状況ではなさそうだ。中小企業製造業DIはマイナス1で4期ぶりに悪化、中小企業非製造業DIはプラス13で8期ぶりに悪化している。
【米ISM製造業景況指数は予想外に改善】
4月1日に発表された3月の米ISM製造業景況指数は50.3となり2月の47.8から改善して強弱目安の50を上回り、市場予想の48.4への若干の改善予想を超えた。この発表をきっかけに米長期債利回りが上昇し、米国の6月利下げ期待度が低下した。強弱分岐点の50を上回ったのは2022年10月以来1年5か月振り。
内訳では、新規受注が2月の49.2から51.4へ、生産が48.4から49.2へ、雇用が45.9から47.4へ上昇、価格は52.5から55.8へ上昇した。
【米10年債利回りは急反騰、ダウは反落したがナスダックは上昇】
4月1日の米長期債利回りはISM製造業景況指数が予想以上に改善したことで早期利下げ期待が後退したとして総じて上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.10%上昇の4.31%となり、一時は4.34%をつけて3月18日の4.35%から3月27日の4.18%までの下げ幅を1日でほぼ解消した。30年債利回りは0.10%上昇の4.45%、2年債利回りも0.08%上昇の4.71%となった。
米金利先物市場における6月利下げ開始期待度はFOMC後に7割まで回復していたが、ISM統計発表後は57%まで低下した。まだ5割を超えており、今週はまだ重要指標の発表が続くため、週末にかけて期待度が再上昇するのか5割を切るのか注目される。
一方、4月1日のNYダウは前日比240.52ドル安と下落、3日ぶりの反落となり、3月21日に史上最高値を更新したところからは上げ渋っている。ナスダック総合指数は米長期債利回り上昇にもかかわらず17.37ポイント高と上昇したが、ダウと同じく3月21日の史上最高値以降は上げ渋りの様相だ。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は3月27日午前高値151.96円から27日夜安値150.02円まで下げた後は151円台前半中心の小動きを続けている。4月1日深夜に151.75円へ上昇したもののその後は勢いが鈍っている。米長期債利回りの再上昇によるドル高感と政府日銀による市場介入への警戒感が交錯している状況であり、今週末の米雇用統計を見るまでは151円台の持ち合いを続けやすいところだ。
今週の米経済指標を通して6月利下げ期待が5割以下へ低下するなら米長期債利回り上昇とともにドル円は152円手前の壁を突破して持ち合い上放れに入る可能性もあるが、6月利下げ期待度が再び高まるなら151円割れから一段安へ進む可能性も高まるところだ。
当面、3月29日夜安値151.16円を上回るうちは一段高余地ありとし、4月1日深夜高値超えからは2日の日中から3日深夜にかけての間への上昇を想定するが、151.16円割れからは下落期入りとして3日夜から5日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では、4月1日深夜への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンからも上抜けているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは下落期入りとみて安値試し優先へ切り替え、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まる可能性があると注意する。
60分足の相対力指数は4月1日深夜への上昇時に70ポイントを超えてから反落したものの60ポイント台を維持しているのでまだ上昇余地ありとするが、相場が1日深夜高値を超える際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落警戒とし、50ポイント割れからは下落期入りとして30ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、3月29日夜安値151.16円を下値支持線、4月1日深夜高値151.75円を上値抵抗線とする。
(2)151.16円を上回るうちは上昇余地ありとし、151.75円超えからは152円手前を試すとみるが、152円手前は戻り売りにつかまりやすいと注意し、その後に151.50円を割り込むところからは下落期入りを疑う。
(3)151.16円割れからはいったん下落期に入るとみて151.00円、150.80円を順次試す下落を想定する。150.80円以下は反騰注意とするが、151.16円以下での推移が続く場合は3日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
4/2(火)
16:55 (独) 3月 製造業PMI・改定値 (速報 41.6、予想 41.6)
17:00 (欧) 3月 製造業PMI・改定値 (速報 45.7、予想 45.7)
17:30 (英) 3月 製造業PMI・改定値 (速報 49.9、予想 49.9)
21:00 (独) 3月 CPI(消費者物価指数)・速報値 前月比 (2月 0.4%、予想 0.6%)
21:00 (独) 3月 CPI(消費者物価指数)・速報値 前年同月比 (2月 2.5%、予想 2.2%)
23:00 (米) 2月 JOLTS(雇用動態調査)求人件数 (1月 886.3万件、予想 874.0万件)
23:00 (米) 2月 製造業新規受注 前月比 (1月 -3.6%、予想 1.0%)
25:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、討論会
25:05 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
26:30 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、討論会
4/3(水)
10:45 (中) 3月 財新サービス業PMI (2月 52.5、予想 52.7)
18:00 (欧) 3月 HICP(消費者物価指数)・速報値 前年同月比 (2月 2.6%、予想 2.5%)
18:00 (欧) 3月 コアHICP・速報値 前年同月比 (2月 3.1%、予想 3.0%)
18:00 (欧) 2月 失業率 (1月 6.4%、予想 6.4%)
21:15 (米) 3月 ADP非農業部門民間雇用者数 前月比 (2月 14.0万人、予想 15.0万人)
22:45 (米) 3月 サービス業PMI・改定値 (速報 51.7、予想 51.7)
23:00 (米) 3月 ISM非製造業景況指数 (2月 52.6、予想 52.8)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
25:00 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、イベント挨拶
25:10 (米) パウエルFRB議長、講演
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.04.02
ドル円、良好な米ISM製造業景況指数を受けて上昇するも、ここからの上値余地は限定的か(4/2朝)
週明け1日(月)のドル円相場は堅調推移。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。